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やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

桑田佳祐最新ベストアルバム「I LOVE YOU-now & forever-」

何回自己ベストを更新するんだ


3回目にしてようやくこのアルバムについて書きます。
そもそもこのアルバムの発売が発表された時は「何でこんな半端なアルバム出すんだ」と思っていました。当初は買うつもりもなかったのですが、ユーミンとのコラボ曲や過去の企画ユニットの曲等、マニア心をくすぐる仕掛けにまんまと乗せられ、購入してしまいました。そしたら、やっぱり桑田さんは素晴らしかったのです。
それでは、それぞれの楽曲についての感想です。


1: 悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)
桑田さんソロの最初のシングルです。今聴いてもとってもいい曲。
ギターのクリーントーンでシャラーンと鳴っている感じがとても好き。
個人的にはブリッジの部分でいつもゾクッとするというかテンション上がります。


2: 今でも君を愛してる
Aメロの譜割りや楽器のリズムの取り方が好き。
アレンジが丁寧で繊細。学生サザンにはできない職人芸ですな。さすが小林武史


3: いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)
この曲はサビの「今でも逢いたい気持ちでいっぱい」の部分のコード進行「D→D5→D6→D7」が最高。ちなみにキーは違いますがサザン「みんなのうた」のサビもこの進行です。


4:Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない)
とここまで聴いてきて、急に譜割りがスカスカに。そう、この曲はユーミンが作詞なのです。
ユーミンはポップスミュージシャンとしては尊敬していますが、「リズムに言葉を乗せる」という意識があまり感じられないので、個人的にはそんなに好みではありません。同じく槇原敬之なども。
もともとこの曲は「メリークリスマスショウ」の番組のために作られた曲です。みんなで合唱することを前提に作られたからわざと「音符通りに言葉を乗せる」ように作られているのかな。
サビの「繰り返しOK&合唱OK」のメロディはさすが桑田さんですね。「Let's Try Again」も同様。
この曲は絶対に音源化しないからこその名曲だと思っていたので、こうしてCDで聴けるのは嬉しいですが、ちょっともったいないという気も。
この「メリークリスマスショウ」は商品化されていませんので、見たい人はYouTubeなどを探してください。金のある時代の豪華な番組です。各ミュージシャンのセッションなどがステキです。


5: 漫画ドリーム
ここから「孤独の太陽」ゾーン。
小倉博和さんのアコギ1本とは思えない圧倒的グルーヴが超格好いい。
桑田さんの言葉のグルーヴもさすが。歌詞の内容も良い。


6: 真夜中のダンディー
この曲もコード進行は超王道なのですが、歌詞が物語になっているので何度も聴ける。ボブ・ディランみたい。
曲が進むにつれてアレンジがだんだん盛り上がっていくのもいいですね。


7: 月
ああ、いい曲。「和」のイメージの曲ですが、あまりあざとい「和」のメロディではない。この辺が上手いなあ。ピアノとハーモニカとバンジョーで夜の月の風景が見えてるよ!
個人的にはベースのリズムの切り方が好きなのです。


8: 祭りのあと
この曲はキャッチーなのですが、あまりにコード進行もメロディもベタすぎて、耐久性に欠ける。何度も聞いていると飽きちゃう。リズムがよくある8ビートだからかな。


9: 波乗りジョニー
この辺から、「サザン」と「ソロ」で分けて考えないようになりましたね。以前だったらこの曲は絶対ソロではやらなかったはず。
個人的にはこういう「ファンのために夏の曲を書こう」という曲(←私の勝手な想像です)はそんなに好みではない。ライブでは外せないですけどね。ホースで水撒いて欲しい!


10: 白い恋人達
これもベタなコード進行なのに、何でこんなにいい曲なんだ。音楽の魔法は不思議だなあ。
この曲はサビで十分盛り上がっているのに、最後の「ただ逢いたくて~」の部分でさらに上げ、「涙~」でダメ押し。どんだけ貪欲なんだよ!参りました。


11: ROCK AND ROLL HERO
こういうボリティカルな曲でもそのものをただそのまま言うのではなく、ポップミュージックとしての表現になっているのがいいですよね。
「安保っておくれよ」には「まもっておくれよ」、「核なるうえは」、「援助金」には「かね」と、音と文字のダブルで楽しめます。


12: 東京
カラオケ向けでもシングル向けでもありませんが、桑田さんのボーカル力を堪能できる名曲です。
ドライブ中にこの曲になると飛ばしてしまうことも多いのですが、ベストアルバムにこの曲入れるかと問われれば迷わず「YES!」でしょう。


13: 可愛いミーナ
前回の「TOP OF THE POPS」にも収録され、今回も当選。
個人的にはベタすぎるコード進行&リズムパターンなので、キャッチーだとは思いますがそんなに好みではありません。桑田さん好きなのかな?
サビの「ロマンティックが終わる時 独りぼっちの夜が来る」「ビート・ポップに酔わされた わりとシックな秋の頃」の「っ(=促音)」が上手い。ちゃんと「サウンドとしての歌詞」が考えられていますね。そういうことを考えない歌手は「っ」「ん」で声を張って伸ばすメロディに当てたりする。もったいない。


14: 明日晴れるかな
これも王道中の王道。それでもまた自己最高を更新してくるんだもん。ほんとすごい。
ドラマ「プロポーズ大作戦」のタイアップ。ドラマは見ていませんが、山Pが長澤まさみと結ばれるためにタイムスリップを繰り返す内容(ですよね?)。それに合わせたためか、歌詞も過去を振り返ったり現在の境遇を運命と嘆いたり、それでも未来の鍵は自分が握っている、という内容になっています。
激しい言葉はないしメロディが良すぎるためあまり歌詞が体に入ってこないのですが、ちゃんと聴くととっても良い歌詞。


15: 風の詩を聴かせて
イントロが好き。海の見える場所でギターを弾いている感じ。
この曲もいい曲なのですが、同時期に出た他のシングル「明日晴れるかな」「ダーリン」が良すぎて、埋もれてしまっている感があります。あと、サビの着地があまり上手くいっていない気がします。


とここまでで1枚。
続いて2枚目へ。


1: ダーリン
これなんてベタ中のベタ。もうポップスというより歌謡曲です。
メロディも激キャッチーですが、実はイントロの方がメロディが強いという恐ろしさ。この曲はリズムが16ビートなのでこんなベタでも耐久性がある。やはりリズムは大事ですね。


2: 現代東京奇譚
この曲が入るとは。シングルのカップリングやアルバム「桑田さんのお仕事」でも地味なイメージだったのですが。曲はいい曲なんですが、ベストアルバムに入るほどか?と思ってしまいます。
ちなみにこの曲が主題歌だった映画「闇の子どもたち」はとってもいい映画なので皆さんぜひ見てください。暗くて重いけど。


3: MY LITTLE HOMETOWN
個人的にはこのアルバム一番の「?」。なぜこの曲が選ばれたのか。
個人的にレゲエのリズムが好みじゃないというのもありますが、それにしてもそんなに名曲だとは思えないのですが。これだったら「HOLD ON (It's Alright)」「こんな僕で良かったら」「NUMBER WONDA GIRL ~恋するワンダ~」「男達の挽歌(エレジー)」なんかを入れて欲しかったなあ。


4: 君にサヨナラを
これも、そんなにランク高くないです。多分次のベストアルバムが出たら漏れるでしょう。
毎回毎回ホームランが打てるわけじゃない。そりゃそうだ、それでいいんです。それでも強打者桑田佳祐は高い打率でヒットを量産し続けるのです。才能と、打ち続ける(出し続ける)継続のなせる業です。


5:声に出して歌いたい日本文学〈Medley〉
この曲が入ったのが一番嬉しい!このアルバムを買おうと決めたのはユーミンではなくこの曲です。
もともと「音楽寅さん」の番組の企画だったのですが、あまりの完成度に「番組の企画なんてもったいなさすぎる!」と思った記憶があります。国民の宝である桑田さんの才能をこんなとこで使うなと。
それでもこうして音源化されて嬉しい。
この曲たちはどのように作られていったのでしょうか。桑田さんは「曲先」で歌詞はそのリズムやメロディにはまるように作られていますが、これは当然「詞先」。しかもメロディのハマリが良くないからといって勝手に変えることもできません。
そんな縛りだらけなのに、超格好いい。もう今更書くのも何ですけど、才能あるなあ!


6: 本当は怖い愛とロマンス
この辺からちょっと辛くなってきます。
この曲もシングルですが、個人的にはそんなに…。


7:銀河の星屑
MUSICMAN」から選ぶとすればこの曲か「それ行けベイビー!!」でしょうね。個人的には「それ行けベイビー!!」の方が好きです。
死後の世界の曲なのであの病気以降に書かれたものかなと思ったら、病気以前に書かれたそうです。何か予感めいたものがあったのでしょうか?


8:月光の聖者達 ( ミスター・ムーンライト )
この曲はバラードなので王道メロディに聴こえますが、Aメロはあまり桑田さんでは見ないコード進行です。
あと、もう何回も聴いたので慣れましたが、「車列は異様なムードで」の「ムードで」の譜割りが最初ハマリが悪かった。
歌詞は素晴らしい。大人の歌です。


9: 明日へのマーチ
ここから病気以降・震災以降の曲たちです。
この曲はドラムレスで、途中に入る合いの手のような楽器たち(木琴やタンバリンや自転車のホーンなど)がこの曲のやさしく柔らかい感じを上手く盛りたてています。
この曲のテンポやアレンジは「正解」だと思うのですが、ポップスとしては弱いと思います。本当に音楽の魔法は不思議だ。
「願うは遠くで 生きる人の幸せ」の「遠くで」の部分が、桑田節により「とうほく」に聴こえるところがミソ。


10: Let's try again ~kuwata keisuke ver.~
あの震災は単なる大地震ではなく「原発事故」でもあったので、ただ「復興がんばれ」「元気を出して」「明日を信じて立ち上がれ」では解決しない出来事です。
アミューズのタレントと一緒にこの曲を出した時はまだその深刻さが国民全体に共有されていなかったので、当時は良かったですが、今聴くとちょっと能天気すぎないか、という気もします。震災復興支援のためにお金を集めるという意味では成功したので目的自体は非難しませんが。
そして「震災」という付属物を除いて曲だけで見ると、やはり桑田さんのメロディの強さはすごい。「メジャーコードで合唱も繰り返しもできる明るく力強いサビ」という狙いにジャストミート。


11:幸せのラストダンス
新曲ゾーンです。
この曲と「愛しい人へ捧ぐ歌」は、今後も残っていくでしょう。いい曲だ。


12:CAFE BLEU(カフェ・ブリュ)
コーヒーのCM曲。まあ、シングルのカップリングかアルバム収録曲レベルですな。
リビアンなサウンドやメロディはステキです。


13:100万年の幸せ!!
ちびまる子ちゃんのエンディングテーマ。頼まれお仕事ソングなのでハズレもあるさ。


14:MASARU
お台場合衆国2012」テーマソング。頼まれお仕事ソングなのでハズレもあるさ。


15:愛しい人へ捧ぐ歌
また王道が戻ってきました。
桑田さんのことを「同じ曲ばかり」「過去の焼き直し」なんて言う人もいますが、過去の代表曲があり、さらにその延長線上でその代表曲を超える曲を作ることがどれだけ大変かと。
それを何度もしてきたからこそ桑田さんは現在「国の宝」なのです(私ジャッジによる)。


最後にボーナストラックを。


1:六本木のベンちゃん
小林克也との共作。桑田さんは「嘉門雄三」名義で参加しています。
ちなみに「嘉門達夫」は桑田さんの大ファンが高じてこの「嘉門」を譲り受けているのです。


2:ジャンクビート東京
いとうせいこうとラップをしています。
この時1987年。佐野元春「ヴィジターズ」が1984年、RUN DMCの「WALK THIS WAY」が1985年、ビブラストーンの1stが1989年、ライムスターのデビューアルバム「俺に言わせりゃ」が1993年、と考えるとやはり早いですね(というか、佐野元春早すぎ!)。
桑田さんは作詞には参加していませんが、やはり初期ラップなので歌詞もスキルもイマイチですね。
桑田さんはリズム感もいいしリズムに歌詞を乗せるスキルもあるし韻の踏み方も上手いのでラップ向きだと思うのですが、「愛の言霊」「質量とエネルギーの等価性」などで聴かせるラップはどれもイマイチです。
なぜなのでしょうか。餅は餅屋、ということ?


3:LONG DISTANCE LOVE
ローウェル・ジョージのトリビュートアルバムに収録されている曲。
こういうブルージーな曲はやはり上手いですね。


4:突然の吐き気 〜えりの思い出〜
これも「音楽寅さん」の企画モノ。ユースケ・サンタマリアが「3コードで」「メロディ1音のみ」など無茶な縛りをつけて作られた曲。1音だけでいい曲になるわけないじゃん。違う縛りにしてくれればよかったのに。
そしてユースケも元ミュージシャンでボーカルだったのに、全然歌唱力ないですね。声のメジャー感はあるけど。天職が違うところにあってよかったね。


というわけで全曲感想おしまい。
あー、長かった。


今回のアルバムは最近の曲がイマイチでオリジナルアルバムにならないから過去の曲と抱き合わせにしたのでは、と勘ぐっていました(今でもちょっと思ってます)。前回の「桑田さんのお仕事」のときのような。
そしてユーミンとのコラボなどの「目玉商品」をつけて、既に過去作を持っている私のような常連客にも売ろうとしているのでは。
そして毎回企画モノソングは入りますが、それでも異質すぎるのでボーナストラックにしたのでは。確かにボーナストラックは毛色が違いすぎて同じアルバムには収録しづらいですね。ボーナス扱いで納得です。
肝心のメインのアルバムですが、やはり新曲は弱いのですが、「幸せのラストダンス」「愛しい人へ捧ぐ歌」の2曲が非常に良く、いいアルバムになったと思っています。


さて、11月までこれを聴き込んで、ライブに行ってきまーす。

I LOVE YOU -now & forever-

I LOVE YOU -now & forever-