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やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

YO-KING「楽しい人は世界を救う」 感想

音楽 真心ブラザーズ

真心ブラザーズは、YO−KING(倉持陽一)と桜井秀俊の二人によるユニットです。
デビュー当時はフォークデュオ(当時は「THE 真心ブラザーズ」だった)でしたが、途中からロック・ファンク・ソウルへと傾倒し、そして現在は良質なポップスを産み出すユニットとなっています。
彼らの音楽性の変遷は、二人のうちどちらかの才能が伸びたときに音楽性も変わっていったように思います。


デビュー当時から真心ブラザーズは「倉持がメインボーカル(フロントマン)で桜井がアレンジャー(裏方)」という立ち位置でしたが、そこで倉持さんがレッチリなどに触発され、音楽性はファンク・ロックへと移っていきます。
そこで出来たのが「KING OF ROCK」。私も以前から真心は知っていましたが、このアルバムで一気にやられました。
そしてその後ソウルの風味を増した「グレートアドベンチャー」「I WILL SURVIVE」を発表。個人的にはこの頃が真心の黄金期です。
※今ウィキペディア見たら、世間的に真心の最大のヒット作「サマーヌード」は「キングオブロック」の直後なのね。あんまりリアルタイムでの記憶がないなあ。


この頃の真心は、「YO−KINGの爆発する才能を裏方桜井がポップに仕立て上げる」、という役割分担。YO-KING8の、桜井2。個人的にはこれが最高の真心のあり方だと思うんだけどなあ。


商業的にも成功してきた真心は、この頃から今まで裏方だった桜井が全面に出来てきます。
次の「GOOD TIMES」は、アレンジが大仰になり、桜井比率が4くらいまで上昇してきます。それに伴い、桜井が曲を多く書くようになってきます。そして徐々に「ポップスユニット」へと変わってゆきます。


しかし桜井には致命的な欠点がありました。アレンジャーとしての才能はあるかもしれませんが、曲を書く才能が、無い。
だって「サマーヌード」以外、いい曲は全てYO-KINGの作曲です。「スピード」「空にまいあがれ」「拝啓ジョンレノン」「BABY BABY BABY」「愛のオーラ」…。シングル以外にも「RELAX〜OPEN〜ENJOY」「素晴らしきこの世界」など、大きな曲は全てYO-KINGのもの。これだけ圧倒的な差があるのに、なぜ桜井は曲を書く。


さらに、今までの真心の魅力のひとつに「YO-KINGの歌詞」があります。これは歌詞というより、YO-KINGによる人生観や「より良い生き方指南」とも言えるでしょう。これが、この頃から薄れていきます。
あるインタビューでは「何も言わないのが今はいいのかなって思う」と言っていました。これでは魅力半減。そしてさらに追い打ちをかけるように桜井の台頭は続く…。


その後真心は活動休止をし、復活をするのですが、やはり以前の輝きが戻ってこない。だってシングルでも桜井が曲を書き、YO-KINGは何もメッセージを発しない。インタビューでもメインは桜井でYO-KINGがツッコミ。
うーむ、最近のダウンタウンのようだ。


しかし、今回のYO-KINGのソロでは、彼の「より良い生き方指南」が戻ってきました!
よくある「そのままでいいんだよ」という思考停止や、逆に全ての否定ではなく、「自分の意思でポジティブを選び取る」という、「アクティブに肯定する」ことを、また新しい視点で歌ってくれています。


…でも、やっぱり、ソロだとアレンジがしょぼい。
基本的にフォークロックの簡素なアレンジで歌われるので、シンプルに歌の内容は伝わってきますが、やはり「ミュージック」としては弱い。
悔しいけれど、ここに桜井が必要なんだなあ。
繰り返しますが、YO−KINGの爆発する才能を、裏方桜井がポップに仕立て上げる。これが真心ブラザーズのあるべき姿なのです。あるべき姿、と決めつけるのは本人たちに失礼ですが、少なくとも私が求めている真心はこうなのです。


というわけで、多分次は真心に戻ってくると思うので、このモードでぜひ真心をお願いします!


※この文章は、2010年10月に書いたものです。