やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「私刑」の禁止と小売店の防衛策

万引き客の「顔写真」を店内に貼り出し 「やりすぎ」ではないのか? (弁護士ドットコム) - Yahoo!ニュース

を読みました。
日本では個人的に罪を裁く「私刑」が禁止されているからこのやり方はよくない、というものです。
コメントには「万引きしているんだから」「なら最初から万引きするなよ」「犯罪者に人権は不要」という意見が多いです。
でも、犯罪を犯したら何されても文句言えない、というのもよろしくないと思います。罪に見合った刑罰、というのが刑法の基本的な考え方であり、私もそれに賛成します。「万引きで死刑」でもいいのか、ということです。


しかし、万引きの被害というのは、万引きする側が思っている以上に深刻なものなのです。
書店なんて粗利25%程度です。そこから仕入れ・水道光熱費・賃料・給料などを支払っているのです。販管費を引いた利益なんてほんの数%。こんな粗利の小売商売、ほとんどないですよ。アパレルの原価率を知ると「服の値段って何?」と思ってしまいます。ただし、書店業界は委託販売だから粗利が低いという理由もあるのですが、ここではそこは深く追求しません。
とにかく、粗利が低いのです。なので、1冊の本を万引きされるだけでダメージは他の業界より大きいのです。しかも本は転売しやすいので「この商品が欲しいから万引き」よりも「小遣い稼ぎのために万引き」という動機が成り立ってしまうのです。


なので、この店主の気持ちも分からんでもないです。いや、とっても分かります。
そして、何も告知がなくて写真撮影などしたらもちろん問題ですが、「万引きしたらこういうことをしますよ」とあらかじめ謳っているので、「それが嫌だったら万引きするな」と言うことができると思います。
そもそも、万引き(というか窃盗だけどね!)して捕まっても、罪が軽すぎる。金を払って警察に記録が残るだけじゃ本人は「運が悪かった」で終わっちゃうでしょう。職場に連絡はいくのでしょうか。ご近所にはばれるのでしょうか。その後の生活に何か支障は出るのでしょうか。
「罪に見合った刑罰に賛成」と書きましたが、罪に合っていないと思うのです。万引きの罰と現場の被害が。だからこの店主のように考える人もいるのでしょう。


というわけで、もう少し「万引きは捕まった時のリスクを考えると割に合わない」と思える刑罰にした方がいいと思うのです。私刑が禁止なら、被害者の理解が得られる罰にしないと私刑感情やそれを支持する意見はなくならないでしょう。
万引きは40キロ制限の道路を60キロで走って捕まるような場合と違い、明らかに悪意と犯意を持っての犯罪で、被害も明らかにあるのだから。
(もちろん60キロで走ることも違反ですが、通常この道路はみんながこの速度で走っており、それにより被害を受ける人が少ないこと、その速度で走ることがみんなの暗黙の了解になっていることなどを考えると被害と罰のバランスは万引きの場合とは違うと思うのです)
そこで、この「辱めの刑」はナイスアイデアだと思うのです。特に万引きは学生が多いので、親が謝ったり金を払ってもあまり意味がない。辱めを受けて学校へ行きにくくなることを考えれば、思いとどまるようになるのでは?イジメを受けている子が命令されてだったらよりかわいそうになっちゃうかな。でも現場としては「その人が命令されてやろうがお金に困ってやろうが関係なく、万引きすんな!」なんですけどね。