やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画「スラムドッグミリオネア」 感想

運命なんて信じない

アカデミー賞作品賞受賞ということで、好意的なスタンスで見始めたのですが、どうも乗り切れない。「アカデミー賞作品なんだからいいはず」と思いながら見たので、逆にハードル上がったか?


TSUTAYAでレンタルしたのですが、ジャンルとしては「28N(=ヒューマン)」となっていますが、話の本筋はミステリー。 彼はどうやって答えを知ったのか、はたして不正はあったのか。ネタばらしですが結論を言うと、不正はなく、彼の人生の中に答えが散りばめられていた、ということでした。


前半は、主人公兄弟の過酷な生い立ち・境遇の話。きっとインドのスラム街では今もこういう子たちいるんだろうな、と思いました。邦画ですが「闇の子供たち」を思い出した。こういう、私たちではどうにもできないけど子どもが悲惨な目に遭う、という話は見ていて心が痛くなる。しかもそれを見ている私たちはエアコンの効いた部屋でビールにポテチですからね。
ライムスターの「911エブリデイ」という曲で
どこか遠い国で起こった大惨事
テレビで眺めている幸せな午後三時

という歌詞があるのですが、まさにその通り。


話が逸れた。
問題の正解は、彼が今まで歩んできた人生に散りばめられていました。この辺はうまい。無学の彼は、次々に正解を重ねてゆく。
で、後半になっていよいよ主人公にも分からない問題が出てきます。そこで司会者から答えを教えてもらうのですが、実はそれはウソ。主人公はそれを見破って見事正解するのです。
何でウソだとわかったの?その描写がないー。運?偶然?そこは説明がないと納得できないでしょ。
さらに最終問題は物語の冒頭でチラリと出た話題なので、見ている側は「おおっ」とニヤリとしたのですが、全くのノープランで正解。
これも運?偶然?エンディングで示されるのは「運命でした」。
おーい、そりゃないでしょ。「運命」で片づけられたら何でもできるわい。せめて、最後にヒロインと電話がつながったんだから、ヒロインは答え知っててよ。
(当然、なぜ知っていたかの描写も必要)
それが「伏線→回収」もしくは「フリ→オチ」でしょ。
また、最後ヒロインと駅で出会う説明もなし。運命だから出会うの?電話を切る前に「あの駅で待ってる」など一言あればいいのに。
インド映画だから踊れりゃいいのか。


まとめ。
辛い境遇から真面目に這い上がってきた主人公と、彼の貫く純愛。
クイズの答えを知っている理由は彼の生い立ちにあった。
そして最終問題にはちゃんと伏線(前フリ)もあった。
これだけ書くとバッチリなのに(面白そうなのに)、最後の詰めが雑だからカタルシスが感じられない。
最終問題の答えを知る伏線(前フリ)が欲しいのだ!
感動も、もやもやとしたものになってしまう。
うーん、惜しい。
脚本にもう一息、もう一ひねり、もう一推敲が欲しかったです。


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