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『M-1グランプリ2018』 感想

「上手い」と「面白い」、「その瞬間」と「これまでのストーリー」


M-1グランプリ2018』を見ました。
私、普段見たい番組は録画しておいて後から自分のタイミングで再生するという視聴スタイルなのですが、M-1RIZINだけはリアルタイムで見ます。ネタバレくらいたくないから。
実際は放送開始に間に合わず追っかけ再生で見たのですが、ネタバレくらわずに見るのは面白いなあ。


最初に全体の話。今回、大枠は前回と変わらずでした。変わったのは審査員の入れ替えと笑神籤をアスリートが引くということくらい。
審査員で塙とサンド富澤が入ったのはとてもよい変更点だと思います。Wikipediaで過去の審査員一覧を見てきましたが、今回がいちばんいいんじゃない?
一部で志らくさんと上沼さんの点数に文句つける意見もありますが、そんな変かな?プロの採点なんだから素人はそこに文句つけるのはやめましょう。「その点数は違う!」は「自分の点数と違う!」ってだけで「正しい点数と違う!」ではないですから。
アスリートが笑神籤を引くのは、何かいいことある?視聴率上がる?何もいいことないでしょ。この番組は笑いに特化していきましょうよ。上戸彩が引く、でいいんだよ。


あと、笑神籤はいいけど、やっぱり敗者復活はトップバッターにしてほしいんですよねー。トップバッターはどうしたって不利なので、一度負けている敗者復活組が務めるべき。番組としては盛り上げてほしいからそうしたくないのでしょうが。


敗者復活戦でのミキの勝ち上がりはまあ順当ですな。私はミキはあまり好きではないのですが、面白かったもん。プラス・マイナスも面白かったですが、賞レースのネタではないように感じました。ルミネっぽい。彼らが芸達者でフレッシュさがないからかもしれませんが。
あとは、たくろうと金属バット。たくろうは面白かったのに時間オーバーという致命的かつ初歩的なミス。あほー。金属バットはネタとしてはまだまだですが、立ち振る舞い・存在感・オーラという部分が抜きん出ている。生意気かつチャーミングな彼らは何かのきっかけでブレイクしますよ!
そしてさらば青春の光。ネタは面白いのに、森田噛みまくり!あほーあほー。


さて、ようやく本戦。順番に簡単に感想を書きます。あくまで感想なのでフラットな評価ではなく私の好き嫌いが反映されております。
ネタのタイトルはこの記事から拝借しました。
gendai.ismedia.jp
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①見取り図「おしゃれ」
(このネタ、「おしゃれ」かなあ?)
初めて見ます。
ボケが弱い。ツッコミありきでボケを作っていてもったいない。ボケで笑わせて、ツッコミで広げないと。それがないのでボケはずーっとスベっている感じになるよ。
あと、謎のワードを後からツッコむのは上手いし面白かったけど、最初にそのワードが出たときに見ている人が「??」となるのはその瞬間の笑いを犠牲にしてしまうのでマイナスですよ。どうせならジャルジャルのように最初から絶対にありえないワード(すぐボケだと分かるワード)の方がいい。
ついでに。舞台に出るときに他の出演者とハイタッチしながら出ていたのはダメだ。あいつらは敵なんだぞ。甘い、ヌルい。


スーパーマラドーナ「近所の怖い人」
私、スーマラ好きなんです。さて。
つかみできちんと笑いを取っていてよい。しかし、その後の設定に入るまでが長い。でも、最初の「バン!」と扉を閉じるところで爆発したのでよい。でも、オチが弱い。
それよりも、何でこのネタやねん。松本さんも言っていたけどサイコ強めなんだよなー。実際に首絞めるとかしなくていいのに。


かまいたち「タイムマシーン」
「過去に戻れるなら何する?」という誰でも考えたことある設定とそれをお客さんに語りかけることで、お客さん(と見ている私たち)をネタの参加者にする手法、上手い!
そしてネタ中のボケも全部はまったし、ネタ中に最初の提示したぞれぞれの願いに対する納得感が変化していき、同時に見ている私たちの納得感も変化していく。上手い。
さらにそれが賞レース用に後半にいくにしたがってヒートアップとテンポアップしていくし、完璧。
ネタ順が後半だったらもっと点数ついたのになー。たらればを言ってもしょうがないけど。


ジャルジャル「国名分けっこ」
ジャルジャルー!ジャルジャルーー!!お前、ジャルジャルだなー!!!!!
前回と同じ「ないゲーム」ですが、毎回ゼロから発想するのがすごい。笑いは技術も大事だけど、その前には発想がある。トランスしつつ感動しました。


ギャロップ「合コン」
初めて見ます。
面白いけど、新しくない。面白いけど、爆発しない。ルミネだったら大爆笑だったけど。
後半で「じゃあ中止や」「何で俺が中心になってんの?」というボケとツッコミがあったのですが、中止と中心の似た言葉を使うのは上手くない。


⑥ゆにばーす「遊園地」
どうした。つかみでスベってあとはぐだぐだ。何でこんなに歯車噛み合わなかったんだろ。噛み合っていたらこのネタでも爆発したのかな。してないと思うけど。
まあ、来年頑張れ。それしかない。川瀬名人が引退しなくてよかったと思おう。


⑦ミキ「ジャニーズ」
いい順番引くなー。これがスターか。設定も新しくないし漫才も新しくないのに面白い。これがスターか。
私はミキのことそんなに好きではないのですが、それでもやっぱり面白い。上手い。
でも、やっぱり亜生でなく昴生なんだよなー。平場での亜生をよく知らないのですが、タレントとしても面白いのかな。よく分からん。
かまいたちより上なのかー。


⑧トム・ブラウン「ナカジマックス」
初めて見ます。
「中島を5人合体させます」はいいのですが、それを何度も繰り返すなら、合体の部分はもっと上手く短縮できたらよかったのに。
そして、もう一度見たらずーっと「何してんねん」ですね。発想からボケから展開まで。
スーパーマラドーナがこの位置だったら順位逆だったのでは。


霜降り明星「豪華客船」
ネタは初めて見ます。
もう一回見たのですが、やはりそんなに笑わなかったなー。ネタも並列だしなー。
しかし、ボケとツッコミの両方が面白いので、総合力はやはり素晴らしい。せいやの「存在が面白い」と粗品の「的確なツッコミ」、合体したらそりゃ最強。お見事でした。


⑩和牛「ゾンビ」
映画やん。素晴らしい。上手い。面白い。
ただ、やはり「殺す」というワードが引っかかる。「やっつける」「倒す」「やる」くらいのワードにしておけばなー。


というわけで最終決戦は霜降り明星、和牛、ジャルジャル


最終決戦①ジャルジャルジャルジャルです!」
最初「お前たちー!」(また悪い癖がー!)と思っていたのに、後半で「お前たちー!」(愛しているぜー!)になった。好き。
ただ、これが優勝ネタかというと、そうではない。ジャルジャルは短時間に2本摂取してはいけない。


最終決戦②和牛「オレオレ詐欺
上手すぎる。これぞ和牛!嫌な奴と上手いババア。演技と余韻で笑いを取れるんだもんなー。
和牛は水田の「嫌な奴」が笑いの邪魔をしていたけど、そういうキャラも浸透してきてあまり気にならなくなったのが大きい。


最終決戦③霜降り明星「学校の頃の思い出」
たぶん、私が彼らのことをもっと知っていればもっと面白いんだろうな。スーマラやジャルジャルや和牛のように。「プリンセス転校生」は何がおもろいねんと思いましたが。


私は和牛でしたが、霜降り明星が優勝。そうかー。新しい世代だなー。私はもう去るのみの老兵なんだなー。
漫才の良し悪しを評価する際、なるたけ「その日のそのネタのその出来栄え」で採点したいと思っていますが、そうはいってもやはり「これまでのストーリー」も入ってきちゃうなあ。
また、「上手いより面白い」を優先したいとも思っているのですが、その面白い発想も技術がないと笑いに変換しないので、やはり発想だけでは面白くならない。だからある程度キャリアは必要なのかなー。


とはいえ、今回もものすごく楽しく面白い漫才大会でした。また来年が楽しみ。和牛、次こそよろしく。


M-1グランプリ』過去エントリ↓
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