やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「白ゆき姫殺人事件」 湊かなえ 感想

胸やけ定食大盛りください


湊かなえさんは「告白」でがっつり掴まれて、それ以降も読んでいるのですが、どうにも読後感が悪い。人の悪意を書くのが上手すぎるのです。
そんな湊さんは、イヤミスの女王と呼ばれているらしいです。「イヤミス」とは、読後感がイヤーな気分になるミステリのことだそうです。
“イヤミス”の女王 湊かなえの『贖罪』文庫が大人気 | ダ・ヴィンチニュース


なので、最近は湊かなえ作品はお休みしようと思っていたのですが、今作「白ゆき姫殺人事件」が映画になるというので、もし面白かったら映画見に行こうと思って読んじゃいました。


やっぱりイヤミスでした。


もう序盤から悪意垂れ流し。人の噂話をするときは客観的な事実よりも本人がその人に対して思っている感情が上乗せされるので、いい話も悪い話もどちらも過剰になりがち。そしてこの話は殺人容疑者に対する噂話なので、悪い感情の上乗せがてんこ盛り過ぎて読んでいる途中でもうおなかいっぱいです。胸やけがします。
これは、一人称で書いているから余計そう思うんですよね。客観的な描写でなく、本人が感じたこと。そう思いたいこと。語っていることは客観的な真実ではなく、その人にとっての真実。もしくは真実であって欲しいこと。
こんなに人って悪い感情ばかりかな。


やっぱり苦手だ。でも読んじゃう。
ラストのあれこれは、個人的にはあまりびっくりしませんでした。この結末を予想していたわけではないのですが、ああそう、くらいの感じ。もうそれまでの胸やけでミステリとしてのオチを胃袋に収めることができなかったのかな。


ずっと一人称の話なので、映画では違ったアプローチになるとは思うのですが、映画を見に行こうとは思わない。もう一度あんな「胸やけ悪意定食大盛り」を食べたいと思わないから。
今度こそ湊かなえさんの作品はお休みしよう。と言いながらまた読んじゃうかもしれんけど。


湊かなえ作品のエントリ↓
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