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映画『アイネクライネナハトムジーク』 感想

何も起きないのに、奇跡しか起きない


映画『アイネクライネナハトムジーク』を見ました。公式サイト↓
gaga.ne.jp
伊坂幸太郎は好きで10冊以上は読んでいるし、映画化された作品も何作も見ました。でも最近はご無沙汰。今作もそこまで期待して見に行ったわけではありません。
そしたら、めっちゃ面白かった!!!


(以下、ネタバレあります)


あー、伊坂幸太郎ワールドだー。悪人は出てこない、善人しか出てこない。銃やナイフは出てこないし、不治の病もタイムスリップもない。特殊能力を持っている人はいないし、事件も起きない。
普通の人の普通の日常を描いているだけなのに、奇跡しか起きない。
あー、伊坂幸太郎ワールドだー。


人間関係や出来事がいろいろ絡み合っているのをご都合主義と見る人がいるかもしれません。でも、伊坂幸太郎を読んだことのある人なら、こういう「思いがけないつながり」は嬉しくなるばかりだと思うのです。
(ここのハードルでこの作品の評価は変わっちゃうかな)
私はずっと「うわー、伊坂幸太郎だー」と思いながら見ていました。展開もセリフ回しも、伊坂幸太郎。この作品の原作読んでないのに。
結果、何も起きない日常の場面でもずっと涙腺緩みっぱなしで、盛り上がる場面では噴水のように目から水が飛び出し、結果2時間のうち半分くらい泣いていた気がします。どうしたんだ、俺。この世界に住みたいという潜在意識なのか?
噴水ポイント
交通誘導員の紗季ちゃんにシャンプーを持って走る佐藤
・10年度後のタイトルマッチでピンチのときに木の枝をへし折る少年と「大丈夫」の手話をするウインストン小野
・ファミレスで父親譲りの「緩い脅し」をした後に「好きです」と言っちゃう和人
・その後、路上弾き語りを見ている和人に気づいてもらうために和人の周りを回る美緒


伊坂幸太郎は伏線と回収が上手い作家です。この作品でも「あのときのあれが!」という場面はいくつもあります。でも、私はこれは伏線だとは思っていません。
伏線って、「あのときAという行動をしたのは、Bのためだった」という、Bの目的のためにする行動A、だと思っていて、本作ではそういう作為的な「伏線」はありません。勝手な勘違いとそのネタばらし、過去の言動と現在の呼応、あのセリフを敢えてまた言う意味、という形でいろいろ出てきます。


予告編や宣伝ポスターだと三浦春馬さんと多部未華子さんが主役のように見えますが、実際は群像劇です。それぞれに日常があり、その日常が奇跡を起こしていきます。
この作品の主題である「運命的な出会いがいいのか」「後から『あの出会いがよかった』と思えることが大事なのか」については、あまり興味はありません。この世界の奇跡に立ち会えただけで私はもう満足です。


特に大きなイベントもアクシデントも起きないので、カメラワークは素直。ただそのまま撮っている。ケレン味も劇的な演出もない。それでいい。この作品は、そのまま撮ってくれ。
これって、監督の意図的なものなのかしら。私は今泉監督作品をひとつも見たことないので監督の作家的特徴は知りません。あえてだったら「賛成です!」と握手したいです。
伊坂幸太郎作品は中村義洋監督がよく手がけますが、正直中村監督にはあまり期待していないので、本作の人選はよかったと思っています。


この作品は、役者の皆さんがとてもその役に合っていてとてもよかったです。
三浦春馬(佐藤)
イケメンですが、髪型を中途半端にすることにより「普通の人」になりました。もう、完全に普通。普通の佐藤さん。主人公なのに下の名前すらない!でも実際は長身でイケメンなので、無地のダサい服を着てもカッコいい。くそう、ポテンシャルめ。
ラストのバス停で顔をくしゃくしゃにして笑うシーンがとてもよかったのですが、こういう顔ならサカナクション山口一郎の方が上手いな、と変なことを思ってしまいました。
多部未華子(紗季)
多部ちゃんはいつだってサイコーに可愛い。最初の出会いのリクルートスーツに髪ひとつ結びに照れ笑いにエクボ。可愛い役満だろ。
しかしそんな多部ちゃんももうお姉さん。本作では塾の事務?をやっていて女子高生の相談なんかに乗っちゃう。
この作品ではあまりキャラ(性格)が見えなくて残念。
矢本悠馬(織田一真
今日から俺は!』の谷川が、『ちはやふる』の肉まん君が、立派な二児の父親。本作では重要なサブキャラとして活躍。こういう「テキトーなようで芯はしっかり」な役はおいしいな。
森絵梨佳(織田由美)
私、彼女のことをまったく知らなかったのですが、めちゃ美しいですね。女性誌のモデル出身なんだろうなーと思いながら見ていました。10年前も10年後もどっちも美しくて可愛い。ずーっと見ていたかった。
恒松祐里(織田美緒)
散歩する侵略者』の女子高生、『凪待ち』の美波か。Wikipediaを見たら『ちはやふる』にも出ていたそうなので、あのときは矢本悠馬と同級生だったのか!
彼女が最初に登場する合唱コンクールの練習場面、彼女とその友達だけ飛び抜けて可愛いので、役者と一般人の差は歴然だなーと思いながら見ていました。私服のときのトレーナー・スウェット・お団子ヘア・サンダル・ちょい不機嫌な顔が「これぞ普通の女子高生!」って感じでとてもよかった。
萩原利久(久留米和人)
こちらは特別イケメンでないのがリアリティを増す。特別乱暴でもなく不良でもなく生徒会長でもなくイケてるグループでもない、普通だけどいい子、というちょうどいいポジションの役と顔。彼も『ちはやふる』出ていたのか!知らなかった。
「気にしてないぞ」と気にしているのがバレバレなのがとてもよい。ロッキーの真似のシーンは「ウインストン小野ー!」ではなく「美緒ー!」と吠えてほしかったな。
●成田瑛基(ウインストン小野)
演技が上手くないので実際のボクサーや格闘家を連れてきたのかと思ったら、俳優なのね。日本人初のヘビー級チャンピオンという条件なので体格だけでも探すの大変だよな。
「ジム職」という勘違い、勝ったら告白、「大丈夫」の手話と、彼にまつわるシーンはおいしいところだらけ。くすりと笑い、じんわりと感動し、目から水が噴出しました。
その他、おせっかいな姉はMEGUMIだなーだし、柳ユーレイが柳憂怜として俳優やっていることを初めて知ったし顔変わったなーと思ったし、貫地谷しほり原田泰造はお見事な「その人」だったし、皆さん素晴らしかったです。サンドウィッチマンだけが邪魔だった。サンドウィッチマンなんだもん。リング下でもサンドウィッチマンなんだもん。


素晴らしかったです。これ、カップルで見に行ったらみんな結婚しちゃうよ。私は一人で見に行ったけど…。


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