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やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「平易な言葉」と「そのままの言葉」の違い

音楽 雑感

表現とは


1月15日放送の『関ジャム』は「売れっ子プロデューサーが独自の目線で選ぶ2016年名曲ベスト10」の後半戦で、いしわたり淳治蔦谷好位置tofubeatsのベスト3が発表になりました。
それぞれのランキングはこちら。
いしわたり淳治
1.Have a nice day/西野カナ
2.みんながみんな英雄/AI
3.前前前世/RADWIMPS
4.STAY TUNE/Suchmos
5.蝶々結び/Aimer
6.ラヴ・イズ・オーヴァー/JUJU
7.PERFECT HUMAN/RADIO FISH
8.金の愛、銀の愛/SKE48
9.魔法って言っていいかな?/平井堅
10.My Boo/清水翔太


蔦谷好位置
1.なんでもないや/RADWIMPS
2.Die Young/KOHH
3.鯨の唄/Mrs.GREEN APPLE
4.リッケンバッカー/リーガルリリ
5.majority blues/チャットモンチー
6.No Problem/Chance the Rapper
7.In My Face/SALU
8.C'est la vie feat.七尾旅人/Kan Sano
9.LOSER/米津玄師
10.はきだめの愛/T字路s


tofubeats
1.PPAP/ピコ太郎
2.24K Magic/Bruno Mars
3.道/宇多田ヒカル
4.真夏の通り雨/宇多田ヒカル
5.Shut Up&Groove feat.DEAN/HEIZE
6.Cry&Fight/三浦大知
7.Don't Touch My Hair feat.Sampha/ソランジュ
8.恋/星野源
9.Luv U Tokio/METAFIVE
10.サイレントマジョリティー/欅坂46



この第1位で蔦谷さんは「ヒット曲の手法をいくつも取り入れている」「特にサビのコード進行が意外でびっくり」という評価、トーフさんは「808というリズムマシンに内蔵されているカウベルの音色を使うとは」という評価でした。
トーフさんのPPAP評はネットニュースにもなりました。
headlines.yahoo.co.jp


そして、いしわたりさんの第1位は西野カナ『Have a nice day』でした。

流行語が歌から生まれなくなっている。あるときからミュージシャンは自分の気持ちを歌う、表現することがゴールになっていて、その歌が世の中でどのように機能するか、誰の生活のBGMになるか、そこまで考えが及んでいない歌が増えたなって思っている。
で、西野カナの特別なところは、その視点が絶対的にあることで、常に誰かの暮しのBGMにどうやったらなるかっていうことを考えている。
(中略)
スタンプになりそうな言葉がフックとしてたくさんあって、一日のその人の生活の中でこの曲が頭に流れるチャンスは多い。だから、この曲は世の中で機能する曲だなって思ったんです。

というものでした。
ちなみに歌詞はこちらです。
http://j-lyric.net/artist/a04d733/l03b48d.html


「その曲が個人の生活の中でどう響くか(作用するか)」といういしわたりさんの意見はとてもよく分かるし納得します。しかし、「だからこの曲は名曲だ」とはすんなり思えないのです。


私は歌詞の「平易/難解」については、それ自体はどちらが正しいとか優れているという比較にはならないと思っているので、平易な言葉で書かれた歌詞はよいと思います。しかし、その歌詞があまりに「そのまんま」だと、解釈の余地もないし行間を読むこともできない、浅くて薄くて耐久性のない歌詞になってしまうと思うのです。
そして、この曲はそういう曲だと思うのです。
「カレーは辛い」「夏は暑い」みたいな、「はい、そうですね」しかいえない歌詞。それ以上でもそれ以下でもない、そのままの言葉。
これは表現といえるのでしょうか。


「表現」とは、私個人の解釈ですが、「そのものを言わずにそのものを表すこと」だと思っていて、それがダブルミーニングや比喩・暗喩といった技法で歌詞に厚みを持たせ、個人的な出来事でも抽象的な表現により普遍的な共感を呼ぶのだと思っています。
それが、この歌詞はあまりにそのまま過ぎないか、と思うのです。
いしわたりさんは番組の中で「最近は作り手が表現する時点で終わっている。受け手のことを考えていない」と言っていて、その意見にも納得なのですが、うーむ。


そういった点も踏まえて、いしわたりさんはこの曲が2016年No.1といっているのか。もちろんプロですからそういうことも全部分かっているはずですが、ぜひご本人にお聞きしたいです。


西野カナの『トリセツ』は「平成の『関白宣言』」ともいわれましたが、『関白宣言』はラストで愛情と不器用の裏返しということが分かりますが、『トリセツ』は最後まで自分の要求を並べるだけ。ちなみに『部屋とYシャツと私』も自分の意見だけですので、こちらの方が『トリセツ』に近いのでは。
また、『あなたの好きなところ』では延々と彼氏の好きなところを言っていくだけという歌詞で、ブリッジの部分では「あなたで良かった だって面白いもん」という歌詞があります。私は初めてこの曲を聴いたときにのけぞってしまいました。何だこの歌詞!


「そのまま」がいいのか。「分かりやすさ」が最重要なのか。私は、歌詞の内容の好き嫌いではなく、「そのままの歌詞」が苦手なのです。
うーん、うーん、うーん。


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