やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「ヒトリシズカ」誉田哲也 感想

ホンダって読むんだ


ストロベリーナイト」「ジウ」「武士道シックスティーン」などのヒット作を持つ誉田哲也氏ですが、私、どれも読んだことないし映画もドラマも見たことがありません。初めて手に取りました。そしたら、面白い!
6章に渡る連作の形式をとっており、それぞれの事件や主人公(物語を一人称で語る役)は違っているのですが、そこにはひとりの女性が全て関わっており…、というお話。


第1章は文庫にしてわずか50ページほどの作品ですが、それでも十分楽しめるミステリ作品でした。そして第2章では全く違う話が始まるのですが、それがラストになると1章との関連が見えてきて…。
こうなってくると手が止まりません。ほとんど一気に読んでしまいました。


本作の真の主人公であるシズカ(=伊東静加)の視点や心情はほとんど描かれません。事件を追っていくうちに彼女にたどり着く各章の主人公の視点から見えたり推察されるだけです。「白夜行」のパターンですね。
そして最終章で彼女の結末が描かれるのですが、ここだけ不満なのです。殺人に加担したり自らも手を下したりしながらも全く動じない(ように見える)、稀代の悪女だと思っていた彼女が、この章になって急に「切なく悲しい」女性になっているのです。
まあ、これが「ああ見えていたけど実は」ということなんでしょうが、今までと高低差ありすぎて耳キーンなるわ。
そうまでしなければいけなかった彼女の目的が分からなかったし、その彼女自身もラストで事故で亡くなってしまうので、本心を聞くこともできない。
彼女は謎の悪女のままラストを迎えて欲しかったです。あんまり謎だけだと「火車」みたいなおあずけ感になっちゃうけど。


で、映像化してほしいなあと思ったのですが、連作なので2時間の映画は難しいか、でも連続ドラマで10回だと中途半端だな、と思っていたら何とWOWWOWで全6回のドラマになるそうで。なるほど、ちょうどいいな。さすがWOWWOW。
でも、主役が夏帆なのですね。ちょっと優しすぎないか。もうちょっと「綺麗でクール」な感じの方がいいのでは。
見てみたいですが、私はWOWWOWに加入していない…。レンタルになったら見よう。



ヒトリシズカ (双葉文庫)

ヒトリシズカ (双葉文庫)