映画「プロメテウス」 感想
「エイリアンビギニング」もしくは「エピソード0」
「人類はどこから来たのか」「人類最大の謎『人類の起源』」というキャッチコピーに惹かれて見てきました。それ以外は監督がリドリー・スコットということくらいしか前情報を入れず、まっさらな気持ちで見に行ったのですが、先に「エイリアンの話だよ」と知っていればもう少し見方も違っていたかな…。
冒頭、謎の人物が謎の液体を飲んで身体が朽ち果てて滝壺に落ちてゆく。格好いいオープニングですが、意味が分かりませんでした。あれが異星人で、あのDNAが人類の起源なのですね。ということは、この映画のテーマはタイトルクレジットが出る前に既に明らかになっていたのか…。
今回は「3D吹き替え」で見たのですが、あまり3Dを生かした演出や描写がなく残念。吹き替えもイマイチだったため、「2D字幕」で見た方が良かったかも。
私はエイリアンの話だとは知らずに、高尚なSF映画を観るつもりで見ていたので、途中のホラーっぽい演出に「エイリアンみたいだなあ」と思いながら見ていました。
船の乗組員が何名もいるのですが、性格や背景(どういう技術を持っているのか、なぜこの船に乗ることを選んだのかなど)の描写がほとんど無く、どれが誰なのかも分からず思い入れもできないまま死んでいきます。そのへんが不満だったのですが、「エイリアン」ならしょうがない。「死ぬ要員」なのね。
乗組員たちが全く組織立っておらず、チームや組織として機能していない。船長自ら火炎放射器持って外に出るし、ハイテク満載の宇宙服を着ているはずなのに迷子になるし、その迷子をサポートするシステムもないし。この船にプロやリーダーはいないのか。
この辺も「エイリアン」として見ていればあまり目くじら立てずに済んだかもしれません。それにしても杜撰過ぎると思いますが…。
シャーリーズ・セロンは相変わらず綺麗ですが、何の役にも立ってないし、物語にとっても何の意味ももたらしていません。何のためにいたのでしょうか?
主人公役のノオミ・ラパスは悪くはないのですが、吹き替えの剛力彩芽が下手過ぎて、逞しく強い女性になかなか見えませんでした。
そしてラスト。この星は「創造の星」ではなく、異星人(劇中では「エンジニア」と呼んでいる)の生物兵器の試験場でした。
エリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)はエンジニアに会うために宇宙へ出発し、残された宇宙船ではエイリアンが生まれていました。
これで、「エイリアン」のエピソード0にもなり、ショウが旅立った先での物語も描けるというオチでした。
私は「エイリアン」映画だと知らなかったため、ショウが体内から取り出したエンジニアの子どもがイカみたいな形状だったのを「エイリアンみたい!」と興奮したり、ラストでエイリアンが登場したときは「『大甲子園』とか『ドラゴンボール』での桃白白戦のペンギン村みたい」とクロスオーバーに感動したのですが、もともとエピソード0だったのか。
映画の宣伝の仕方も「人類創造の謎」ではなく、「エイリアン誕生の秘密」という打ち出しの方が上手くいったのでは?ちょっともったいない感じでした。