やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「スリーパーズ」

それって本当に仲間思い?

ロバートデニーロ、ブラットピット、ジェイソンパトリック、ブラッドレンフロ、ダスティホフマン、ケヴィンベーコンといった名優・スターが勢揃いした映画で社会派サスペンス。すごく自分好みの映画のはずなのに、なぜ今まで見てこなかったのだろう。


少年院に送られた幼馴染4人は、そこで看守たちに性的暴行を受ける。やがて成人した4人のうち、トミーとジョンがかつての看守に出会い、射殺してしまう。検事補になり、今事件を担当することになったマイケル、新聞記者となったロレンツォは2人を無罪に、そして少年院であった虐待を公にすることを誓い、奮闘する。
ウィキペディアより)


そもそも彼らが少年院に入るきっかけとなったのは、遊びのつもりでホットドッグを万引きし、屋台を地下鉄の階段から落とし、通行人に当てて半身不随にしたこと。ここで既に彼ら側の心情には立てない。
そして少年院で性的暴行を受けるのですが、ここは心から同情します。まだ初体験も済ませていない少年がこんな仕打ちを受けたらどんな心的外傷を負ってしまうのか。


数年後、町のレストランで当時の看守に出会ったトミーとジョンは、ためらいもなく射殺してしまいます。まあ、気持ちは分からんでも無い。あれだけの仕打ちをされたのですから、殺したくなる気持ちは分かります。しかし、実際に殺してしまうのはまた別の話。
当然逮捕されるのですが、ここで他の2人が「無罪にしよう」と画策。いやいや、あれだけ衆人環視の中で射殺したのに、無罪は無いでしょう。確かにあの看守はひどい奴ですが、殺してしまったらその罪は償いなさいよ。特にブラピ演じる検事さん。あなた法に携わる人でしょ?法を遵守しなさいよ。
その法廷をめぐる攻防で決定打になったのがデニーロ演じるボビー神父。神父である彼に聖書に手を置かせて、真実のみを述べることを誓わせて、偽証させる。恩人にそこまでさせますか?させていいんですか?
結局無罪を勝ち取った彼らですが、私の心は晴れませんでした。


まず、私は結構堅物で、公道にゴミが落ちているだけでも腹が立つタイプなのです。なので、少年院に入るきっかけの事件も、屋台にぶつかった通行人はもちろん、ホットドッグ屋さんがかわいそうでならない。さあ、罪を償ってきなさい。
そこで性的暴行を受けるのはもちろん同情しますが、出所後、2人はやくざの道へ。ここも全然同意できない。レストランで見つけて、殺したくなるのは分かりますが、そうであれば残りの2人と連絡をとって、きちんとした計画のもとに処罰しましょう。それもできずに即撃ち殺すような輩にはきちんと罪を償ってもらいましょう。
この事件では無罪を勝ち取った2人ですが、結局そのままやくざの道へ戻り(何も反省・後悔しなかったということですね)、数年後に死んでしまう。はい、自業自得です。
神父さまはどうだったのでしょう。親友のためなら、人殺しでも、偽証してでも、かばうべきなのでしょうか。劇中にはそれを裏付ける発言もありますが、上記のように2人は結局更生しないのだから、この情けは奏功しなかったですよね。
いくら悪い奴とはいえ、人を殺した事実がチャラになるのは納得いきません。最後の仲間たちの食事も「悪いことがばれずにラッキーの会」ですよね。


「正義とは、仲間とは」というテーマの映画なのに、正義が引っ込んでしまうのには納得がいきませんでした。


俳優陣は良かったです。
聖俗併せ持つデニーロ、若くキラキラとした切れ者ブラピ、真っ当な感覚を持つ普通の人パトリック、未来のスターレンフロ、ダメ人間も上手いホフマン、悪役うまいなーベーコン。

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