やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画「幸せのポートレート」を見て自分の感情の無さにがっかりした

「感情」を見る映画、「物語」を見る映画


私はラブコメもラブストーリーも全く見ないのですが、これではいかんと思い、知り合いからDVDを借りてこの作品を見ました。
お話は「ありえへん」ですが、面白かったです。
それぞれのキャラがきちんと描かれているので一貫性があり「何で急にそんなこと言うの・するの」というところがなく、よかった。まあ、ラストの兄弟姉妹丼はツッコミも追いつかない「なんでやねん」でしたが。


大枠としては「婚約者VS家族」「保守VSリベラル」というお話。キャリアウーマンのメレディス(サラ・ジェシカ・パーカー)とそれを迎える家族。最初は「きっちりしているメレディスVSずけずけ入ってくる家族」という構図だと思っていたのですが、メレディスがそんなに保守的にも見えず、家族もそんなにグイグイな感じでもなかったので、それよりも「空気の読めない失礼なメレディスVSいくらリベラルでもそんな感じ悪い嫁にはついていけんわ家族」という感じですね。
でも、ラストの兄弟姉妹丼を受け入れる懐の深さこそがこの家族の強みなのか。


100分ほどで家族の絆から病気から新たな恋愛までまとめる脚本はお見事。
彼氏役のダーモット・マローニーはこういう映画らしくいい人。こういう映画は少女マンガ目線なので男の心情が適当だがそれでいいのだ。妹役のレイチェル・マクアダムスはかわいいのに意地悪しているときはmisonoに見えた。


で、ここからはこの映画ではなく「恋愛映画」について。
ラブストーリーは「感情の物語」なので、いろんな出来事に対して喜怒哀楽の感情が起こり、それが物語になっていくのですが、こういうのを見てつくづく自分には感情が欠落しているな、と思いました。
そんなすぐに怒るの?そんな急に泣くの?ついていけない。私は日々心穏やかに過ごしたいなあ。


で、自分がそういう人間なので、恋愛映画の「感情の起伏それ自体が物語」にあまり乗れないのです。普段アクションやサスペンスをメインに見ているので、「事件の解決に向かうことが物語」だと思ってしまっているのです。
「感情の起伏」の物語はその場で感情を上下させることだけでも物語が成立しますし、その動かし方こそが恋愛映画の上手さを測る基準なのでしょう。上下に動く心電図やグラフのイメージ。
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感情を上下させるために新しい恋の相手や浮気疑惑などが登場する。
それに対し「事件の解決」は原因・敵・謎・ゴールなどがあり、そこに向かって進んでいく物語。動機や手がかりが物語の推進力になります。一次関数のグラフのイメージ。
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ここに新たな謎や裏切りなどがあってグラフは上下するけど、ベクトルは一貫している。


私は人や感情でなく、ストーリーでしか映画を見ていないんだな、と思い自分にがっかりしました。これは映画の見方としてもつまんないし受け取りも解釈も不十分になってしまいます。
そして何より、感情を面倒くさいと思っていたら恋愛も家族・親戚づきあいもできません。こりゃダメだ。ダメだこりゃ。