やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

『週刊少年ジャンプ展』に行ってきました! 感想

足りない


六本木で開催されている『週刊少年ジャンプ展』に行ってきました。公式サイト↓
shonenjump-ten.com
今回は創刊から1980年代まで。来年3月からの第2回で90年代をやるそうです。
私は小学3年生から中学3年生まで毎週ジャンプを買っていて、それは1982年~1988年。まさにドンピシャの時代!これは行かねば。
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中は撮影禁止なので写真がない。


私が買い始めたときは『ジョジョ』以前の『魔少年ビーティー』、『北斗の拳』の前の『鉄のドンキホーテ』(モトクロスのマンガです)、『ハイスクール奇面組』の前の『3年奇面組』、『聖闘士星矢』の前の『風魔の小次郎』、『魁!男塾』の前の『激!!極虎一家』などが連載していた時代。『キャプテン翼』はまだ小学生で再延長試合というひどい仕打ちを受け、『キン肉マン』は黄金のマスク編でジェロニモが自分の心臓揉んでいる時代。『ブラックエンジェルズ』では切人がまだ誰なのか分からず、『Dr.スランプ』ではガッチャンはまだ一人でおぼっちゃまくんもまだいない時代です。『こち亀』はもちろんこの時代も連載していましたが、両さんはまだタバコを吸っておりマリアも寿司屋も出てこない時代です。


平日とはいえ夏休みだから混んでいるかなーと思ったのですが、ものすごく空いていました。そうか、1980年代までだから学生や若い人は興味ないのか。確かに会場には私と同年代の人が多かったです。


入ってまずはオープニング映像。これは完全入れ替え制なので一度しか見られません。ケチ。
中も撮影禁止。ケチ。まあ、撮影OKにしちゃうと何でもかんでも撮影する人がたくさん現れて収拾つかなくなるから仕方ないか。


中はもちろん原画や名作シーンがあって作品の説明があるのですが、足りない。物理的にも足りないし内容的にも物足りない。
この作者は誰のアシスタントで、とか誰の影響を受けて、とかこのシーンはこういう裏話があって、とかこの作品が与えた影響とか。足りない。日本のマンガはこれだけ文化的にも歴史的にも厚みを持つカルチャー・コンテンツになったのだから、そういう時代的なつながりや影響についてもっと情報量をくれ!こういうところに来る人はオタク・サブカルが多いんだから、情報に飢えているんだよ。


原画ももちろん展示してありましたが、足りない。もっとたくさん見たい。そんな普通の回の普通のコマの原画じゃなくてあの名場面を原画で見たい。


1980年代までとはいえ、連載作品をすべて展示することは不可能だし取り上げる作品をあまり深く掘り下げることも不可能ですが、それでも足りない。単なるマンガ展示会でしかない。創刊号からの全部の号の表紙を一面に展示したスペースなどもほしいなー。
作品ひとつに対して深く掘り下げることが不可能であっても、週刊少年ジャンプについては深く掘り下げてほしい。私たちが見たいのは「わー、北斗の拳だーキン肉マンだー懐かしいなー」みたいな上っ面の懐古趣味ではなく、この歴史をきちんと振り返るマニアも納得の学術的な情報量です。私だけ?


物販やお土産はほぼ買わない私ですが、パンフ買っちゃった。そこで、ここに掲載されている作品について少し語らせて。オタクの一人語りはウザいけど、語らせて。


本宮ひろ志
そもそも私がジャンプを買うようになったのは父親田中角栄を好きで『やぶれかぶれ』を読みたくて買ったことから始まります。そこでその面白さにびっくりしてその後自分で買うようになりました。当時は170円。
天地を喰らう』の毎週巻頭オールカラーでおっぱいがいっぱい登場したのはいい思い出。


北条司
『キャッツアイ』のラストで記憶喪失とは都合のいい終わり方だなと思いつつ「もう一度瞳と恋ができる」という名ゼリフで許す。
シティーハンター』は今の時代、ああいう戯画的な「もっこり」でも許されないのかな。セクシーシーンはいくつも出てきましたが乳首はほぼないので北条司のバランス感覚は素晴らしいと思うけどな。これもラストでぐだぐだ引っ張りが続いて結局どう終わったのか覚えてないな…。


キャプテン翼
今の時代ならツッコミまくりですが当時は私も含めみんなが夢中で読んでいました。小学生では両方優勝でしたっけ?中学生は優勝した?その先はどうなったっけ?結局何も覚えていませんが、ドライブシュートタイガーショット、カミソリシュート、スカイラブハリケーンなど、ジャンプならではのスーパープレイがあればそれでいいのだ。この作品で私はサッカーのルールを覚えました。


車田正美
リアルタイムで読み始めたときは『風魔の小次郎』の聖剣戦争の初めの頃。そこから遡って『リングにかけろ』にも熱中しました。『男坂』のラストは子供だった私にも「これぞ打ち切り」と分かる不完全燃焼っぷり。そしてその後『聖闘士星矢』で爆発。「な、なにい」「あ、あいつは」という煽りセリフ、見開きと大ゴマで納得させる理論超越力、主役キャラの公平な割り振り(美男子、クール、熱血など)、天に向かって敵は飛ぶ必殺技など車田メソッドは今でも有効だ。現在それが自己パロディになっているのがもったいない。ちゃんと読んでないけど。


キン肉マン
こちらも『キャプテン翼』同様無茶な理屈ですが当時は誰もが疑わずに読んでいました。これがあーなってこーなって1000万パワーなんだな。今思えば話も荒唐無稽すぎてひどいのですが、なぜあんなに熱中して読んでいたのだろう。


北斗の拳
やはりラオウまでだよなー。修羅の国以降は武論尊だって「何も覚えていない」と言っているように、私も覚えていない。顔がどんどん細長くなっていくのも嫌だった。ラストのエピソードでは残虐描写がきつすぎて読むの辛かったなー。


鳥山明
やはり『Dr.スランプ』の頃から絵が素晴らしい。一枚絵としても素晴らしいのに一枚絵の中に動きが見える。


平松伸二
ドーベルマン刑事』の頃はリアルタイムではなく、『ブラックエンジェルズ』の前半から。ジュディが組織に捕まってマシンが服を破くシーンに興奮したなー。小学生にとってイラストであってもおっぱいは大好物なのです。今もだけど。


コブラ
早すぎた。絵の上手さも話の構成も脚本のイカしたセリフもすべてが10年以上早かった。この当時からコンピュータを導入してマンガ描いていたし。もし寺沢武一がアメリカでマンガを描いていたら今のアメコミの歴史は全部変わっていたぞ。
今でもハリウッドが映画化してくれないかなーと思っています。


●ストップ!ひばりくん
人気が出ないので打ち切りではなく、書けないから打ち切り。今思えばよく江口寿史が週刊誌でマンガ描いていたよな。のちに『ロッキングオンジャパン』という月刊誌で1ページマンガをたった2回で打ち切られたことを考えれば当時が異常なのか。
江口寿史は「80年代を始めた一人」だと思っていて、その辺をもっと掘り下げて紹介してほしかったなー。


銀牙-流れ星銀-
まさか今まで続く話になるとは。赤カブトを倒すまでも面白かったですが、「絶天狼抜刀牙」以降の方が熱中したな。


奇面組
3年奇面組』が高校に上がるから『ハイスクール奇面組』になるのは真っ当。しかしその後タイムマシンで1年戻るを繰り返して連載を引き延ばすのは苦しかった。途中から開き直って『サザエさん』のように学内の時代は延々繰り返すにしちゃえばよかったのに。そしてラストの「夢オチ」。そりゃないぜ!!!!
私は全く絵心ない芸人ですが、奇面組の5人だけ描けます。


●よろしくメカドッグ
これで車のことを学びました。ターボ、スーパーチャージャー、ニトロ、ボアアップ、ハイドロプレーニング現象。公道キャノンボールにゼロヨンレース。セリカXX、RX-7フェアレディZCR-X。アニメ主題歌で6速のことを「ハイオーバードライブ」というのも学んだ。本当にそういうのかは知らない。
この作品もラストは「最高のチューンナップって走りやすさだよね」という精神論で終わって不満。


徳弘正也
今回『シェイプアップ乱』を久々に見たら、絵がひどい。当時も思っていたけど、本当に絵がひどい。よくこれでデビュー出来たな。でも話は面白い。『ターちゃん』は包茎ネタをたくさんやっていたけど、これも今ではできないネタ?


ついでにとんちんかん
これも絵は上手くない。でも当時は笑っていたなー。今でも子供には通用するだろうな。抜作先生と天地君の顔も描けます。
えんどコイチ月刊少年ジャンプの方で『死神くん』も連載していて、こちらはギャグではなくヒューマンストーリー。泣いたなー。立ち読みで泣いたなー。


今泉伸二
『空のキャンバス』で体操のルールを覚えた。吊り輪は力の種目!ラストの「伸身3回宙返り3回ひねり」が実現する日は来るのだろうか。『神様はサウスポー』も好きだったけど、お涙ちょうだいが多すぎて辟易した。


きまぐれオレンジロード
優柔不断な少年が二人の少女からアプローチをかけられて右往左往というベタな青春ラブコメ。しかも超能力もあるのでお色気にも対応。鮎川まどかがツッパリという設定(髪型も制服のロングスカートも)に時代を感じる。
この頃から私は恋愛ものに興味がなかったなー。だから今ひとりでこれを書いている。
今スピリッツで連載している『スローモーションはもう一度』はこれが下敷きですよね。読んでないけど。


荒木飛呂彦
魔少年ビーティー』はめちゃめちゃ面白かったのにすぐ終わって残念。ピンポン玉を脇に挟んで脈を止めたり爪楊枝で皮膚に文字を書いて浮かび上がらせたりいろいろやったなー。主人公はビーティーではなく公一。彼が見た謎の少年ビーティーの記録という体裁も面白い。そもそもビーティーって彼の本名でもニックネームでもなく、イニシャルなのです。その辺も、早すぎたのかなー。
この展示会では取り上げられてもいないのですが次の『バオー来訪者』も好きでした。溶かす液体を出すバオーの手がなぜ溶けないのかというと、同じ速度で同時進行で皮膚が再生しているからなのですよ。何を言っているのか分からねーと思いますが。
このテイストが次の『ジョジョ』につながっていくのでしょうね。ちなみにこの展示会は第一部のみ。第2回で二部以降を取りあげるそうです。私は二部が好きなのよ。波紋は手のひらより指先!ワムゥ、エシディシ、カーズ!考えるのをやめた!二部推しの私。


宮下あきら
『激!!極虎一家』はあまり覚えていません。『嗚呼!毘沙門高校』は野球やったりマラソンやったり途中からギャグじゃんと思いながら読んでいました。『ボギー・ザ・グレイト』は1回目から駅前の鳩を焼いて食うという、今ではアウトかもしれないところからスタート。でも何も覚えていない。
で、ようやく『魁!!男塾』。当初の「ひたすら真っすぐ進む訓練のために街中の家を破壊しながら歩く」とかも好きだったのですが、3号生大豪院邪気の登場からさらに面白くなりました。そして「驚邏大四凶殺」「大威震八連制覇」「天挑五輪大武會」と倍々ゲームで膨張する戦い。破綻しつつそれすらギャグにする力業は今でも健在ですな。
途中から民明書房がウソだということに気づいた私は大きなショックを受けましたよ!『元気が出るテレビ』の8月のペンギンなども途中まで信じていた素直な私。


●バスタード!!
当時ハードロックを聴いていたので、出てくる登場人物・呪文の元ネタが楽しくて。そしてエロくて。しかし途中から話が大きくなりすぎてついていけず…。私の中で『ベルセルク』と同じ道のりを辿った作品。


ろくでなしブルース
今見ると書き込みが多いなー。そしてヤンキー以前の「不良マンガ」だなー。千秋は少年マンガでなかなかの「魅力ないヒロイン」でしたな。これもラスト覚えてないな…。


ウイングマン
この頃からエロかった。アオイさんありがとう。『電影少女』『I's』はもう読まなくなった時代なので全然分かりません。


長くなったのでもうやめます。でも、ここに展示されない作品でも思い出のマンガはいくつもあるのです。『海人ゴンズイ』とか『アカテン教師梨本小鉄』とか。そういうちょいマイナーな作品を集めた展示会もマニア集まると思いますよー。


小学3年の頃から買っていたジャンプはすべて取ってあり、カラーボックスに入れていました。自分の6畳の部屋はジャンプだらけでした。それが中学3年のある日、急に「何だこれは!部屋中ジャンプだらけじゃないか!」と突然思ってしまい、全部処分しました。あの日の自分、どうしたんだろ。あれが大人への階段だったのかな。実際童貞を卒業するのはあと数年かかるのですが。


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会場内で一部撮影OKの場所があったので一生懸命撮る。
10月15日まで開催しておりますので、ぜひ!