やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「物語にはキャラクターが大事」ということをようやく理解した気がする

キャラクター>動機>脚本


この記事を読みました。
news.denfaminicogamer.jp
めちゃめちゃ面白かった。
ゲーム・マンガに限らず、エンタテイメントすべてに当てはまる言葉の数々。頭がよくて物事の本質が分かっていて行動力・実行力のある人の言葉は面白い。


引用していくときりがないので、今回はこの部分について書きたい。

鳥嶋氏:いや、ストーリー作りに時間をかけても、意味なんかないよ。大事なのはキャラクターだね。
そうね……言ってしまえば、「人間」を描けてるかどうかの一点に尽きるんだけどね。動物だろうが、ロボットだろうが、魔物だろうが、やっぱりキャラクターである以上は、本質的には“人間”なのよ。それがしっかりと描けていれば、「これは私だ」と読者に思わせられるんだよ。

キャラクターが大事。
これはマンガでよく言われていることですね。まずキャラクターを作れ。井上雄彦も同じことを言っていました。「この人、本当にこんなセリフ言うかな?こんな動きするかな?」
確かにその通りで納得なのですが、今まで私はそこまでこのことを強く思っていませんでした。
しかし最近、とても腑に落ちるようになってきたのです。


私が映画を見る際は、俳優の演技力などはあまり興味がありません。というか、そもそも演技力の良し悪しはあまり分からないです。
それよりも重視するのは脚本。上手い伏線と回収、あっと驚く謎解き、ラストのカタルシスなど。
で、それを上手く進める物語の推進力になっているのは「動機」です。なぜこの主人公はこんな辛いトレーニングをしてまで勝ちたいのか、なぜこの敵役は正義を阻もうとするのか。謎解きのお話だって、今どの謎にどういうヒントを持って挑んているのか。
それらがリアリティを持つからこそ見ている私は「がんばれ!」と応援したくなるし、「危ない!」と自分のことのように危機感を抱くのです。


つまりこれって、キャラクターの魅力ですよね。キャラクターが魅力的だから応援するし、キャラクターの心情が分かるからこそその行動に納得する。


そういうことか。
ちはやふる」は登場人物がみんな生きていた。
ブラック・スワン」のナタリー・ポートマンは確かに精神に支障をきたしていた。
「セッション」の先生と生徒は確かに異常な師弟愛で結びついていた。
映画の中で彼らは確かに生きていて、それぞれの性格や目的によって動いている。
逆に、「X-ミッション」は主人公が正義なのか悪の仲間なのか分からない。
「ピクセル」は主人公が何をしたいのかが見えない。
「渇き。」の役所公司はただ狂っているだけ。
何をしたいのか分からない主人公には感情移入も応援もできない。
そういうことか。

鳥嶋氏:よく僕が新人漫画家に言うたとえ話があるんですよ――例えば、君が大好きだった女の子にデートの約束を取り付けて、その場所に急いでいたとする。そのとき、交通事故で倒れている人がいたら、どうするか。知らない人だったら、きっと君は助けるかどうか迷うはず。でも、それが自分の弟や妹、あるいは友達だったらどうするか。たぶん、君は迷わず助けるんじゃないかな。そして、その君の判断は「身近」に思っているかどうかにかかっている。
「キャラクターを立てる」という事の本質は、ここに尽きるんだよ。キャラクターの「身近さ」を上手く作れているだけで、同じエピソードでも切迫度が一気に違う。

たとえばミステリというジャンルで、なぜ『シャーロック・ホームズ』や『007』だけが売れ続けているのか。他にも面白いミステリはごまんとあったのに、彼らだけが何度も映画化されて、生き残っている理由は何なのか。しっかりと考えて、掘れば掘るほど結論は常にシンプルだね――答えは、強いキャラクターの存在にあるんですよ。

ダイ・ハード」がヒットしたのもジョン・マクレーンというマッチョではないキャラクターがトラブルに巻き込まれてボヤキながらも知恵を使って敵に立ち向かっていくという主人公が新しくてヒットしました。
「ミッションインポッシブル」はイーサン・ハントというよりトム・クルーズがムチャする、というキャラ立ちですが。
13日の金曜日」「エルム街の悪夢」「チャイルドプレイ」など、シリーズ化したホラー映画は皆主役のキャラが立っているから続編が作られるのです。
羊たちの沈黙」はハンニバル・レクターのキャラが素晴らしすぎてスピンオフも作られました。
男はつらいよ」「釣りバカ日誌」だってお話は毎回同じですが、あのキャラがいるからいくらでも続編が作れます。
北の国から」は親目線で純と蛍の成長を見守ります。お話ももちろん素晴らしいですが、あの世界に生きているキャラクターの成長ぶりと年老いていく様を楽しみに私たちは見ているのです。「スター・ウォーズ」だってそうですね。


なるほど。映画というたった2時間ぽっちの世界に私たちが夢中になるのは、その世界ではそのキャラクターたちが生きており、私たちはその中の2時間を見ているからなんだな。
その世界が見たくてそのキャラクターに会いたくて、また私は本を読みマンガを読み映画を見る。