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やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

任侠でハードボイルドでスタイリッシュ「ドライヴ」感想

スリムクラブ小坂めぐるは出てきません


何の前知識もなく、でも何だか気になってレンタルしてきました。
いわゆるハリウッド映画とは全く違う時間の使い方が良かったです。
主人公は寡黙でほとんどセリフがありません。そして演技の間もゆったりとしていて、俳優も監督もこの間を恐れずに使えているのが、この映画の「味」を出しているのだと感じました。
普通はこんなに間を取って演技できないし、監督もセリフ言い終わったらすぐカットしそうなのに。
スリムクラブを超える間の使い手がここに。
逆にセリフで何も言わない分、描写だけで説明していくのは簡潔で良かったです。主人公がスーパーを出たあと、ちょっと迷ってから彼は自分の車から離れて歩き出す。その先にはエンコした車とヒロインが。これだけで主人公の気持ちと状況が説明されていますよね。このカット割りやカメラワーク素晴らしい。


主人公は名前もありません。過去も不明です。
それでもすごくいい人に見える笑顔がステキ。普段無口で無表情な人が笑うとポイント高いですね。やはりギャップが大事だな。いい人というよりは「純情」なんだけど。
そしてヒロインのキャリー・マリガンが個人的にどストライクで困ってしまった。単純にショートカットが好きだし、タレ目な感じも好き。小坂めぐるに似ていると思ったのですがどうでしょう。
知らない人は検索してください。


ヒロインの旦那がふたりの関係をちょっと警戒しながらもいい人(でもダメンズ)なのもいいですね。普通こういう映画なら「うちの嫁に何してんだ」と喧嘩になるのに。
そしてその旦那を(というか彼女と息子を)助けるために「逃がし屋」の仕事を請け負うのですが、盗んだのはマフィアのお金。
この辺から急にバイオレンスシーンが始まります。
前半のゆったりとした間から急激に変わる空気感に、見ているこっちもピリッとしてしまいます。
主人公もいきなり凶暴化します。エレベーターの中で組織の人間とやりあう場面では明らかに首の骨を折って死んでいるのにそれでも執拗に踏みつけ踏みつけ。そりゃついさっきキスしたヒロインも引いちゃいますよね。


ラストは主人公とヒロイン・息子以外は全員死亡。お金は置いていったのでこれ以上マフィアの追跡はないのかな?
続編も可能な終わり方でしたが、原作の小説家から「話変えすぎ。続編ダメ!」と言われたらしく、これでおしまいのようです。
寡黙な主人公が成就しない恋のために頑張るのは高倉健の任侠映画のようで、大仰でないあっさりとしたバイオレンスシーンが逆に暴力の怖さを引き出しているのは北野武の映画のよう(と言いながらどちらもほぼ見たことないのであくまで印象です)。
こういう映画はハッピーエンドに終わるはずがないので見終わったあとのカタルシスはありませんが、それでいいのです。いい映画でした。



映画『ドライヴ』予告編