やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

鈴木おさむ×今田耕司×立川談春 舞台「The Name」 感想

今田耕司鈴木おさむの舞台はこれで4作目。私は2作目の「愛Pod」、3作目の「NGワードライフ」に続く3作目の鑑賞です。
「愛Pod」ではホリケンがシリアスな演技をしてくれて、「NGワードライフ」では宮川大輔が圧巻の演技力を見せてくれました。
そして今回は立川談春さんが共演相手です。私は落語はそんなに詳しくありませんが、当然名前は知っています。著書「赤めだか」は未読ですが、評判が良いのも知っています。
談春さんは芸歴30年にして初の舞台挑戦だそうです。そしてこの二人は同い年。それぞれのフィールドで中堅トップの二人が、どのような化学反応を起こすのかが楽しみでした。


場所はおなじみ下北沢の本多劇場。舞台といえばここに来ている気がするな。
そして今回私は2列目のほぼど真ん中というスッバラシイ席をゲットできました!近い!
以下、ネタバレもありますのでご注意を。







TVプロデューサーの今田が家に戻ると息子(イキウメの大窪人衛)が縛られており、謎の男(談春)が爆破スイッチを持っている。
「偉くなったあなたは毎日たくさんの名刺をもらう。あなたにとっては何気ない1分でも、渡す方としては大切な1分なんです」と謎の男。
そして5人の男女が登場し、今田には6枚の名刺を渡す。
「ちゃんと覚えてますよね?この名刺を、それぞれの持ち主に返してください。必死になって脳の海馬を、神経細胞を動かしなさい。だって、息子の命がかかっているんですから」
そうしてゲームはスタートしました。


この謎の男、このゲームを司る司会者であり、当然悪者。これを演じる談春が上手い!今田の感情を逆なでし、すかし、追い込む。談春さんがこんなに悪役にハマるとは思いませんでした。
そして途中でヒントとして一人で掛け合いをするのですが、それが落語の一場面を見ているようで、これも当然ですが上手い!
物語のストーリー上、今田は翻弄されるだけなのでしょうがないですが、前半は完全に談春さんの圧勝で進みます。


しかし、後半、「スイッチ」されるのです。
突然、役が入れ替わるのです。謎の男が今田に、プロデューサーが談春になるのです。
最初は見ている私たちは「え、何のこと?何で?」と思っているのですが、この「スイッチ」は後半切り替わるテンポがだんだん短くなり、見ている私たちも慣れてきます。起爆装置を渡し合うので、今どっちが謎の男なのかも分かりやすいようになっています。
それにしても、この「スイッチ」はどういう意味があるのか?それはまだ分かりません。
そして、役の入れ替わりが頻繁になってくると、言い合いの内容ではどちらがどちらか分からなくなるのです。
偉くなるためには何かを捨てなければいけないのか。偉くなるためには多少の悪いことも認めるべきなのか。クビなった結果路頭に迷おうと、それは自己責任なのか。
どっちが正論でどっちが暴論なのか。


そして、このゲームの目的が明らかにされ、結末へと進みます。
うーむ、結局どういうことなのでしょうか。首謀者はこれで目的は達成されたのでしょうか。覚えようとしない男と覚えられない男、これは同一ということなのでしょうか。
カタルシスの無さと幕引きの仕方で、何だかスッキリとしない、もやもやしたまま終了しました。
どなたか、解説してください。


解説が欲しくてパンフも買ったのですが、ネタバレにつながるような記載はありませんでした。そしてこの中に鈴木おさむ鶴瓶さんが対談してあるページがありまして、それがとても良かったです。
鶴瓶さんといえば千原ジュニア曰く「ただのバリアフリー」と言われるくらい一般人に対しても後輩の演者に対してもスタッフに対しても分け隔てない人柄で愛されています(新幹線で隣に座った一般の方と仲良くなって、最終的にその方の娘さんの結婚式にまで出席したこともあるそうです!)が、そういう人柄が滲み出た対談でした。
いくつか引用させていただきます。

二人(今田と談春)とも根本的に優しいのよ。ただ芸人って優しさだけではダメで、いつ何するか分からへんという部分が必要やんか。そういう意味で、二人とも優しさと狂気の両方を持っている。

今田が談春の高座は見ていないと聞いて、

俺は見た方がいいと思うな。想像よりもすごいだろうから。その人とやれてる尊敬の念が生まれるからね。それによっていい緊張が生まれるだろうし。

談春が今回のオファーを受けた理由が「芸歴30周年で、修行だ」という答えを聞いて、

そう、何でもすべき。これからの芸人に必要なのは、いかに遊ぶかやねん。飲む打つ買うじゃなくてね。人見知りしない、時間見知りしない、場所見知りしない。そこに対していかに助平であるか。それが芸人にとってのフラになるんやから。

素晴らしい、パンチラインだらけっす!


やはり、舞台はいい。生はいい。目の前で演じている、叫んでいる熱量がダイレクトに伝わってきますからね。
また舞台行かなきゃ。


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↑入ってすぐにSMAPからの大きな花がありました。↑
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↑その他お花たくさん。後輩芸人から山P・石坂浩二まで!↑
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↑開演前の舞台。セットはシンプル。↑


前回の「NGワードライフ」の感想エントリ↓
今田耕司×鈴木おさむ「NGワードライフ」 感想 - やりやすいことから少しずつ