やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「笑いのみの王様」、松本人志。

裸の王様


私、ダウンタウンが好きなんです。『ガキの使い』『夢で逢えたら』『ごっつええ感じ』と直撃世代なので、ある意味仕方ない。ダウンタウン病にかかっちゃったんです。
ese.hatenablog.com
松本さんがコントや漫才をやるというのはその時点でハードル上がりすぎなので、もう普通のプレイヤーとして見ることはできません。『MHK』みたいになっちゃう。『ドリームマッチ』くらいの軽さならOK。
とはいえ、番組での一言で笑わせる腕はやっぱり一流で、「ダウンタウンは面白いなあ」と思いながらテレビを見ている毎日です。


でもね、『ワイドナショー』が始まってから松本さんの知識のなさ、知見の狭さ、歴史観の欠如等は見ていて痛々しく、この番組は「ニュース大喜利だ」と思い込むようにしているのですが、シリアスなニュースでそれをやられるとやっぱり見ていてツラいのです。


で、今回の吉本興業の騒動の一連の動き・発言と、この記事を読んでいよいよ擁護しきれなくなってきました。
note.mu
あと、『たいむとんねる』での石橋貴明さんの有名人との交遊録とそれにまつわる知識の豊富さ(記憶力のすごさも含め)や、ビートたけしさんの発言の数々(と、もちろん映画監督としての力量)等を見るにつけ、ダウンタウンが上京当時に仮想敵としてきた人たちを一緒に「倒せ!」と盛り上がっていた自分が恥ずかしいです。
同じく、きちんとした知識の裏付けがあって発言している爆笑問題太田さんとの差も感じちゃいますね。


ダウンタウンがすごいのは、どんな有名な人でも優秀な人でも「お笑い」という土俵に引きずり下ろし「何を言うとんねん」と頭をはたけるところです。笑いの世界なら自分が一番強い。私はそこに拍手喝采を送っていました。
そこがダウンタウンの強みなわけですが、逆に言えばそこには相手に対してのリスペクトがない。以前テレビ番組『ボクらの時代』で石橋さんが武豊とともに伊集院静さんと鼎談をした際、伊集院さんが登場したときにものすごくきちんとしたお辞儀で迎えていたのを今でも覚えています。松本さんは、たぶんここまできちんとしたお辞儀はできない。
そういうことの蓄積がそこかしこに表面化し、50歳を超えて尊敬できない要素となってきたように思えます。


松本人志は、映画を知らない。
松本人志独自の「発想」でこれまでにない映画を作ろうとしても、そもそも映画を知らないので壊すこともできない。10分のコントを作ることはできても、2時間の映画・物語を作ることはできない。だから毎回メタ的な視点を入れるか後半で「今までの価値観なし!」と自身の映画を壊すことしかできない。
その帰結が『R100』です。「俺の発想は100歳を超えなきゃ分からないぞ」と「つまらないのはこの100歳の監督のせい」という二段構えの逃げ。ひどすぎる。
ese.hatenablog.com
ese.hatenablog.com
松本人志は、文化的素養がない。映画も見ないし本も読まないし音楽も聴かないしスポーツにもファッションにも興味がない。お笑い以外、本当に何も知らない。もちろん歴史も政治も知らない。ぺらっぺら。


これまではそれでよかったのです。松本人志は「笑いの王様」なのだから。森羅万象を笑いに変える、笑いの錬金術師なのだから。
でも、『ワイドナショー』という番組をやるようになり、またここまで松本人志という存在が大きくなった現在、「笑いのみの王様」ではもうダメなのです。


今回の吉本興業の騒動は、松本さんから見たら「会社vs芸人」でしょうが、本質はそこではありません。会社が反社会的勢力とビジネスでの付き合いがあったのか、テレビ局と株の持ち合いが現実のキャスティング他番組制作やスキャンダル等の報道についても影響があるのか(あるに決まっているけど)、現在の吉本興業は教育分野などで国と強いつながり(ダウンタウンがアンバサダーを務めている大阪万博だってそう)を持っているが、この会社の実情としてそれは正しいことなのか、そういうことです。
なのに松本さんは「もし会社が変わらないなら自分が芸人を連れて出て行く(キリッ)」ととんちんかんなことを言うのです。そこじゃない。そんなのはお家騒動で、内部でやってくれ。「男気見せたでー」じゃない。
これが松本さん流の世論誘導だったらさすがだなと思いますが、たぶんそうじゃない。単に「分かってない」だけだと思います。この騒動の本質も、自分の立場も。


ワイドナショー』で松本さんは「自分に何を言ってもええよ」と言っていますが、ダウンタウン松本人志に「そこじゃない、お前はアホか」とテレビで言える人なんていません。それが分かっていない彼は完全に裸の王様です。


「自分が何も知らないということを知らない偉い人」がテキトーな発言をするのは、会社にとっても社会にとってもいいことではありません。様々な事情や歴史やこれまでのいきさつがあった出来事を、そういった学びや配慮を一際せずドヤ顔で語ることは、影響力が大きい分、罪でもあります。
行動した松っちゃん偉い、発言した松っちゃんすごいと褒め称えてはいけません。結果的に「ブラック会社vs芸人」という、大崎会長の望む方向に収束しつつあるので、会社としてはありがたい存在でしょうけど。


お笑い以外の活動をする芸人さんは増えてきましたが、松本さんって、お笑い以外の才能ないですよね。
これまでもこれからも松本人志は笑いの王様です。でも、笑いのみの王様であることを本人も自覚してほしいです。


「松本」の「遺書」 (朝日文庫)

「松本」の「遺書」 (朝日文庫)

松本坊主 (幻冬舎よしもと文庫)

松本坊主 (幻冬舎よしもと文庫)