やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

あいみょんにエキサイトメントしてしまった

世に憚るぞ


あみみょんに惚れてしまった。
彼女の曲を初めて聴いたのはラジオで流れていた『君はロックを聴かない』で、そのときは「コバタケみたいなアレンジの曲だな」くらいの印象でした。
でも何となく気になっていたのでアルバム『青春のエキサイトメント』を聴いたら、これが素晴らしい!
私は過去作を全く聴いていないのでこのアルバムしか語れないのですが、才能ありまくりでしょ。過去作では歌詞が過激でメンヘラっぽく言われたこともあるようですが、まったくそんなことはないし、今後そんな風評はどっかいくでしょう。


彼女は歌詞が素晴らしいと言われていて、それはもちろんその通りなのですが、私は彼女を素晴らしいメロディメーカーだと思っているのです。いい曲を書く。キャッチーなポップスを書く。
そして、声がいい。これは好みの話ですが、彼女のようなちょっとざらつき成分のある声が好みなのです。


というわけで、音楽に関しては作詞作曲歌唱と全部がいいのだ!あいみょん株があったら全財産分買うね。上がること分かっているもの。こんな確実な未来はそうないぜ。
では、アルバムの曲についてちょっとずつ感想を書きます。


1.憧れてきたんだ
この曲、アコギ1本で始まり、徐々に楽器が足されていきますが、何とずーっと1コードです。しかもAメロからサビまで1コード!すげー!
テクノやヒップホップなどのトラックとして繰り返しコードはたまにありますが、それでも1コードループは少ないです。ファンクも少ないコードで延々演奏する音楽ですが、ヴァースだけとかの場合が多く1曲丸々というパターンはほとんどありません。
しかも単調なメロディではなくきちんとポップスとして素晴らしい曲を、1コードで成立させているのです。はい、才能あるぅ~!


2.生きていたんだよな
語りの入る曲は少し気恥ずかしいのですが、慣れればなんてことない。尾崎だって語っていたよ。絵音だって語っているよ。
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この曲はメロディも素晴らしいですが、やはり歌詞に触れないわけにはいかない。

「危ないですから離れてください」
そのセリフが集合の合図なのにな

「今ある命を精一杯生きなさい」なんて綺麗事だな
精一杯勇気を振り絞って彼女は空を飛んだ
鳥になって雲をつかんで
風になって遥遠くへ
希望を抱いて飛んだ

この逆説と皮肉と真理を突いた歌詞。素晴らしい。


3.君はロックを聴かない
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初めて聴いた曲。最初の印象は「90年代っぽいな、もっと言うとコバタケっぽいな、もっと言うとマイラバっぽいな、もっと言うと『Hello, Again』っぽいな」というものでした。コード進行もそんな感じ。
まあ、「○○っぽい」はどうでもいいのだ。この曲だってパクリでもオマージュでもないし。単に、いい曲でしょ?名曲でしょ?
イントロからAメロからBメロからサビまで、ずーっといい曲、いいメロディ。ポップスとして素晴らしい。
歌詞も全部素晴らしいので全部抜き出して語りたいのですが、ひとつだけに絞って書く。

フツフツと鳴り出す青春の音
乾いたメロディで踊ろうよ

ダラダラと流れる青春の音
乾いたメロディは止まないぜ

このBメロの部分、「青春」を上手く表現している!
青春とは「何だか分からん突き上げる衝動」なので「フツフツと鳴り出す」のであり、だから「踊ろうよ」なのです。また、青春は明確な夢や目標が定まらないモラトリアムな期間でもあるので「ダラダラと流れる」のであり、だから「メロディは止まない」のだ。素晴らしい。
ひとつだけ文句をいうと、曲の終わり方の「ゆっくりジャラーン(しかもメジャーセブンスコード)」の締め方は好きではない。普通に着地させてよ。


4.マトリョーシカ
アルバムなのでこういう箸休めの佳曲も必要なのだ。正直個人的にはこのアルバムの中でいちばんピンとこない曲ですが、いい曲です。他が良すぎる。
歌詞が女性目線の恋愛ソングだからかな?


5.ふたりの世界
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若者はいいねえ、と思ってしまう曲。
Aメロで

お風呂からあがったら
少し匂いを嗅がせて

という歌詞があるのですが、これってどういう状況?風呂上がりのボディーソープやシャンプーの香りをってこと?何となくもっと生々しい状況を思い浮かべてしまいました。
サビの言葉詰め詰めの譜割りも好き。
あと、2番のAメロで

それはFコードそれはGコードそれはDコード

という歌詞があるのですが、実際の曲中のコードはこうではありません。これって、弾いていて混乱しないのかな?と余計なことを思ってしまいました。
ついでに。MVでは拡声器を持って街を歩くあいみょんですが、女性ミュージシャンが拡声器を持っているだけで椎名林檎を思い出してしまうので、後輩たちが使いにくくなるじゃないか!林檎さん、あなたのキャラの強さはときに暴力です。


6.いつまでも
愚痴ソングですな。

死んだ後に天才だったなんて
死んでも言われたくないもんな

そりゃそうだ。死後評価なんて本人にとって何の意味もない。
でもラストでは

そうだよな
そうなんだ
まだまだ燃えていたいんだ

と前向きになるいい曲でした。


7.愛を伝えたいだとか
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これもとてもいい曲いいメロディなのですが、コード進行を追うとAメロからサビまでほぼ同じループ!さらに大サビの「ろうそく焚いて~」の部分まで同じ進行。すげえ!この子のメロディセンスは素晴らしい。
あと、声を少し加工してあったりアレンジのサウンドだったりサビのコード進行だったりが椎名林檎『丸の内サディスティック』を思い出すのですが、思い出すだけで似てはいません。そんな記事を目にしましたが、引き合いに出す必要はないのでは。


8.風のささやき
このコード進行もベタで王道。ギター初めて1週間で弾けます。しかし、この曲を作れと言われたら彼女しか作れません。それを「才能」といいます。スピッツ尾崎豊ブルーハーツもコードは簡単、メロディは分かりやすい。でも誰も作れない。才能ってそういうこと。


9.RING DONG
女友達とのやり取りの曲。単なる正論でも「何でも許す」でもなく、硬軟取り混ぜの励ましソング。
歌詞は全部いいのですが、その中でもつかみの

ため息は酸素の無駄使いさ

って素晴らしいフレーズだな!


10.ジェニファー
この曲はあまり歌詞は体に入ってこないのですが、メロディがいい。特にサビ。ぐっときちゃう。何か私の心を引っ掛けるんだよなー。これぞフック、これぞキャッチー。
全然言語化できていなくてすみません。


11.漂白
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おー、こんなきちんと構築した曲も書けるのね。抑えたAメロ、Bメロ終わりでサビにつなげる盛り上げ(サビへのジャンプ台!)、そしてグッドメロディのサビ!さらに大サビがまたいいメロディなのよ。そしてラストでまた落ち着いて終わらせる、素晴らしい構成。


素晴らしいアルバムでした。
彼女の曲は「アコギで作っているなー」というのが透けて見えるのですが、鍵盤は弾けないのかな?もし鍵盤でも曲を作れるようになったらさらに武器倍増、才能開花ですよ。期待しています。
あと、1stアルバムにありがちなのが「これまでに作った曲のベスト盤」というやつで、2nd以降そのレベルの曲を作れないということがたまにあるのですが、彼女は既に200曲も作っているそうなので、その心配は無用のようです。


今は弾き語りでライブをやることが多い彼女ですが、バンド編成でライブ見たいな。2018年、売れますのでよろしく。知っておくと来年自慢できます。


青春のエキサイトメント

青春のエキサイトメント