やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

人に仕事を教えるときは

いつも心に五十六を


人に仕事を教える際に私が気にしていることを書きます。もちろんこれは言う側も言われる側も「合う・合わない」があるので活用は自己判断でお願いします。


大原則

●いつでも訊ける
●何度でも訊ける
●上司・先輩は機嫌がいい

新入社員・後輩は何も知らないのです。そしてあなたは何でも知っているのです。だから訊く・訊かれるのは当たり前中の当たり前。ここを面倒がる上司・先輩はもうgood nightです。
知らないんだから訊いていいんです。一度で覚えられないんだから何度訊いてもいいんです。もちろん後輩は先輩が忙しいことは知っていますし、何度も訊くのは申し訳ないな、と思っています。だからご機嫌を窺います。そこで先輩の機嫌が悪かったら訊きにくいです。でも、訊かなきゃ分からないんだから、仕事ができません。だからこそ、先輩はいつでも機嫌よく振る舞わなければなりません。というか、これは上司・先輩に限らず大人にとって必須の振る舞いです。


「見て盗め」「一度しか言わないぞ」「何度も訊くな」って、全部訊かれる側の都合だし訊かれる側が面倒くさがっているだけじゃないですか。上司・先輩の任務は「よい仕事をすること(=売上を上げる等)」なんだから、丁寧に教えた方が会社全体がプラスになるんだったらそうすべきです。
「何度も訊くな」は「あえて厳しくしている」のだと主張する人もいるでしょうが、一度で全部覚えられる人なんてそうそういません。目的が「後輩の育成」だったら「覚えさせる」のが仕事でしょ。そしたら、「さっき言っただろ」の無意味ないじわるは何の意味もないと思うのですが。


次に、もう少し具体的な教え方について。

●今からやることの全体図
●全体図の中の現在位置
●意味・理由・目的

例えば「A社への請求書をつくる」という作業で、いきなり「じゃあここをクリックして」と言われても、自分が今何をやっているか理解できません。ただパソコンを操作しているだけです。理解できないから、覚えられません。
なので、「これから請求書を作成する。そのためには金額の算出と、その明細と、その他この書類が必要だ」と全体図を説明します。
その後、「ではまず、金額の算出を行おう。ここのエクセルを開いて」と進めます。これで全体図と今自分がやっていることが理解できます。
そして、このエクセルでこの操作を「なぜ」するのかも伝えながら説明することも大切です。その作業をする意味、理由、目的。


私は頭が悪いので、いきなり具体的なこと、専門的なことを言われても頭の中で単語に変換できません。そしてようやく漢字に変換できても、その言葉が今の作業の中でどういう意味なのか、どういう部分の言葉なのかを理解できないのです。
だから、自分が相手にものを教えるときはその辺を意識して伝えるようにしています。


このときの教え方は、大きく分けて2通りあります。
●自分が説明しながら全部操作して、相手にはメモを取らせる
●自分が説明して、相手に操作させる(メモも取らせる)
これは、どちらでも構いません。話を聞いてメモを取っても、自分で操作しないとなかなか覚えることは難しいです。しかし自分で操作しながらだと、メモもあるのであっぷあっぷしてしまいます。これはお好みで。


そして、どちらの場合でも、2回目に同じ作業をする際にもついてあげること。「前回教えたでしょ。分からなかったら訊いてね」だと、「分かっているかどうかあやふやな部分の確認」ができないし、「結果オーライだけど違うやり方をしていた」などの場合のチェックもできません。
面倒かもしれませんが、面倒見てあげてください。その方が、その後周りのみんなが楽になります。面倒なのは最初だけ。


ということで、やっぱり山本五十六イズムが必要だということです。

やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ

自分の仕事で忙しいかもしれませんが、最初だけは後輩に付き合って、じっくり教えてあげてください。基本や芯が分かれば、あとは勝手に覚えて勝手に伸びていきます。1を言えば10を分かる人材になります。
最初を面倒くさがって適当に教えるといつまでたっても「その場」しかできない人材になります。


「何度でも訊いていいよ」とあまり丁寧に教えると、後輩は甘えて分からなければすぐ訊くようになる、自分で考えない人材になる、という心配をする人もいますが、多分大丈夫です。覚えたら訊きません。何度も訊くのは自分でも恥ずかしいと思っているので、先輩をGoogle代わりに使うようなことはありません。多分。
それよりも、訊きにくい雰囲気だとテキトーな理解のまま仕事をするので、スピードも遅くなるしミスも多くなります。どっちがいいですか。


「こんなことも分からないの」「こんなことも覚えられないの」ではなく、「こんなことも教えられないの」「こんなことも理解させられないの」です。「教える」という仕事は、文字通り教えて終わりなのではなく、相手が「理解する」までが「教える」です。なので、相手が理解できないときはあなたの教えがまだ足りないのです。


誰だって最初は何も分からない、何もできない。それをできるようにするのが上司・先輩の仕事です。いつだって責任は教える側にある。


<追記>
そうだ、これを書こうと思って忘れてた。
教えるときは、教える側がきちんと理解していないと教えることはできません。質問されて答えられないのは、あなたの理解が足りないからなのです。
そういう意味でも、教えるのは自分の理解や解釈を整理することにつながるので、自分のためにもなるのです。
いじわるな書き方をすると、教えるのが下手な人はそもそも自分がきちんと理解していないからかもしれませんよ。


山本五十六のことば

山本五十六のことば