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やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画「アイアムアヒーロー」 感想

それはまた別の話


(ネタバレあります)


映画「アイアムアヒーロー」を見てきました。
公式サイト↓
http://www.iamahero-movie.com/www.iamahero-movie.com
原作は読んでいます。まだ原作も完結していないしZQN(ゾキュン)の発生原因も不明の段階でどう映画にするのか、そこが個人的な興味でした。


予告を見たときは、不安しかありませんでした。

「アイアムアヒーロー」予告
ピンクの背景に「新感覚エンタテイメント」というコピー。登場人物のセリフを文字で書き出す手法。違う、違うぞ。こんなポップな映画になるのは間違っているぞ。


しかし、しばらくすると海外の映画祭で賞を獲得し、試写の評判も上々。公開後も「日本映画でよくぞこの描写をやってくれた!」というツイートを目にし、これは期待できるのかも、と思って見に行きました。


感想。グロ描写は本当に頑張ったと思いましたが、映画そのものの評価はまた別の話。内容についてはいろいろ思うところのある出来でした。


まずグロ描写について。
本作は+R15指定を受けています。GWに公開する作品で、大泉洋有村架純長澤まさみというキャスティングでこのレーティングにした英断は褒めるべき!
これはゾンビ映画なので、スプラッタ表現は避けて通れません。そこを逃げずに、逆に徹底したからこの「日本でも~!」という快哉を叫ぶ出来になりました。東宝、ありがとうございます。
予告編ではあまりグロさは全面に出さず、海外の映画祭を回って受賞歴でハクをつけるという宣伝手法は、上手く作用したと思います。私も「海外で評価されているということは、ゾンビ描写もちゃんとされているのかな」と信用度にプラスが入りましたからね。


しかし、映画そのものはいろいろと思うところがありました。
まず、この作品は「日常が徐々に、そして突然壊れていく」ところが面白いポイントなのですが、そこがイマイチだったなあ、と思うのです。
原作だと日常を描いている後ろで徐々に壊れつつある日常(ZQNが徘徊しているなど)が並行して描かれる(しかし英雄たちはまだその危機に気付かない)のですが、そこがない。テレビのニュースと公園のベンチに座っているおじさんがそれにあたりますが、足りない。日常の後ろにその描写を入れてほしかったです。


最初のZQN描写、つまり英雄の彼女の場面はよかった!怖い怖い!いいぞ!どこまで本人が演じたか分かりませんが、片瀬那奈頑張った!
ここでスマホを紛失するという描写があり外部の状況を分からなくするのは必要条件なのでいいのですが、それでも英雄はこの時点ではZQNだなんて思っていないわけですから、警察か救急への連絡をしようとするのが普通だと思うのです。探すけどない。仕方がないので仕事場へ行こう、という流れの方が自然だと思うのですが、その辺はスルーなのですね。


その後仕事場でも異変があり、街に出たら街全体がパニックになっていたという場面。英雄が角を曲がったらそこは別世界。そのままカットを割らずに英雄が逃げていく撮り方はとてもよい!日常から非日常への転換がシームレスに描かれていました。
ただ、そこにメイプル超合金の二人が映っていてちょっと冷めた。そこにサービス精神はいらないよ!


タクシーのアクションシーンもよかった。ここも「日本映画もここまでできるぜ(お金はないけど)!」という撮り方。確かにハリウッドに比べればお金はかかっていないですが、十分手に汗握るアクションシーンでした。


妃呂美と出会って富士山の麓の神社で休む場面。ここでやっと自己紹介なの?遅すぎない?そして、なぜかいきなりイヤホン半分聴き。これはカップルでしか許されない音楽の聴き方だぞ。私もやったことないのに!この辺の距離の縮まり方に違和感を持ったのは、私が非モテだからだけではないはずだ。おかしい。
この場面になる前に自己紹介はしているはずだし、最初の夜でいきなりこんな気を許すはずはない。この辺、異議ありです!


翌日以降、富士の樹海を歩いて英雄は無精髭を生やすのですが、作り物すぎるだろ。あれだけ精巧なゾンビ造形できるのに髭の出来がこれでいいのか。


ショッピングモールのシーンは、美術・セット作製などがとてもよくできていました。最初は「富士のアウトレットを休みにして撮影したのかな」と思っていましたが、場面が長いので一日だけで撮影できるわけはなく、どうやってこの場所作ったんだと思いながら見ていました。
後日調べたら、ここは韓国のアウトレットモールの跡地だそうです。よくこんな場所見つけたな!
www.cinematoday.jp


ここで英雄のヘタレっぷりとそこからの決意が描かれるのですが、どうもそこが弱い。ここのスイッチの転換はとても重要なので、もっとカタルシスを持って描いてほしかったです。
あと、ロッカーに隠れるのはどう考えてもダメな選択肢でしょう。そしてここから出る決意と妄想で何度もZQNにやられてしまう場面がありますが、何回もやり過ぎ。パターンAでやられたからB、Cとパターンを変えるとかだったらいいけど、全部同じパターンだったぞ。
同じとき、元陸上選手のZQNが屋上に上がってきたときの絶望感はよかった!ただ、彼はこれまでもずーっと高跳びを繰り返してきたが屋上までは上がって来れなかったのに、今回なぜ成功できたのかが分からない。何か踏み台とかあったならいいけど、何もないですよね?なぜいきなり成功するんだ。


クライマックスの駐車場。これまで銃は持っているのに「不法所持」「銃刀法違反」など日常のルールに縛られて撃つことができなかった英雄がついに発砲するシーン。ここはいい!これまでの撃てない場面がフリになっていてカタルシスありました。
そしてここからひたすら撃つ撃つ撃つ撃つ。これだけのZQNの数に対して銃で一体ずつ撃って倒すなんて非効率だし危険すぎる。しかし、英雄はひたすら撃ち、倒していきます。
正直、長いです。しかし、それが「撃っても撃ってもきりがないZQN地獄」「ひとつでも外したら即アウト」という緊迫感を生み出しています。
ようやく全員を倒したと思ったら、あの陸上野郎が再登場。うわ、そうか、この作品ではこいつがラスボスなのか。ここでの英雄の「守る!」という覚悟の一撃はよかった。


で、脱出したらもうおしまい。えーっ!何も解決してないよー。ゾンビ映画ってそういうもんですが、それにしてもあまりに尻切れトンボでしょう。ZQNの発生原因も分からないし妃呂美ちゃんが発症しない理由も分らないし富士山の山頂に行けば助かるのかどうかも分からない。
多分続編を作るつもりで、でもこの作品がヒットしないと続編作れないので匂わせることもしなかったため、こんなエンディングになったのでしょう。
なので、映画全体が消化不良に感じてしまうのです。
この作品単体だったら妃呂美ちゃんいらないじゃん!有村架純は基本ずっと寝ているだけだよ!


キャストについて。
大泉さんは、前半の日常パートではとても英雄でした。髪型だけであんなにイメージ変わるのね。でも、途中から大泉洋に見えてしまうんだよなー。
有村架純さんは、私全然出演作をみたことがないのでなぜこんなに今モテモテなのかが分からなかったのですが、かわいいな。写真だとそんなに可愛い・美人だと思わないのですが、動いているとかわいいな。同じクラスにいたらかわいいな。
で、上に書いたようにずっと寝ているので特に何もしません。途中で半感染になった後は怪力になるのですが、それがクライマックスで何も活きてきません。だってずっと寝ているから。何なんだ、この設定。
そして、パンチラがないのですよ。女子高生のミニスカートでこの絶体絶命のピンチで身なりをかまう余裕なんてない状況なのに、パンチラがないのですよ。これがこの作品の最大のマイナスポイントだ!w
長澤まさみさんは、美しさの地力がある。すっぴんのようなお顔ですが、美しい。彼女はプライベートでも美に対する執着があまりなさそう(私の想像)ですが、地力がある。深キョンとは違う人種だ。勝手に二代目キョンキョンに任命していますので、今後もさわやかにエロくいてください。


+R15なので高校生は見ることができますが、ゾンビ映画のセオリーは分かっておいた方がいいと思います。「ゾンビとは」のルールもそうですが、グロ描写について。ここの耐性がないと厳しいと思います。初デートでこの映画を選ぶとその後気まずくなっちゃうぞ。


続編があればもちろん見に行きます。もちろん続編も+R15でお願いします。そして脚本の練り込みもお願いします。


<追記>
私はロッカーからの脱出場面は「同じ葛藤を何度も繰り返すなよ」と思ったのですが、ムービーウォッチメン宇多丸さんの「何度も勇気を出そうと試みるがダメだー、というヘタレの葛藤がいい」という評を聞いて、なるほど、と思いました。そういう見方もできますね。


この作者の「ルサンチマン」「ボーイズ・オン・ザ・ラン」も面白いので読んでください。「ボーイズ・オン・ザ・ラン」は映画も面白いです。ドラマは見ていないので分かりません。
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