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映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」 感想

最低な人、最高の映画


ウルフ・オブ・ウォールストリート』を見ました。公式サイトはFacebookなの?なんか怖いので貼らない。
この作品はスコセッシ×ディカプリオ5度目のタッグ。とはいえ、私は『シャッター・アイランド』しか見たことがない。


面白かった!
上映時間179分と3時間なのですが、映画から放出されるエネルギーがすごくて長さを感じない。いや、実際は長いしいらないエピソードもあるので編集次第ではあと30分は短くできると思いますが、エネルギー量でその辺は帳消しだ。園子温の『愛のむきだし』みたいな感じ。
スコセッシ監督、この映画の時点で71歳ですよ。どうやったらこんな若くてアグレッシブでインモラルでエネルギッシュな作品を撮れるんだろう。まだチンコ勃つのかな。


この作品は株のディーラーの狂乱の日々とその破たんを描いているのですが、これ、実話なんですよね。どこまで実話でどれくらい脚色なのかなと思いましたが、結構実話。株屋ってすごい。怖い。
ameblo.jp
こんなことが実際に行われていたとは。日本でもバブル期はこうだったの?証券会社はこうだったの?六本木ヒルズはこうなの?ホリエモンも藤田さんもこうだったの?


狂乱の主人公がディカプリオなのですが、彼も新入社員の頃は「お客さんも幸せに」なんて真っ当な倫理観と理想を持っていたのに、上司とのランチにより完全に陥落。
この上司はマシュー・マコノヒーで、この最初の場面しか登場しないのですが、ディカプリオにも見ている私たちにも影響与えまくり。株とは、儲けるとは、正義とは、倫理とは。
このマシュー・マコノヒーは、最初は『課長島耕作』の中沢部長のような「話の分かる上司」に見えるのですが、数分後にはワタミ会長のような「相手のことなんて知らん。儲けることが正義」に見えてくるんだから恐ろしい。同じシーンのほんの数分間なのに。
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株自体は実体がない。株で儲かったら別の株を買わせろ、現金に換えさせるな。儲かっている「状態」にしておけ。俺たちはその売買ごとに手数料が入ってくる。
その通りだ。実も蓋もないけど、その通りだ。


嫌だなー。他人のお金を右から左に動かすだけで儲ける商売。自分では何も生み出していないのに一般の仕事より儲ける商売。
そしてディカプリオ率いる会社が拡大するにつれて、乱痴気騒ぎもどんどんエスカレートしていきます。仕事中でもドラッグは当たり前、特別ボーナスをあげるから女子社員の頭を丸刈りにする、ミゼット(小人症)をダーツに見立てて的に当てるゲームを行う、仕事中はセックス禁止の張り紙を社内に貼る、会社に売春婦を呼んでハメさせる(このとき、女子社員はどういう気持ちだったんだろう?)。
ディカプリオはカリスマ性もあり演説も巧みで、この作品を見た人の中では「自分もここで働きたい!」と思った人もいることでしょう。それくらいある意味魅力的な会社です。


本作はバイオレンスシーンは(ほぼ)ないし内臓が出るわけでもないし血まみれになるわけでもないのですが、R18指定です。倫理・モラルはめちゃめちゃだしドラッグ常習者ばかりだし裸・セックスシーンは何度も出てくるし「FUCK」というセリフは500回以上登場するしで、そりゃR18だわという作り。


こんな、登場人物の誰も応援できないし賛同しない作品なのに、めちゃめちゃ面白い。悔しい。


ディカプリオはこの作品でもアカデミー賞は獲れず、次の『レヴェナント』でようやく獲得したわけですが、この作品もよかったです。自分の尻にローソクを挿して風俗嬢と楽しむとかその辺の「体当たり演技」だけではなく、野心に燃えて何でも食い尽くしてやるエネルギッシュな情熱に満ちていました。そして中盤からドラッグに溺れていく様もいい。ドラッグででろんでろんになる演技は途中何度もジャック・ニコルソンの顔になっていましたよ。
ディカプリオの離婚後の奥さんはマーゴット・ロビー。『スーサイド・スクワッド』のハーレイクインですよ。私見てないけど。『スーサイド・スクワッド』でもセクシーなコスプレしていましたが、本作では思いっきりオールヌードになるのね。儲けた!


最低だけど、最高でした。ポリコレなどにうるさい人は批判するのかな。


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