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やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画「ちはやふる 上の句」 感想

口コミの素晴らしさ


映画「ちはやふる」の上の句を見てきました。公式サイト↓
chihayafuru-movie.com
当初、この作品を見るつもりはありませんでした。少女マンガ原作だし、恋愛メインなんでしょ、と。しかし、Twitterでみんなが絶賛するので「どれどれ」と見に行ったら、
大傑作でした!
原作は未読です。アニメも見ていません。


広瀬すず主演ということでアイドル映画かと思ったのですが、もちろんアイドル映画でありつつ、しかしそれに収まらない「青春映画」でした。
そもそも、千早(広瀬すず)の心理描写が一切ないのです。幼なじみの新(真剣祐)に恋心を抱いているんだろうな、というところは傍から見ていて分かりますが、それ以外の心情が分からない。少女マンガって、感情を描く物語じゃないの?とびっくりするさっぱりさ。
その分、太一(野村周平)君が心情をポロポロ出してくれるので、そちらに感情移入してしまいました。太一君のシーンが結構多いので、女性客にもアピールバッチリ。


この映画は、物語としてのフリ・伏線とその回収が上手い。太一君の運のなさはかるた勝負と恋敵の両方から負けたくないという卑怯な心から生まれるのですが、それがラストの勝負にも恋の三角関係にも活きてくる。その他にも物語中盤で説明したかるたの意味が試合の場面でも活きてくるし、前半でこてんぱんに負けた相手にリベンジする展開も、勝負ものとしては定番の熱い展開。
こられの青春映画・スポーツ映画の定石が上手く脚本に織り交ぜられ、マンガ原作にありがちな「エピソードをひとつずつ処理していく」感がなくてとてもよかったです。


役者は、開始当初は「セリフしゃべっているな」と感じましたが、すぐにその辺の違和感はなくなり、後半はそのキャラクターが生きて動いてしゃべっていました。
と思ったら、エンドロールで「演劇ワークショップ:平田オリザ」の名前が!具体的にどのような指導をしたのかは分かりませんしどれほどの効果を発揮したのかも分かりませんが、若い役者たちはきちんと作品の中で生きていましたよ!


この作品は千早が主役なのは間違いないですが、前述のとおり本人の心情はゼロなので、あまり主役感はありません。とはいえ広瀬すずなので輝きまくっているので主役以外の何物でもないのですが。
アップに耐えうる!アップで見たい!ずっと見ていられる!ずっと見ていたい!これがスターの輝きか。あと、この作品ではロングヘアーですが、これってウィッグなんですよね?全く違和感なし。世のおじさんも見習ってほしい一体感でした。
あとこれね↓

というわけで、実際の主人公は太一君。イケメン枠なのにイケメンキャラではない。だから私も「ケッ!」などと思わず彼に感情移入することができました。
千早に恋している彼ですが、千早はかるたに夢中だし新に恋心を抱いていることも知っている。そして太一はかるたでも新に勝てないし、かつて卑怯な手段で新たに勝とうとした(しかもそれでも勝てなかった!)負い目があるので千早に告白できないでいます。
かるたにも恋にも諦めつつあったとき「青春全部懸けても新には勝てない」と、かるたの師匠であり神社の神主でもある原田先生に弱音を吐くと、先生から「懸けてから言いなさい」と言われます。
これ、スラムダンク安西先生の「諦めたらそこで試合終了ですよ」に匹敵する名言!そこから彼はプライドも捨ててかるたに打ち込みます。ここでも「カッコつけて素振りをやらない」というフリがラストの「なりふり構わぬ素振り→相手の焦りを引き出す」につながっていきます。上手い。


そしてもう一人、陰の主役は机君(森永悠希)です。こういう青春スポ根マンガ・映画では必ずいるガリ勉キャラ。この作品は彼の成長譚でもあるのです。
自ら壁を作って孤立していた彼は、「机君しかいない」と初めて自分を必要とされます(ただし、この時私は「うわ、モテない童貞の勘違いフラグ発生」と思っていました)。最初は仕方なく部活に参加していた彼も、徐々に「仲間」の楽しさに気づき、自ら積極的に関わっていきます。
しかし、やはり素人なのでなかなか勝てません。しかも団体戦でわざと強い相手と当たるように振り分けられる屈辱。そりゃ彼でなくても嫌になっちゃうよね。決勝戦でもやる気を見せず、チームとしてのまとまりもなくなってしまいます。分かるぞ、腐るのも仕方ない。
しかし、あるかるた札の意味を思い出し、立ち直ります。偉いぞ、私だったら切り替えられない。プライドの高い彼がこてんぱんにされてもそこから這い上がる物語。自分は勝てなくても、チームのために頑張り、他人を応援する弱者。競技ですから勝つことには大きな意味はあるのですが、勝者がいればもちろん敗者もいる。そこでの弱者の物語。ほとんどの人は弱者側なので、彼の気持ちを分かる人は多いはず。


面白かった!途中からあらゆる場面で涙腺を緩ませながら見ていました。
「少女マンガ」という先入観・レッテルがあり、見るつもりはなかったのに口コミで見ることになり、結果大絶賛。いい作品が動員や興行という形で報われるのはいいことだ。
この作品は私のように「最初見るつもりはなかったが評判を聞いて見ることになった」人が多いようです。こういった大規模な作品にしては珍しく公開週以後にランキングが上がっています。
realsound.jp
いいことだ。


前後編の作品は、前編は面白いけど後編はイマイチ、というパターンが多いです。それは、前編は盛り上げるだけ盛り上げて、謎や伏線やフラグは出すだけ出して、そこで終われるから。そして後編ではそれらの回収と何らかの結論・決着を見せなければならないので、ハードルは高くなる。
今作は新君との関係がなければこの1本で成立する出来栄え。きちんと1本単体で面白く、決着もついています。なのに続きがあるなんて!早く見たい!
後編では最強女帝として松岡茉優が登場。予告編だけでもその目力と存在感は素晴らしい!「桐島、部活やめるってよ」のときのあの子とは別人だ!
ハードルは上がっていますが、どうやら大丈夫らしいです。
realsound.jp
期待だけして見に行こう!


それにしても、後編があることがわかっている作品でも、エンドロールが始まった瞬間に退出する人いるんですね。絶対に次回予告があるのに、なぜそこまで急ぐんだ。



「ちはやふる -上の句・下の句-」予告

「ちはやふる -下の句-」予告

映画『ちはやふる』主題歌「FLASH」(Perfume)PV