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被害者は誰?被害は何?問題点はどこ?首相官邸ドローンの件で思うこと

首相官邸にドローンが墜落し、容疑者が出頭しました。
ドローン発見当初は「放射能物質検出!」「首相官邸の警備はどうなってる!」という報道でしたが、容疑者の出頭以降は容疑者のブログや素性(おなじみの卒業アルバムなど)が報道の中心になっています。
容疑者は大犯罪を犯した大悪人の扱い。本当にそうでしょうか。私は違和感を感じます。


そもそも、この事件はそんな大事件ではありません。ラジコンヘリが落ちていただけ。何の被害も出ていません。
今回の事件の逮捕容疑は威力業務妨害ですが、さて、何の業務を威力により妨害したのでしょうか。
容疑者がドローンを飛ばしたのは4月9日。ドローンの発見は4月22日。何と13日間も見つからなかったのです。その間、何か被害ありましたか?何もなかったですよね。じゃあ、事件として立件するのは無理があるのではないでしょうか。
同じとき、東京MXテレビのドローンがイギリス大使館の敷地内に墜落するという出来事がありました。これで誰か逮捕されましたか?されてないですよね。今回の事件と何が違うのでしょうか。


今回の事件で首相官邸の屋上が何度も映し出されました。Hの標示がある通り、あそこはヘリポートとしても機能しています。もちろん毎日使うものではなく、緊急時に使用するものです。ということは、急に使うことができるように日々整備しておかなければならないはずです。なのに、13日間もほったらかし!ヘリポートの整備以前に、見回りなどもしていなかったのでしょうか。していなかったんだろうな。


というわけで、この事件のポイントは容疑者の反原発思想やドローンの是非ではなく、「ノー天気な首相官邸の警備状況」の方です。なのに、なぜ事件当初にはあったそういう報道が今はないのでしょうか。
圧力?


今回のドローンは土を載せて飛ばしただけだったので何の被害も出ずに済みました。しかし、もし爆弾などが積まれていたらどうなっていたでしょうか。現在のドローンでは重い積載物は運べないのでそんな大きな被害は出ないかもしれませんが、今後は積載能力も改善されていくでしょうから、対策は必要です。
参考記事↓
官邸ドローン、"オモチャ"相手に騒ぎすぎ | トレンド | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
ドローンの規制(飛行区域の制限や登録制など)も、やってもいいですが事件を防ぐことに関しては意味がないと考えます。
GPSの設定で飛行禁止区域を設けても、悪いことをする人はそんな設定を解除するでしょう。原チャリの速度制限の解除や、車の純正ナビを走行中でも操作できるようにするのと同じように。
また、登録制や許認可制にしても、事件後の犯人追跡には効果があるかもしれませんが、犯罪自体の抑止力にはなりません。そもそも登録制にしたって他人に買わせれば済むことだし。


それよりも、首相官邸他日本の重要な場所の警備の強化の方が大切です。
今年の1月にアメリカのホワイトハウスでも同様の出来事がありました。これを受けて、政府や警察は何か対策をしたのでしょうか。してないですよね。だから今回の事件が起きたんですよね。
であるならば、今回の容疑者には警備強化のきっかけを作ってくれた恩人ですらあるといえます。感謝しろとはいえませんが、逮捕はやり過ぎでしょう。まあ、不起訴になるか起訴されても執行猶予でしょうけど。


今回の事件は、「首相官邸という日本の中枢ですら何も警備されていない」という事実を世界に公表してしまいました。とても恥ずかしいしとても危険です。
これですぐに他国が攻めてくる!テロリストの標的に!と短絡的に考えることはしませんが、それが可能であることを知らせてしまったという点で、大問題だと思います。公安や警察の偉い人は何かしらペナルティを受けるべきです。
そして、報道もこちらをメインに行ってほしいです。「日本の警備はこんなにザルだよ」ということを暴き立てるのではなく、「今後どうすべきか」についての報道を望みます。


ああ、書く前は「容疑者の素性よりノー天気な警備体制について報道すべきだろ」くらいのつもりで書き始めたのですが、何だか大きく硬い方向に文章が進んでしまった。