やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

日本にHIPHOPが根付かない理由

歌詞とメロディしか聞かない人たち


私の中学~高校時代の音楽人生は尾崎豊浜田省吾長渕剛が3大巨頭で、CDプレイヤーの前で正座で歌詞カードを見ていい曲だいい歌詞だと思いながら聴いていました。
大学で音楽サークルに入り、洋楽の洗礼を受けます。当時はハードロックブームの終わり頃で、その後グランジブリットポップのブームがあった時代です。こういった音楽と、50年代以降のオールディーズ、60年代のビートルズやシンガーソングライターの名曲、70年代ディスコ、ファンクミュージック、80年代ポップス、オールドスクールのヒップホップなどをたくさん聴いていました。
で、数年後。久しぶりに尾崎や浜省を聴いたら、音がダサい!あれ、こんなにギターシャリシャリしてたっけ?こんなにスネアにリバーブかかっていたっけ?高校時代に聴いていた音楽が、まるで別物に聞こえました。


確かに、高校時代はギターやドラムが鳴っていることは気づいても、どんな音で鳴っているかまでは気にしたことがありませんでした。歌詞とメロディしか聴いていなかったので、曲のアレンジがどうなっていたかなんて気にしていませんでした。アレンジは聞こえていても、それはイントロやギターリフのメロディしか聴いていなかったのです。


音楽の3要素といえば「リズム・メロディ・ハーモニー」ですが、当時はメロディとハーモニー(コード)しか聴いていませんでした。


で、大学に入りいろいろな音楽を聴くようになったのですが、その中でもレッチリ、レニクラ、エクストリーム、スティービー・サラス、プリンスなどのファンキー要素の多い音楽やヒップホップを好んで聴くようになりました。
そうなると、今度はリズムに耳が行くのです。16ビートカッコいいなー、このベースラインファンキーだなー、ここにハイハットが入るからグルーヴが生まれるんだなー、裏拍から入るこのギターリフいいね、ここに空ピック入れているからファンキーになるんだなー等々。
歌詞やメロディだけでなく、リズムやアレンジも音楽を聴く重要な要素になりました。


ラップは、言葉とリズムの音楽です。ラッパーが韻を踏むのは、リズムを強化してグルーヴを生むためです。ただ早口でしゃべっているのではないのです。どこにスネアがハイハットがバスドラ(ヒップホップだと「キック」と言いますね)が入っているのか。そのリズムの肝のどこに言葉を当てるのか。それがラッパーの仕事です。
さらに、ラッパーの中でもリズムの当て方は違います。リズムにジャストに合わせてラップする(「タイトに」という言い方をします)人もいるし後ろ目のリズムで乗っかる人もいます。それぞれのやり方で、それぞれのグルーヴを生み出すのがラッパーとしての技術であり個性。また、トラックによってもビートアプローチは違ってきます。


ヒップホップを好んで聴くようになると、曲の聴き方がメロディよりリズムやビートに耳が行くようになります。そしてそれはJ-POPやロックにおいても同様です。
そうなると、ドラマーの個性も聞こえてくるのです。ユニコーン川西さんのドカドカ叩くドラム、BOBOのタイトだけど力強いドラム、モカキリ岡野さんのスネアとハイハットが張りついたようなドラム、真心ブラザーズMB’sビバさんのファンキーハイハット等々。
でも、そんな聴き方をしている人はほとんどいないですよね。リズム中心に音楽を聴くなんて。


でも、それがヒップホップなのです。ラップは「ビートに合わせて素晴らしいライミングをしてうまいこと言う」という音楽なので、ビートに耳が向かっている方がより楽しめるのです。
でも、そんな聴き方をしている人はほとんどいないですよね。だから、ヒップホップは日本に根付かないのです。
なので、今後も根付かないままだと思います、という悲観的な結論です!


「既にヒップホップは日本の音楽に根付いている」という意見もあると思いますが、でもそれはJ-POPの中では添え物扱いです。ギターソロのような「曲に彩りやアクセントを加える」程度の扱いです。
ヒップホップのままでヒットしたのはキックザカンクルーとリップスライムだけでしょう。それも今ではかつての勢いはありませんし、彼らに続く人たちは現れませんでした。


まあ、根付いているかどうかでいえば根付いているのかもしれません。でも、根付いた結果が現状なのです。アメリカのようにヒップホップがチャート上位の常連になることは今後もないでしょう。


リズムの面白さに多くの人が気づかない限り、この状況は変わらないと思います。


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今日から使える ヒップホップ用語集

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