やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「プラチナデータ」 東野圭吾 感想

映画くらい、映画に合った主題歌にしてやってよ


東野圭吾は読みやすいエンタメを量産する作家だとちょっと舐めていたのですが、「白夜行」で見直しました。そうはいってもそんなにたくさん読んでいるわけではありませんが。
映画を見に行く予定はありませんが、話題作なので一応チェック。


今作はちょっとSFが入っているので、逆に荒唐無稽っぷりが目に付きました。科学で何でもできるようでいて、肝心なところは科学が全然力を発揮しない。そんなご都合主義がところどころに散見され、イマイチこの世界に入り込めないまま読んでいました。
遺伝子情報を読み取っても、現在の姿かたちまで再現できるなんてことはないでしょう。数ヶ月で太ったりする人もたくさんいるのに。いくら精巧な機械でも、焼き物のタッチまで再現できるものか。最後、「そんなことをしたら証拠残っちゃうよ」と思ってしまう部分も「私なら造作もないこと」で済ますなんて。
あと、話が少し進むと新しい謎が出てくるあたり、アドベンチャーゲームみたいだな、とも思いました。もしくは連載マンガみたい。


映画ありきで読んでいたので、「そもそも映画を想定して書いたのかな?」と思いながら読んでいました。リュウの部屋や膨大なコンピュータの数々、バイクで逃げるシーンなど、映像的に盛り上がるシーンが多かったので。
ラストのシーンも「映画のラストシーンっぽい!」感じですね。


小説としてはあまり「面白かった!」と思える作品ではなかったのですが、東野圭吾はやっぱり上手いですね。次々に新しい謎を少しずつ小出しにして読者を惹きつける。キャラクターは分かりやすい性格描写。犯人探しという推理小説の本筋だけでなく、毎回別のテーマも付け加えるので「幅や深みが出ているように思わせる」書き方。


最後に映画について。
予告編を見ると途中から嵐の主題歌が流れ、そこで一気に醒めてしまいます。今更嵐の曲なんて映画主題歌のタイアップにしようが売上枚数に全く影響ないと思うので、こういう強引なタイアップは止めて、映画にふさわしい主題歌にしてもらいたいです。


プラチナデータ (幻冬舎文庫)

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プラチナデータ

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