やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画「69 sixty nine」 感想

クドカンは脚本家


69 sixty nine」を見ました。今さらですが。原作は未読です。
いやー、面白かった!!
きちんと理論的に解説できないので箇条書きに思いついたことを書きます。


妻夫木聡
素晴らしい。彼はいつも好青年ですが、今回はちょっとアホで無邪気で無茶な青春爆発の若者でした!今の方が演技上手いしイケメンですが、この頃の若さがはちきれている感じがとてもよい!
マンガか何かのキャラに似ているなーと思いながら見ていたのですが、思いつかなかった。誰だろう。
安藤政信
カッコイイ。若いので細い。美しい。
無茶する動の妻夫木君と、冷静な静の安藤君がいいバランス。「今日から俺は!」の三橋と伊藤みたい。
星野源
今の星野源しか知らないサブカルオリーブ女子、これを見ろ。坊主にグリグリメガネのクソダサイ奴がうんこをもらす瞬間を見ろ。
前半は全く存在感なかったのに途中からどんどん出てくるのは理由があったのでしょうか。もともとそういうお話なのかな?


この他にも新井浩文村上淳加瀬亮柄本佑、桐谷健太といった今メインで活躍している俳優や小日向文世國村隼岸部一徳などベテランも上手く配置。いいキャスト揃い。
そういえば、原日出子さんが妻夫木君のお母さん役なのですが、「怒り」でも親子でしたね。同じ李相日監督なのですが、あえてなのでしょうか。
今、リリー・フランキーさんは映画出まくりですが、この頃はこういう「ちょっと変な偉い人」の役は岸部一徳さんの独擅場だったなーなんてことも思いました。


脚本は宮藤官九郎クドカン、全然変わっていない。全くブレない。この男子校感と童貞感。物語は共学ですが、女生徒と普通に会話している場面なし。後半にあるけど、ラブシーンはなし。その代わり女子更衣室に忍び込んで着替えを妄想するシーンあり。女性はエロスか理想でしかない。実在感がない。
私は原作は読んでいないのですが、だいぶ変わっています?「流星の絆」もだいぶ変わっていたのにきちんと着地していたので、今回もそんな形なのかな?
あと、クドカンはやはり脚本のみの方がいい。「くだらなさ」はクドカンの良さのひとつですが、自身が監督をやるとそっちに引っ張られすぎる。なので、監督が別にいるときちんと締めてくれる、このバランスが良いと思います。


1969年のお話ですが、あまり時代は感じません。単に時代考証が甘いのかな?全共闘とか学園闘争の時代ですが、若者が学校に反発するのはいつの時代も同じなので、今の若者が見ても違和感なく見ることができると思います。というより、私よりも現役高校生が見た方がこの熱は伝わるかもしれません。


バリケード封鎖や学校中の落書き、ロックフェスの開催など「そんなの無理だろ」とか「結局何がしたいねん(主人公も映画自体も)」という冷静なツッコミも分かりますし、普段そういう点にうるさい私ですが、この映画は全面支持。なぜだろう。上手く説明できない。普段の自分と整合性がつかない。
多分、映画の中でケン(妻夫木君)は生きていたので、その世界の中では起きていることが現実なのです。現実なんだから分かりやすい目標の実現・困難の解決といった「お話のゴール」がはっきりしなくてもいいのです。ケンが輝いているのを見ることで満足なのです。キャラ立ちの勝利。それはまずは原作、そして脚本、何より役者の力。もちろん監督の演出も重要。


面白かったです。高校生と星野源好きのサブカル女子に見てほしい。


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69 sixty nine (集英社文庫)

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69 sixty nineオフィシャルガイドブック (TJ mook)

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69 sixty nine オリジナル・サウンドトラック (CCCD)

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