やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

マイルドヤンキーがうらやましい

世間は自分の敵か味方か


「マイルドヤンキー」という言葉が、ネット社会、もしくははてな界隈でちょっと流行っています。
元は「ヤンキー経済」という本が提唱したこの言葉。上京志向も上昇志向もあまりなく、ジモトで日々を楽しく過ごせばいいやと思っている人たちのことです。そこまで強く思っていなくても、先のことを考えたくないから目先の消費(パズドラとかパチスロとか)に金を落としてしまう人たち。
分かりやすく言うと、こういうことです。↓


本の感想は以前書いたのでそちらを読んでください。↓
「ヤンキー経済」 原田曜平 感想 - やりやすいことから少しずつ


こちらのエントリでも書いている通り、私はマイルドヤンキーが苦手です。EXILEを始めとした「マイルドヤンキーが好むコンテンツ」が苦手です。湘南乃風ファンキー加藤も苦手です。「ワンピース」も苦手です。ルフィみたいな自己中でわがままな奴と一緒に旅するなんて耐えられない。
地元も絆も祭りも苦手です。
なので、企業がここに目を付けて今以上にここに向けたマーケティングをするようになるのが本当に恐ろしいです。


私は客観的に見れば「サブカルクソ野郎」ですが、自ら望んで「サブカルになろう」と思ってこんな人間になったわけではありません。自らの意思で「これが面白い」と思って選んだコンテンツがことごとくマスを外したから、結果的にサブカルの箱に入っているだけです。「よりサブカルっぽく」「サブカルならこの映画を見なきゃ」なんて思ったことはありません。
でも、このヤンキー経済が今以上に勢力を拡大したら、より私の好きなコンテンツの居場所がなくなってしまうのが嫌だなあ、と思っているのです。


しかし、逆に考えたら、マイルドヤンキーの方たちは何て幸せな環境にいるんだろうと思うのです。
自分の好きなコンテンツが世間のマジョリティ。世論は自分の味方なのです。自分の好きなコンテンツがマスメディアでたくさん取り上げられているのです。
周囲の人にその音楽や映画の話をして、通じるのです。うらやましい。EXILEや嵐はみんな知ってるし、「アナと雪の女王」はみんな見てる。見てなくても、知っている。
岡村靖幸なんて誰も知らないよ。先月映画を見に行ったら映画館めちゃ混みだったけど「LIFE」は5人くらいしか客いなかったよ。


うらやましい。そりゃジモトのツレでつるむよな。


でも、こういうマジョリティの人たちって、本当にマジョリティが支持しているものを好きなのかな?とも思うのです。
マジョリティが支持しているから、もしくはマスメディアがプッシュしているから、好きなんじゃないの?
みんなが好きだから見る・聴く。ヒットしているから見る・聴く。
そこまでそのコンテンツ自体に愛情も情熱も持っていないような気がするのです。


今カラオケに行くと、「いい音楽を聴く・歌う」が目的ではなくて、盛り上がるのが目的になっている感じがします。音楽は盛り上がるためのツールに過ぎない。
個人的な意見ですが、「江南スタイル」なんて曲としては全くいいと思えません。こんなの、カラオケで歌うためだけの曲でしょ。でもそこで私は一緒になって盛り上がることができないのです。いい曲じゃないから。
歌う人も、この曲が「いい曲だ」と思って歌っているわけではないと思います。「これ歌えば盛り上がるだろう」と思って歌っているのだと思います。というか、そう信じたい。


夏フェスは、全体としては活況ですが、それでもフェスによっては運営が苦しいところもあるようです。しかし、ロックインジャパンは毎年ソールドアウトが続いて今年は4日間の開催となりました。
ロッキンだけがなぜこんなに好調なのか。もちろん運営の飽くなき改善などが大きいのだと思いますが、それ以外に「熱心な音楽ファン以外が来ているから」好調なのだと思っています。
熱心な音楽ファンでないのに、なぜロッキンには来るのか。それは「仲間と盛り上がるため」です。この辺はこちらのエントリで書きましたので、参照してください。↓
そして夏フェスは祭りになった - やりやすいことから少しずつ
このエントリにも書きましたが、「ブレイクするとはバカに見つかること」であり、「ヒットするにはヤンキー層に受けなきゃならん」のです。


そう考えると、私が好きなコンテンツもヒットしすぎるとバカに見つかってつまらなくなってしまうのかな。バカにわかるように分かりやすくしなければならないので。
じゃあ、今のままでいいや。って思ってしまう思考回路がよくない。
そして、そういう新規ファンを受け入れにくい空気がそのコミュニティを腐らせ、衰退させるのです。ディーノさんがいいこと書いているので読んでください。↓
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第275回「新規とマニア」 - 4Gamer.net


私は、新規ファンが増えることは嫌だと思っていないつもりです。ただ、ファンが増えた結果、その表現に注文や足枷が付くのが嫌だなあ、と思うのです。
そんなことを思ってしまうのがサブカルクソ野郎の所以だと思うのですが。


書いた後読み返してみると、「マジョリティ」「マイノリティ」「コンテンツ」など、中二クソ野郎の好む単語が多くて布団をかぶって寝ることにした。


ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体

ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体

この本が売れるのは日本の未来にとっていいことだとは思わない。