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やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画『キングコング: 髑髏島の巨神』 感想

有能なオタクにお金と権限を持たせた結果


映画『キングコング:髑髏島の巨神』を見てきました。公式サイト↓
wwws.warnerbros.co.jp
私は、怪獣映画を見ません。『キングコング』は今回で8度目の映画化だそうですが、どれも見たことがありません。2005年のピーター・ジャクソン版も見ていません。
当初は予告編を見ても見に行こうと思っていなかったのですが、その後の予告編でキングコング以外に怪獣がわんさか出ることを知って俄然興味が湧きました。
しかし年度替わりの忙しさでなかなか時間が取れず、そうしている間にもTwitterのTLには「最高!」「傑作!」のオンパレードが。ぐぎぎと思いつつハードル上がっちゃうなーと思いながら、ようやく見てきました。


最高!傑作!


あー、もっと早くに見たかった。そして監督のインタビューやTLでのネタバレ考察も味わいたかった。ネットを見ると素晴らしい批評や解説がたくさんあるので、私はもう書くことがない。でも書こう。
以下、ネタバレあります。




全体的な感想としては「私が子供の頃に読んでいた少年マンガを大勢の大人と多くのお金で実写化!」というものです。
今のマンガはマンガであってもある程度のリアリティや時代考証や実現可能性や理屈が求められるものですが、昔はその辺の細かいところは誰も気にしなかったし気付かなかったしツッコまなかった。
それが、今作ではある程度の理屈だけであとは「細けえことはいいんだよ」で進むのがとても潔かった。「地球空洞説」なんて水曜スペシャルユリゲラー・矢追さんみたいなレベルの話ですが、その辺は誰もツッコまず話は進む。
なので、この島で起こることはこの作品の中では全て現実であり、そこにツッコむのは野暮でしかないのです。


「怪獣映画」って、あり得ない話なわけです。それを「アリ」にしている世界観の見せ方は上手いなー。リアリティを損なうことなくあり得ないファンタジーの世界を見せる。
冒頭で「島の周りは天候が悪いので船では近づけない」「だから今まで誰にも知られなかった」「だから上陸にはヘリで行かなければならない」という条件設定と「3日後に迎えに行く」というゴール設定を見せるのも上手い。


さて、嵐を抜けて島へ。と思ったらすぐにキングコング来襲!いいぞいいぞ!暴れろ暴れろ!
この辺の撮り方も好き。ヘリ側の主観構図(墜落するまでぐるぐる回ってどーん!)、リアル「ゴリラにバーン!」(昔『ダウンタウン汁』で松ちゃんが大喜利でこういう回答をしたのです。誰か覚えている人いますか?)、ヘリの隙間からコングの眼、などなど。監督のこだわりが出てるわー。


ここからは怪獣オールスターズ総登場。楽しい!人間たちが徐々に殺されて減っていくのも定石です。ラスボスに自爆作戦で挑んだ彼が「尻尾でバーン」で犬死にするのはかわいそうすぎる!
人間側のボスであるサミュエル・L・ジャクソンのコングとの目力対決は、何とコングと互角!アップになるとどっちがコングか分からないぜ。


ラストのキングコングとスカル・クローラーとの闘いは、超熱かった!ケンシロウラオウ、悟空とフリーザジョジョとディオたちの闘いと同じレベルで燃えたね。殴り合い、背負い投げ、ピンチと大逆転。燃えた。ずっと見ていたかった。


エンドロール後に何か特別な映像があるというのはTwitterで目にしていたので期待しながら待機。しかしそういうことを知らない人たちはぞろぞろと途中退席するんだよなー。わざわざ引き留めて「この後何か映像あるから!」とは言えないけど、もったいないなー。ほんの数分待てずにアレを見逃すんだもんなー。やーいやーいざまーみろー(映画を見ている間に小学生に退化している)。


この作品はレジェンダリー・ピクチャーズ製作の怪獣映画を同一世界観のクロスオーバー作品として扱うモンスターバースシリーズとして制作されており、2019年にはハリウッド製の『ゴジラ』が公開されるということは知っていたので、エンドロールで流れるのもゴジラだろうとは予想できていました。
で、エンドロールは原住民の壁画をゆっくりとスクロールしながら映していくので、ははーん、このラストにゴジラの壁画が出てくるんだな、と思っていたのに、出ずに終了。
あれ?と思っていたら再びドラマシーン。「王(キング)はコングだけではない」というセリフとともに映し出されたスライドにはゴジラモスララドン(ギャオス?)・キングギドラの姿(壁画)が!!!!!
まさかゴジラだけでなくキングギドラ他まで!しかもどれも日本怪獣映画のヒーローたち!どれも見たことないけどめちゃ盛り上がった私。昔からの怪獣映画ファンにしてみたら勃起か失禁不可避のエンディングでしたな。


続編を作るにあたり「地球空洞説」が根拠になっているのもいい。今後いろいろな怪獣が出てくるけど、毎回秘境の地というわけにはいかないのでそれは地球の底から出てくるのだ、という理屈。科学的根拠はゼロだがそれでいいのだ!
また、「コングは成長期」というセリフがありました。本作ではコングの体長は31.6メートル。ギャレス・エドワーズ版のゴジラは108メートル。今後闘わせるには体格差がありすぎる。しかしコングは成長期なのでもっと大きくなることは可能!上手い設定だぜ。


あと、この作品はオマージュも多い。他のレビュー読んでいただいた方が詳しいので私は割愛。ただ、『地獄の黙示録』はこれでもか!というくらいオマージュ・トレース・サンプリングしていましたね。
夕日と、その夕日をバックに立っているコングの姿、ナパーム弾を思い起こさせるサイズミック爆弾、その炎の揺らめき、戦場で大音量で鳴らされる音楽、川を下っていき出会う原住民、等々。


もちろんツッコミどころはたくさんあります。
1970年代まで存在を知られなかった島なんてありえるのかというそもそも論は置いておきますが、これですら『ドラえもん のび太の大魔境』みたいだな、とワクワクしてしまった。
・脱出用の船は、修理はできたとしても30年前の燃料が使えるわけねーだろ。
・原住民の砦、巨大すぎるだろ。作るのに何年かかるんだよ。
・ガスの立ち込めた場所で炎が燃えても周辺一帯には燃え広がらない、ライターの火を地面に落としたらそこだけ爆発。
・未開の島でタンクトップで動き回るな。
・墜落したヘリに挟まれて身動きが取れないスケル・バッファローを助けようとしてメイソン(ブリー・ラーソン)が機体を持ち上げようとしますが、動くわけねーだろ。
・コングに助けられたメイソンはコングの手のひらの中にいる状態でスカル・クローラーの口の中に入りましたが、無事。握りしめられて潰れちゃわないのかよ!
しかし、これらのツッコミは何も批判の材料になりません。この作品ではここでの出来事は全て事実なのです。見ている私たちを味方につけツッコミを「野暮」にしてしまう世界観の構築にあっぱれ。


その他気になった点ですが、この作品に限らず最近のハリウッド大作には中華資本が入っているものは多いですね。で、そうなると内容も中国を舞台にしたり中国人俳優が多く出たりと「目くばせ」が出てくるわけですが、本作でもジン・テイエンさんという女優がストーリーにはびた一文関わらないのに出ていました。何か特技でピンチを脱するとかさせてあげればいいのに。
市場規模を考えると中国に媚売るのは仕方ないと思うのですが、そうなると内容の自由度に制限がかけられる(中国共産党を悪者にできない、不要なのにキャスティングに入れなければならない等)のが嫌だなあ。そして、市場規模も俳優の英語の堪能さもどれもアジア各国に勝てなくて日本はどんどん世界から無視される国になっていくのが寂しいなあ。


話が逸れた。『キングコング』、最高です。既に公開終了間際なので、まだの人は急いで!これは劇場版で見るべき作品ですから!