「お涙」はNGワードじゃないの
昨日「大人計画」の舞台の話を書いたので、ついでに他の舞台の感想も書きます。
下記は2011年9月に書いた文章です。
2009年の「愛Pod」に続く今田耕司×鈴木おさむの舞台を見てきました。
前回の「愛Pod」が非常に良く、今回も見たいなと思っていたらチケットは既に売り切れ。と思っていたらあの震災で延期になり、チケットも再度発売ということで、気合いを入れてゲットしました！
会場は天王洲銀河劇場。
今まで見た舞台の中で一番「舞台」らしい、広さと威厳のある会場でした。席は３階まであり、それぞれ両脇にはロイヤルボックスのような特別席が設けられていました。
私の席は１階10列目。この会場での席でいったらすごく上出来ではないでしょうか！
今日は初日なので、芸人が見に来ているのでは、と目を凝らして探したところ、サバンナ八木・同じくサバンナ高橋・オモロー山下・ネプチューンホリケン・カンニング竹山・髭男爵ひぐち君までは確認できました。３階席は高すぎて見えませんでした。
八木は２階席に普通にいるのに、高橋はホリケンとともにロイヤルボックスへ。この差は何？
いよいよ舞台スタート。
ペンキを塗る宮川大輔と、それにちょっかいを出す今田耕司。無言で頭を叩き合う二人（ツッコミです）。このイントロだけでは私たちは「？」のまま。
時代設定は1978年。キャンディーズが解散し、ピンクレディーがデビューした年。まだ漫才ブームの前です。
「川本新喜劇」の座長今田は、同じ舞台に立つ宮川や新マネージャーとともに、新しい笑いを生みだすために日夜奮闘していました。
そして舞台は1981年に飛びます。
大人気を誇ったピンクレディーも解散し、世は空前の漫才ブーム。今田の舞台は漫才に押され、人気はジリ貧。座長の今田も腐ってしまい、賭け事や後輩への嫌がらせなど、「嫌な先輩」になってしまっていました。
そんな中、宮川は肺がんのため手術をして芸人を辞めると告白。最終日に先輩今田に対する「ＮＧワード」をぶっちゃけると宣言するのでした。
そしていよいよＮＧワードをぶつける頃から、舞台の空気が変わります。それまで舞台も客席も「お笑い」を見ていたのに、急にシリアスな内容になっていきます。この空気の変化になかなか気付かず、そしてなじめず、途中私はどんなテンションで見ればいいのか困惑してしまいました。多分周りのお客さんも同様だったのではないでしょうか。
ここから宮川の声の力が如何無く発揮されていきます。こんな舞台で泣くのは嫌だー、と思いながら、少しウルッとしてしまいました。
宮川の肺がんはウソで、実は喉の病気。手術をすれば命に別条はないが、声を失ってしまう。でかい声が売りの宮川にとって、声が無くなるのは芸人としての命を失うのと一緒。そのため、周りにはウソをついてみんなの前から去るつもりだったのでした。そして、そんな宮川に心を打たれた今田は改心し、最後の舞台に臨む。
そして数年後、冒頭のシーンとなります。
互いにツッコミ合った後、声を失った宮川がボケ、今田が突っ込む。
「やっぱお前おもろいわ」で終了。
カーテンコールはありましたが、何もトークは無しで少し残念。
また、初日ということもあり、セリフを噛んだりセリフのテンポがずれるところが散見されました。
それにしても、シリアスな場面が多いのには少し戸惑いました。演者も、演技ではなく、実際に泣いているように感じました。
最後は感動でもいいので、メインはお笑いにして欲しかったなー。前回の「愛Pod」は最初からシリアスだったので違和感なかったのですが、今回はお笑い芸人の話だもの。
さて、この舞台の作・演出は鈴木おさむ。
偉くなって誰も意見が出来なくなった大物芸人の扱いに困る様など、「誰をモデルにしたのですか？」と勘繰りたくなる内容でした。時代設定を1981年にしたのも、現代だと生々しすぎるから？とまた下衆の勘繰り。
今回のＭＶＰは圧倒的に宮川大輔。だって、今田の舞台なのに主役は宮川だもの。さすが舞台俳優になるためにチュッパチャップスを解散しただけのことはある。そういえば、ほっしゃんは見に来てなかったのかな？
また、唯一の女性（伊藤修子）も造形・声・間とも良かった。逆に、入江はやぱり才能無い。声も小さいし、間も悪い。お前は芸人でなくて合コンコーディネーターやってろ。
最後に。
この舞台のポスターは楽屋の鏡に演者たちが映っている場面なのですが、ここでの今田の格好はお寿司屋さん。舞台上での演目は「ペンキ屋と野球選手」なのに？？
３月の震災前ではそういう設定だったのかな？誰か知っている人がいましたら教えてください。
舞台のポスターです。ほら、お寿司屋さんでしょ。
お花いろいろ
開演前の舞台
