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映画『サニー/32』 感想

全員被害者


映画『サニー/32』を見ました。公式サイト↓
movie-32.jp
白石和彌監督、ピエール瀧リリー・フランキーの『凶悪』コンビときたら期待しちゃうでしょ。
しかし、しかし…。とてもひどかった!とても!ひどかった!個人的には『デスノートLNW』クラスの駄作でした。


主役の北原里英は中学の先生なのですが、全然板についてない。セリフっぽいセリフをセリフっぽくしゃべっているだけ。全然先生に見えない。同僚の駿河太郎も、いつもは下手に感じないのに、この作品ではセリフしゃべっているなーと感じる言い方で、全然物語に入って行けない。
で、ストーカーはこの同僚の仕業で、一安心した瞬間に拉致られるというオープニング。


ここまででも「雪国は歩いて通勤しねえよ。全員車だよ」「同僚の車だったら分かるだろ」「LINE来ているなら警察が調べられるんじゃないの?」とかいろいろ思って全然乗れていないのですが、この先はもっとひどいことになります。
もういちいち書かないけど、とにかく登場人物が生きていない。そんな奴いねーしそんなことしねーしそんなこと言わねーよ!リアリティゼロかよ。
「これから警察に行って洗いざらい伝える」と言っていながらなぜ教祖になる。ラストのドローンは何?掴まれ!って人の重さなんて支えられないはずだけど、どうなるのかな?と思って見ていたら案の定落ちた。何なの?何なの??
そしてこの世界には警察はいないのか。誘拐事件で監禁場所までネットにアップされているんだからすぐ逮捕だろ、ネット放送での大立ち回りから疑似家族になるまで警察は何してたんだよ、日本の警察が威嚇射撃もせずすぐ射殺するかよ。リアリティゼロかよ。
ネットの取り上げ方も古いし、仕組みも分かっていない感じ。「神降臨!」「キタコレ!」って今何年だよ。リアリティゼロかよ。


お話そのものもピエール瀧はどうして彼女がサニーだと思ったのか、どうして間違って信じたのか、本物のサニーは誰に監禁されているのかなど、根本の部分がごっそり抜けている。つーか、門脇麦のサニー、本編と関係ないじゃん。
あるのは北原里英が雪の中を走ったり殴ったり殴られたり下着になったりと「頑張っている」姿だけ。頑張っているのは分かるけど、その結果がこれだもん、頑張り損だよ。可哀そう。


何でこんなことになっちゃったんだろ。白石和彌監督といえば『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』『彼女がその名を知らない鳥たち』の監督ですよ。何でこんな志ゼロの作品撮っちゃったのかな。
そもそもこの作品は秋元康から「北原里英主演で『凶悪』みたいなやつを撮ってくれ」というオーダーで制作されたそうで、そういうモチベーションゼロでは傑作を撮ることができない人なのかな?ビジネスとして仕事を全うすることができない人なのかな?
それにしてもこんなにひどいのは、秋元康に札束で頬を叩かれた腹いせ、当てこすりなのか。もしくは家族が拉致されているのでそれを映画で訴えたのか。そんな邪推するほど、これまでの白石監督の作品とは全くレベルの違う作品でした。


そういえばリリーさんも北原里英との対談で「この映画はそんなに大ヒットするものじゃないから」なんて言っていたのは、この出来だからなんだな…。


白石監督、次の『孤狼の血』は期待していいんですよね?頼みますよ!
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映画『サニー/32』オリジナル・サウンドトラック

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