「さよならビートルズ」中山康樹 感想
ビートルズの割合は少なめです
ビートルズはそれほど大ファンというわけではありません。
それでもこの本を買ったのは、副題にある「洋楽ポップスの50年は何だったのか」、そして帯にある「消えつつある洋楽文化の黄金時代とその後」というフレーズに惹かれたからです。
中身は、太平洋戦争直後からの日本における洋楽文化の広まりなど、非常に細かく丁寧に調べてあり、歴史的価値の高い資料になっています。
しかし、私が知りたいのはビートルズを頂点とする洋楽文化が、なぜ現代ここまで衰退してしまったか。その理由と今後の展望です。
でも読んでも読んでもなかなかビートルズは登場せず、登場したと思ったらすぐに解散し、そしたらもう現代。スティーブ・ジョブズの話になっていました。
本書における内容の割合としてはビートルズ以前が4割、ビートルズが3割、GSが2割、ビートルズ以降が1割というバランスでした。
あれ、ビートルズの本じゃないの?
衰退の理由としては
言葉がわからないからカッコイイという時代は終わった
日本語で歌われなければ、永遠に「実感」することができない
という、至極真っ当な、というか身も蓋もない結論に落ち着いています。それに加えて「アメリカに対する憧れの希薄化」「カラオケ」もその要因のひとつだと。
すなわち、洋楽は意味が分からないけどアメリカだからカッコイイ、という価値観が減り、みんなで楽しむカラオケという場では何を歌っているか分からない洋楽はその場にふさわしくないため、洋楽は排除されてきたのだと。
長々と書いてきてこの結論は何なんだ。
そんなことは私たちの知識でも肌感覚でも分かっていますよ。もっと別の切り口があるのかと思っていたのに。というか、もっとビートルズについての興味深い話があると思っていたのに。
これは単なる歴史書なので、こうなった洋楽文化が今後どうなるかは書いていないし、どうすれば再び盛り上がるようになるのかも書いてありません。
しかし、歴史書なので、過去に対する調査は非常に丹念で丁寧です。そこは認めますが、個人的にはそこは重要視していないので…。
確かに、言葉の分からない洋楽が日本でヒットしてきたのは、「欧米に対する憧れ」があったからにほかならないので、それがなくなりつつある現在、洋楽文化が過去のように盛り上がることはもう無いでしょう。
そして、逆に今後は日本から世界(欧米に限らず)に出て行くべきだと思うのです。きゃりーぱみゅぱみゅのようなキャラクターと音楽性なら英語でなくても受け入れられるでしょうし、アニメやゲームに付随した音楽ならそのままでも「クールジャパン」で通用すると思います。
音楽産業は右肩下がりですが、内需だけでなく、世界に目を向ければまだいくらでも可能性はあると思うのですが。きゃりーさんもアニメもゲームもまったく知識ありませんが、誰か頑張って!誰かいないの?
そうだ、パフュームだ。
本日の結論。
さよならビートルズ、がんばれパフューム。
- 作者: 中山康樹
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2012/07/04
- メディア: 新書
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