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舞台「笑う巨塔」東京セレソンデラックス(新潟・りゅーとぴあ) 感想

タツムリは巻貝の一種


知り合いがこの劇団のファン(というか弓削智久さんのファン)で、チケットを取ったがあまりいい席でなく悔しくてもう1枚買って1枚余ったのでどうかと誘われ、行ってきました。


東京セレソンデラックス解散公演。すみません、私、セレソンの存在自体知りませんでした。
主宰者の宅間孝行さんは脚本も書き、演出もし、出演もする。大河内奈々子さんと結婚し、離婚。すみません、全然知りませんでした。私テレビドラマを全然見ないもので…。
画像を見たらTOKIOの山口君と放送作家の高須さんにIT系の青年実業家を加えた感じのお顔ですね。


私の席は20列目でしたが、新潟りゅーとぴあはそんなに大きな劇場ではないので、ここで最後尾から2列目。舞台の全景を見ることができていい席ではありますが、やはり遠い。俳優さんのお顔はよく見えませんでした。ちなみに知り合いは19列目でした。全然変わってないじゃん。


何とこの劇団、上演中飲食OKで、さらに前説中は写真撮影もOK。さらにその前説中は劇団員が舞台上に登場してサインも握手もツーショット撮影もOK。さらにその前説でキャストの私物をプレゼントするじゃんけん大会を実施、と大盤振る舞いすぎるサービスっぷりでした。
私は席が遠いこともあり、またそんなに劇団員に思い入れもないので、遠くから写真を撮るだけにしました。
前説の最後にはカーテンコールで踊る曲の振り付けをみんなで練習。結構大変。多分2時間後まで覚えていないな、と思いながら一応頑張って覚えました。
客席の温めはばっちりですな。


さて、肝心の舞台ですが、個人的にはイマイチ乗り切れないものでした。
まず、喜劇なのにギャグが面白くない。フリ・ボケ・ツッコミが面白くない。そんな小ボケにそんな大きなツッコミいらないよとか、そこでなぜそのフレーズなんだとか、何だか笑いのツボが合わないのです。
また、主人公の富雄(宅間さん)のキャラクターがジャイアンっぽくて(人の話を聞かない、協調性がない、自分勝手、すぐ手が出る)、苦手でした。こんな人近くにいたら嫌だなあ、という感じ。主人公に感情移入できなかったらなかなか物語に乗れないですよね。
※この舞台とは関係ないけど、同じような理由で私は「ワンピース」が苦手です。ルフィみたいな奴と一緒に仕事したくない。
そしてストーリーは大きな勘違いが生む「ズレ」の話ですが、それがちょっと無理のある勘違いなので、そこでもお話に入り込めませんでした。


そして、この舞台ではアドリブがいくつもあります。そこでつい演者が笑ったりするのですが、それは喜劇としてはルール違反なんじゃないかと思うのです。
あくまで笑わせるのは物語の世界の中でのセリフや出来事であるべきだと思うのです。アドリブで笑ったり失敗でつい吹き出してしまうというのは、舞台の世界から出た「演者と観客」という関係性での笑いになってしまいます。
さらに、この舞台の感想をネットで見ると、毎回同じ場面でアドリブを行っているようです。そしてそこでの即興のセリフも日によって違うものもあれば同じものもあるようです。ということは、アドリブを入れるということはシナリオで決まっていて、そこで同じ返しでも「思わず吹き出す」のであれば、それは「思わず吹き出すという演技」なのではないでしょうか。
私はコントや漫才でもこういう「思わず吹き出し」が好きではありません。M-1での麒麟田村の「麒麟はお前が頑張れ」や、オードリー春日が噛んだときの若林のツッコミは本当のアドリブだと思いますが、ハライチの岩井は「思わず吹き出すという演技」なので好きではありません。
ダウンタウンのフリートークでも後期はこういう場面結構ありましたね)
話が逸れましたが、「喜劇」として人を笑わせるルール、もしくはマナーに反しているのではないかと思い、心から笑うことができませんでした。


俳優さんについていくつか。
宅間孝行さん
遠くて顔がよくわからなかったのもありますが、声の感じと相手を追い込むSの感じが雨上がりの宮迫のイメージでずっと見ていました。
芦名星さん
はっちゃけた役ですが、単なるアホに見えました。彼女は悪くない。脚本と演出のせい。
斎藤工さん
遠くからでも分かるイケメン。笑いの「間」がいい。良かったです。
デビット伊東さん
隠蔽工作をこじらせるボケの役なのに上手くない。天丼で使う決めセリフもはまらなかったです。
駿河太郎さん
「デキる秘書」。こちらもイケメン。良かったです。
伊藤高史さん
おお、「パンヤオ」の伊藤君じゃないか。さわやかで真面目で、でも抜けている役がぴったりでした。
■松本明子さん
「規則にうるさい婦長さん」と「プロポーズされて舞い上がる乙女」の振り幅が素晴らしい。あと、歌が上手い!びっくりした。個人的には松本さんが今回のMVPでした。


カーテンコールであの踊りを披露。コール&レスポンスも加えて何度も踊ります。さらに演者たちが客席の通路を駆け回り、客席の私たちとハイタッチ。私も通路から2番目にいたので手を伸ばしましたよー。
本編にあったアドリブの中で「私は貝になりたい」「何の貝になりたいの?」「…かたつむり」「かたつむりって貝じゃないよ!」という流れがあったのですが、ラストのあいさつで、スタッフがウィキペディアを調べたら「かたつむりは巻貝の一種」、つまり「かたつむりは貝」で合っていたという事実が判明し、会場はそこが一番盛り上がりました。本編じゃないところで一番受けていいのか。


エンターテイメントに徹しているところや、お客を楽しませよう・喜ばせようとするサービス精神はとても感じましたが、肝心の本筋があまり乗り切れなかったので、満点大満足とはいきませんでした。


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開演前の舞台


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前説で劇団員登場


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私のカメラで望遠してこれが精一杯。右側の青いジャージが宅間さんです。


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サイン会スタート。お客が駆け寄ります。


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サイン会の途中はデビット伊東さんと駿河太郎さんが司会進行。


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最後は伊藤さんと越村さんによる振り付けの練習。




笑う巨塔テーマ曲「THANK YOU! FOR YOUR SMILE」振付|東京セレソンデラックス
東京セレソンデラックス解散公演「笑う巨塔」公開舞台稽古
2012年本公演「笑う巨塔」予告ムービー|東京セレソンデラックス
【HD】2012/10/18 ON AIR CM (15s) No.012 東京セレソンデラックス 笑う巨塔