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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』 感想

愛と熱は分かった


ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を見てきました。公式サイト↓
godzilla-movie.jp
映画『ゴジラ』については、1984年の復活ゴジラは当時レンタルで見たことがありますが、もう1ミリも覚えていません。あとは『シン・ゴジラ』とハリウッド版ゴジラ2作を見ただけ。全然ゴジラファンではなく、知識も全然ありません。そして、ハリウッド版ゴジラも、何も覚えていない…。


こんなレベルです。
シン・ゴジラ』の感想はこちら↓
ese.hatenablog.com


今作は、MCUで味を占めた映画界が怪獣映画でもユニバースやろうぜということで、2014年『ゴジラGODZILLA』、2017年『キングコング:髑髏島の巨神』に続く3作目として制作されました。
ese.hatenablog.com
ただし、過去作とのリンクは薄め。本作単体でも十分楽しめます。


で、感想ですが、「怪獣バトル熱い!人間ドラマうぜえ!」でした。
いやもう、怪獣バトルは素晴らしい。監督がゴジラ大好きっ子なので、愛が溢れまくり。「俺はこういう怪獣映画が見たいんじゃー!」がほとばしっており、同じような怪獣映画ファンに刺さりまくり。
怪獣同士が取っ組み合いすると熱いよな!やっぱりビームだよな!アップでも見たいけど全身も見たいよな!上からの構図も下から見上げる構図もどっちも見たいよな!


もうひとつ。怪獣のキメショットが素晴らしい。ゴジラの咆吼、モスラの羽ばたき、ラドンの誕生、キングギドラの全身。このショットそれぞれでポスター作って全国に貼りまくりたい。
これも監督の愛ですね。特に本作では「怪獣は神」という立ち位置なので、余計神々しさを引き立てる素晴らしいショットの数々でした。


しかし、その分人間ドラマパートに不満がいっぱい。
私は、こういう作品は人間パートなんてどうでもいいと思っていて、舞台を整えるために動くのと、あとは逃げ惑う人々さえいればいいと思っているので、あまりこちらの世界に入ってこないで!今いいところだから映画の邪魔しないで!とか思いながら見ていました。


登場人物たちが、何をしたいのか分からないんですよね。怪獣を解き放ちたいのか制圧したいのか共存したい(共存ってどうするの?)のか、ベクトルがどっちに向いているのか分からない。モナークの人たちは一生懸命右往左往していましたが、何をしようとしていたのか分かりませんでした。
怪獣が主役なんだから、人間どもは出しゃばらなくていいのに。上手く怪獣たちが戦えるようにお膳立てしてやるだけでいいのに。『キングコング:髑髏島の巨神』はその辺が上手かった。人間は殺されるための舞台装置。
あと、自分から怪獣の足下に行っておいて「危ない!」とかやっているのを見ると、「自作自演!」「マッチポンプ!」とか余計なツッコミが脳内を駆け巡ります。


今回、敵組織として環境テロリストがいましたが、実際は彼らよりエマの方が狂信的だったところが面白かったです。組織に拉致されたと思ったら、エマの方が「人間こそが病原菌!死滅すべし!」とぶち上げるもんだから、「お前の方がやべえよ。もう帰っていいよ。車もやるから」と組織の方から解放しちゃう。
脚本は監督自身が書かない方がよかったのでは…。


まあその辺は「怪獣映画なんだから人間パートは無視」でもいいのですが、気になったのが核の扱いについて。
ゴジラは水爆実験により生み出された存在で、ゴジラの存在そのものが核の脅威のメタファーでした。『シン・ゴジラ』は東日本大震災ですね。そういう「恐怖」や「後ろめたさ」をメタファーとして纏っていることがゴジラを他の怪獣と別格になっている理由です。
それなのに、今回はエナジードリンクのような扱いです。ゆっくり休んでいるんじゃねえ、起きろよ、と核爆弾を使うのです。監督よ、あなたのゴジラ愛は怪獣としてのみなのか?核の扱いが雑!アメリカ人め!
ラストの赤く燃えるゴジラは臨界寸前のはずなのに、スーパーサイヤ人やスターを取ったマリオのようなパワーアップの象徴として描かれていました。核や放射能についての認識が軽い!


エンドロールでは「ゴジラのおかげで砂漠に緑が!」等、BSの健康食品のCMのようなうさんくさい報告の数々。この世界で放射能というものは雹が降った・火山灰が降ったくらいの扱いのようです。このハッピーエンドはお気軽・お手軽すぎない?


次回作でキングコングはこのゴジラと戦うわけですが、咆吼ビームもあるゴジラに勝てるの?何か新しい武器を得るのかな?でもキングコングがビーム出すのはよくない。さて、どうなる。


エンドロール後のおまけ映像ではキングギドラの頭部死体を買い取る組織。DNA抽出→科学技術も加える→メカキングギドラとして復活、という伏線なのかな?


その他、本編と関係ない感想を。
このシリーズは中国資本なので、毎回中国俳優が登場します。今回はチャン・ツィイー。とても可愛くてよかったですが、物語上ではリアクションと解説担当。特に何か活躍することはありません。『魁!!男塾』の富樫や虎丸のような立ち位置でした。
次回作で吉瀬美智子に代わっていても誰も気づきません。


私が見たのは吹き替え版だったのですが、マーク役の吹き替えを田中圭が担当していて、これがまったく合っていない。このごついおっさんがこんな可愛い声出すかよ!いくら田中圭が売れっ子だからって、ミスキャストすぎるよ。作品のこと考えてなさ過ぎるよ。こんな仕事しちゃダメ。


というわけで、怪獣シーンはよかったですが、人間パートが目をつぶれないほどひどく、総合点を大きく下げてしまいました。それでも次回作も見に行くけど!


ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(オリジナル・サウンドトラック)

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(オリジナル・サウンドトラック)