やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画「キックアス」 感想

現代のリアルなアメコミ


アメコミ作品は苦手で、ほとんど見たことがありません。「アイアンマン」「ダークナイト」くらい。なので、アメコミ作品のパロディなのかB級感あふれるこの作品には手が出ませんでした。
しかし、なんだか世間の評判はよろしいようで。それならばと見てみたら、面白かった!


ヒーローに憧れる主人公が、ネット通販で購入した全身タイツで街を徘徊してヒーローの真似事をするのですが、そりゃうまくいくわけがない。正義感だけあっても実際の力は何もないのだから。
そして街のチンピラにナイフで刺され、さらにひき逃げに遭う。可哀想すぎる…。
救急車の中で全身タイツを捨てたことから「チンピラに襲われ、裸だった→男にヤられた→ゲイ」という噂まで立てられる。
しかし、このエピソードが「全身にボルトを埋め込まれ(骨折などに強くなる)」「末端神経が麻痺し(痛みに強くなる)」「ゲイだから学校のマドンナとお近づきになれる(その後真実を打ち明ける葛藤)」といった伏線につながっていくのが上手い。


そしてキックアスと並ぶもう一方の主人公、ヒットガール。
最初の登場シーンからいきなり実の父親に銃で撃たれるという衝撃の展開。これは「防弾チョッキで撃たれるという練習」なのですが、この親子、何してんの?という感じ。その後誕生日プレゼントにバタフライナイフをもらいはしゃぐ娘。「パパ、見て見て」なんて子どもっぽく言うけど、バタフライナイフをヌンチャクみたいに器用に回しているよ!何してんの!
そしてそれを見て微笑む親父。これだけでこの親子の異常性を描いております。
そしてそうなった原因の説明もアメコミ風に完結に説明。時間の使い方が上手い。


アクションシーンは迫力満点。ヒットガールは11歳なので体が小さく、スタントもやりにくいでしょうが、と思ったら何と9割を本人が演じているとのこと。
すげーな。
グロい描写に賛否両論のようですが、このお話自体が荒唐無稽で現実味がないので、足が切られたりしてもあまり何も思いませんでした。


クライマックスで「ヒットガールVSボス」「キックアスVSレッドミスト」の対決の対比が面白かった。
かたやマジで迫力ある攻防、かたやバラエティー番組で発泡スチロールの棒で叩き合い、負けたら粉の海へドボンみたいなへなちょこ対決。
決着もきちんとフリや主人公の良さを活かしていて良かったです。


このお話は、アメコミのパロディと批評と愛がごちゃまぜになった感じですね。
私がヒーロー映画が苦手なのは、ヒーロー映画は「特殊な力を持った人がコスプレして悪を倒す」という、よく考えれば変なお話だからなのですが、この作品はそれを一般人がやるとその変さ加減(変態っぽさ)が浮き彫りになる感じがいい。


クライマックスの「キックアスVSレッドミスト」のあの部屋、どこかで見たような気がするのですが、気のせい?マトリックス?ブルース・リー
あと、「タクシードライバー」のパロディもありますね。鏡に向かって独り言を言うシーンとか、雑貨屋に行って買い物をするシーンとか。


そしてラスト。続編ありまっせ。
レッドミストがジョーカーになるのかな?楽しみ!



映画『キック・アス』予告編


キック・アス Blu-ray(特典DVD付2枚組)

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キック・アス DVD

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