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やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

地方創生の理想と現実

総論賛成、各論反対


私は地方出身者で、高校卒業とともに地元を離れ、その後仕事の関係で長野・群馬・神奈川・東京などに住み、今はまた地元に戻っています。
現在「地方創生」が各所で議論されており、私の地元でもU・Iターンのために何をすべきかということは常に考えられています。


今から数年前、「里山資本主義」という本が出版されました。私も読みまして、とてもいい内容だったと思っています。
当時の感想エントリ↓
ese.hatenablog.com
このエントリにも書いた通り、私はこの考え方に賛成です。見た目の経済成長ではなく、地産地消で経済を回す。経済とはお金を回すことなので、見た目の成長率は鈍っても、実体経済は活発化するのです。


田舎は近い人間関係が必要ですが、助けてくれる友達・近所の人たちがいます。病気でも結婚でも葬式でも、いろいろ助けてくれます。その分、普段から交流が必要で、近所の清掃や草刈りや祭りの手伝いなども必要になります。
これに対し、都会はこれらのしがらみはありませんが、その分すべてにお金が必要です。そして突然のトラブルでも助けてくれる人は多くありません(ここは普段の人間関係によるけど)。


すべてにお金が必要な都会と、濃密な人間関係が必要な田舎。
近所付き合いが苦手でなければ、田舎の方が暮らしやすいと思います。都会は、すべて「金で解決」です。
都会の大企業の方が給料がいいのは事実ですが、生活するのにお金が必要なのも都会です。田舎は野菜はもらい放題だし、自家栽培で余った農作物を投げ売り価格で軒先で無人販売しています。米だって近所の農家から買っているのでスーパーで買うよりだいぶ安いです。その他家賃や駐車場などを考えても、あらゆる生活コストは田舎の方が安い。果たしてどちらの生活が「豊か」なのでしょう。
家だって、都会の2LDK1億円(相場分からないので適当です)なんて信じられない。田舎は車3台駐車場付き(もちろん屋根付き)3階建ての家がごろごろあります。当然1億円なんてかからない。
職場まで満員電車で1時間以上かけて通うなんて信じられない。車で30分も走れば相当遠い場所まで通勤できます。


子供の教育だって、自然豊かな場所で育てた方がよいと思います。この辺は実感がないのでよく分かりませんが。
通勤にしろ通学にしろ、満員電車は本当に人間を殺す装置だと思っているので、それがないだけでも田舎暮らしの方が生活しやすいです。


しかし、それでも私個人は、都会で生活したいのです。田舎は嫌なのです。総論賛成、各論反対。
だって、結局舞台やライブを見るには都会に行かなければならないし、自分がアウトドア派ではないので山も川もいりません。


私は地方と東京の大学の両方に合格したのですが、当時田舎者だった私は「東京」にびびって地方の大学に進んでしまいました。そして30歳を過ぎて転勤で東京に住んだら、楽しかった!ああ、大学生を東京で過ごしていたら今と全然違う人生だっただろうな、と思っています。
当時は東京とはいえ町田に住んでいたので、普段は車で通勤する生活で満員電車地獄を味わうことはなく、しかしSuicaをちょいとかざせば渋谷でも新宿でもすぐに行ける環境。休みの日に「何かイベントとかないかな」と調べてふらっと行ける環境。最高じゃないですか。
田舎の自然には興味ないし、近所付き合いも苦手。田舎のメリットは何もありません。


なので、総論としては地方で地産地消を始めとして小さい範囲で経済を回すという考えはとても正しいと思うのですが、自分はそこに入りたくない。都会で人間関係に患うことなくエンタメを享受したい。ということで各論としては「でもやっぱり都会の方が楽しいよねー」です。


で、こういうのは「合う・合わない」があるのでは、と思うのです。
外国人でも日本に馴染んで住んでいる人はたくさんいます。元メガデスマーティー・フリードマンなんてあんな世界的なギタリストなのにすっかり日本人じゃないですか。日本語も話せるしJ-POPも大好き。同じように「こんなところに日本人」に出てくる人のように海外に根付いて生活している日本人もいます。
合う・合わない。それは出身の問題ではないのです。私のように田舎出身でも都会(でも満員電車は嫌だけど!)が好きな人間もいるし、都会出身でも自然大好きの人もいるでしょう。
なので、「地方創生」「里山資本主義」という考えには賛同しますが、地方出身者が地方に戻ることがいいこと、とは言えません。


もうひとつ、実際に地方に戻ろうかと考えている人でも、そこには「どうやって暮らすか」という問題があります。それは「仕事」の問題です。
どれだけ環境のいい場所でも、仕事がなければ生活していけません。なので、自治体はU・Iターンの人に家賃補助をしたり出産費用の補助をするのは優先順位としてはそんなに高く掲げる必要はないと思っています。
それよりも、仕事です。
実際、私の住んでいる地方では仕事はあります。有効求人倍率は相当高いです。しかし、戻ってこようとする人が「やりたい仕事」は少ないかもしれません。
しかししかし。「やりたい仕事」って何?どんな会社・職種を知っているの?地方なので大企業はありませんが、その下請けとしてなくてはならない仕事をしている会社はいくつもあります。地元に根付いており、倒産の心配をする必要のない会社もいくつもあります。
知らないだけではないのか?
確かに、地方にある会社なんて名前を聞くことはありません。当然仕事内容も知りません。でも、いい会社、しっかりしている会社はいくつもあります。なので、自治体がするべきは「こういう会社がある」ということを知らせることではないでしょうか。
仕事はある。いい会社もある。でも、それを知らないだけ。このミスマッチを減らすだけでだいぶ地方へ来る・戻るためのハードルは下がるのではないでしょうか。


都会と田舎の現実を見て、自分に合うところを選びましょう。どちらにもメリット・デメリットがあります。ハードルもいくつもありますが、それは「知らない壁」のことが多いので、地方に来てもらいたい自治体はその壁を壊す努力をすること。このアンマッチを解消するだけで流動性は高まると思います。
あと、「里山資本主義」の考え方では、地方での地産地消は見た目の経済指標は下がります。青森で作った農産物を東京まで運べばその流通コスト分価格は上がるので見た目の経済は大きく動きますが、青森の中だけで生産・消費をすればかかるコストは小さく、見た目の経済はあまり動きません。しかし、経済とは「お金を回すこと」なので、その地方はそれで充分経済貢献しているのです。なので、「里山資本主義」を広めるためには国が見た目の経済成長にこだわらないことも必要となります。


というわけで私は都会の外れに住みたい。


里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)

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和の国富論

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