やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」 リリー・フランキー 感想

中高生に読ませよう


原作の小説を読みました。映画・テレビドラマ版は見ていません。
本は文庫になってすぐ買っていたのですが、「親子愛」というテーマがいささか気恥ずかしく、ずっと本棚に置いたままでした。
それが、私事ですが実家に戻ることになり、高校卒業以来の両親との同居ということで、これがこの本を読むタイミングだと思い、読みました。


いやー、泣いた泣いた。
内容は、よくあるといえばよくある話。親が死んだら悲しいし、親が亡くなる場面では当然涙も出ちゃう。
でも、これは一般の小説ではなく自叙伝だからこそ言葉の重みも説得力も増しますし、私とは違う価値観やいささかトゥーマッチな愛情も、自叙伝だから許される部分でもあります。
リリーさんといえばみうらじゅんと並ぶサブカル界のキングですが、こんな親子関係だったことは知りませんでした。以前欝状態だったときはもうお母さんはお亡くなりだったのでしょうか?


個人的な思いと思い出が書かれた小説なのに、多くの人の心に突き刺さる。ジョン・レノン「MOTHER」と歌ったその叫びが私たちにも届くように。
具体的な場所や出来事は違うけれど、親が子を思う気持ち・子が親を思う気持ちは古今東西変わらないのでしょう。実際に言葉や行動に出すかどうかは別として。


私もこの年になって、親には非常に愛されて育ったなあ、と実感しています。
経済的に恵まれていたわけではないので物を買ってもらったこともないし、父親の仕事の関係上旅行やレジャーもほとんど行っていませんが、それでもきちんと愛され、躾けられてきたなあと大人になって実感するのです。
そして大人になった今でも親に対して何もしてあげられていません。
「親孝行 したいときには親はなし」ですので、この同居を機に、少しずつ恩返しをしたいものです。


後日映画版も見てみるつもりですが、映像で見せられたら泣くどころでは済まないような気がします。樹木希林だし。


東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫)

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