やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

日本語HIPHOP、相当頑張らないとヤバいよこれ

タイトルは「肉体関係」での横山剣さんのセリフから引用しています


最近、音楽を聴くとどれもラップの要素が入っているのが当たり前になってきています。ラップそのものでなくても、韻を踏んだりメロディと譜割りを合わせてフロウとしてラップのように聴かせたり。


最初に、ラップとヒップホップの違いについて。
HIPHOPは音楽ジャンルであり、ロック・テクノ・ヒップホップ、という感じに並列されます。ラップはその「歌い方」です。メロディを歌うかラップで歌うか、という感じ。
で、既存の音楽の3要素「リズム・メロディ・ハーモニー」のうち、リズムしかないHIPHOPが勝つことのできた理由は、「韻を踏む」「うまいこと言う」が大きいと考えます。
※正確に言うと、ラップはメロディ要素が「薄い」のであって、「ない」ではないのですが。
「韻を踏む」ことにより、リズムが強化されます。音楽としての「ノリ」が強化されるのです。
ただし、韻を踏んでも、言っていることが面白くないとダメ。ここでいう「面白い」はlaughではなくinterestです。ギャグではなく、「うまいこと言う」です。ギャグのフレーズは耐久性がありませんが、古典落語は話の内容が分かっていても面白いでしょ。つまりは「作詞力」です。


そんな「ラップという歌い方」が、ロックなど他のジャンルにも進出してきています。そうすると、HIPHOPにない(少ない)「メロディ」「ハーモニー」がある分、他のジャンルの方がよく聞こえるのは当たり前。そして歌詞の内容や韻のフレーズなどもどんどんレベルアップしています。
ラップの最大の武器である韻やリズムが他と同レベルになってしまえば、他の部分で劣っているHIPHOPが勝つことは難しくなります。さらにラッパーさんは歌唱力に乏しい人が多いですし。


以前RHYMESTER宇多丸さんはラジオで「普段HIPHOPなんて聴かない人も、そういう人が普段聴いているEXILEとかだってHIPHOPの影響があるんだよ。だからHIPHOP最強論」ということを発言していて、その時は私もそう思っていたのですが、最近の他ジャンルのアーチストのラップの上手さや楽曲への消化力などを聴くにつけ、だからこそHIPHOPはやばいんじゃないかと思うようになりました。


魚屋さんの隣に肉も魚も野菜も売っているスーパーが出来たら、そのままでは勝てないでしょう。その魚屋さんが勝つためには「めちゃくちゃ新鮮」「包丁さばきが上手い」など、スーパーに勝る武器を磨かなければならない。
そしてそれらは当然スーパーでも武器にできることですし、違いが分かりにくい部分でもあるので、スーパーより圧倒的な差をつけなければ、勝負には勝てません。


HIPHOPが勝つためには、フロウ(HIPHOPでいうメロディです。ラップをリズムにどう乗せるか)を工夫する、「ビート・リズムに乗るという基礎体力」をつける、という音楽的な部分と、「作詞能力を上げる」という歌詞部分の両方が必要です。
RHYMESTERMUMMY-Dさんはもともと日本一のラッパーだったのに、ここ数年、作品を出すごとにさらにレベルUPしています。そしてDさん自身も「HIPHOPの未来は歌詞にかかっている」とも発言しています。


もう、「オレがNO.1」「地元レペゼン」なんて小さいコミュニティでキャッキャしている場合ではないのです。マスで闘う方法を考えながら活動をしなければ、日本語HIPHOPは先細りしていくばかりです。
スターがいて、商業的にも成功している。そういう存在がいたりシーンがないと、新しい才能が入ってこない。現在はKREVARIP SLYMEくらいしかそういう存在がいませんし、彼らだって現在も大成功中、とは言い難い。ロックは売れなくなったと言いながらも新しい才能が毎年現れますが、HIPHOPシーンではなかなか出てこない。


HIPHOPには、もうひとつ問題があります。それは「ダサい」「恥ずかしい」問題です。
ヒップホップって、YO-YO-、チェケラッチョのアレでしょ(笑)、というのが世間の認識です。ファッションもステージアクションも、恥ずかしい。もちろんそうではないラッパーもたくさんいますが、世間の認識はいまだにそんなもんです。
これは、相当難しい問題だと思います。解決策が見当たらない。だって私ですらそう思っているんだから。
これも、新しいスターが現れればイメージ変わるのかな。でも、そんな圧倒的な存在が現れることを期待するのはあまり現実的ではないですね。


尻すぼみのまま、エントリを終わります…。



「BABY PLEASE / 大地」PV - YouTube
大地のフロウ、好きです。もっとメジャーどころと客演しないかな。

SALU「In My Life」 - YouTube
SALUはデビュー当時だいぶプッシュされていましたが、声とフロウが苦手です。

KEN THE 390 / 無重力ガール - YouTube
今までのラッパーのイメージを覆すオシャレでイケメンなKENには未来を夢見たこともありましたが、フロウの「クセ」が苦手。

SOUL DREAMER / TARO SOUL - YouTube
タロソはソウルも歌えるほど歌唱力があります。そっちの歌方面へ行かずに、この歌唱力を活かして何とかならんもんかな。