やりやすいことから少しずつ

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ドラマ「贖罪」 感想

ホラーじゃないのよ


黒沢清監督で「贖罪」がドラマ化。
私はホラーが苦手なので、黒沢監督作品は見たことがありませんが、このドラマもホラーテイスト満載で、癖のある演出も多分黒沢テイストなんだろうなあ、と思いながら見ていました。
映像の質感も光と影のゆらぎも突然何かが登場したりするのも無意味にビニールがそよぐのも、全て黒沢ホラーの一環なのでしょうか。
私は黒沢作品は未見なので、とっつきにくい感じがしました。「演出してます!」感や説明口調のセリフとかも。
では、一話ずつ感想を。


①フランス人形 蒼井優
原作では彼女の体の不調に夫の異常な愛情が重なった時にあの事件がフラッシュバックし、そこでとっさに夫を殺してしまうのですが、ドラマだとその表現がないので、ただ夫の性癖に嫌気が差して殺してしまったように見えました。
また、事件後家を飛び出すとそこになぜか麻子が。なんでだよ。
夫に手をかけてしまう刹那にあの事件のことも思い出し、それが手がかりの一端にもなるのですが、それも無しなので、このドラマでは4話でいきなり犯人への手がかりが掴めてしまうのが連作の意味を減らしちゃっている気がします。


②PTA臨時総会 小池栄子
このお話での湊さんの「世間」「世論」に対する容赦ない感じが好きです。
小池栄子もとても良かったです。強い。デカイ。力強くしゃべるだけでこっちはたじろいじゃう。
それにしてもおっぱいがでかい。彼女は女優としても素晴らしいと思うのですが、この胸のデカさが邪魔で演技に集中できない。グラビアでは武器だった巨乳が女優では足枷になってしまいそうでもったいない。
ラスト、男性教師にいきなり殴られて血を流して倒れるのはどうなのかしら。いきなり過ぎて「何で?」と思っちゃいました。原作では逮捕という結末でしたので、それに代わる悪い結末を用意したのかな。


③くまの兄弟 安藤サクラ
安藤サクラは「いいブス役」の席を確保しましたね。この席は他にライバルいないので、彼女の独壇場になりそう。
これも兄が娘に手を出している時にあの事件がフラッシュバックし、そのために兄を殺してしまうのですが、その描写がないので単に小児性愛者の兄を退治しただけに見えてしまいます。
あの事件との関連性・手を出してしまう必然性が薄くなっちゃう。


④とつきとおか 池脇千鶴
池脇千鶴、かわええ!永作博美のラインにいますね。その次には井上真央がいます。
池脇千鶴といえば星野真里京野ことみと並ぶ「日本3大がっかりおっぱい」の人ですが、そんなですか?ドラマを見る限りは逆に大きめに見えましたけど。今度「ジョゼと虎と魚たち」を見て確認してみよう。
話が逸れた。
今作では唯一麻子に物怖じしない、強くて怖い女性です。
ラストで姉の夫を突き落として殺してしまいますが、そこまでしなくていいんじゃない?原作のように自分とお腹の子を殺そうとする相手から逃れるために、であればまだ納得できますが。警察も簡単に事故死にしすぎ。


⑤償い 小泉今日子
ここまで来て、犯人の手がかりはラジオから流れる「声」のみ。それだけで犯人と決め付けるには早計過ぎませんか?
でももう決定事項として物語は進んでいきます。
タイミングよく出くわした警察にバッグの中の包丁を見つかっても「それで上野さんを」と納得されるだけ。あれ、警察はその男を犯人だとにらんだことあるの?もし今回でそう思ったならすぐ動かないと。上野に事情聴取しないと。そして麻子を銃刀法違反で逮捕しないと。
ラストの対決も上野の自殺もその後の麻子のもやの中を歩く姿も、何だかなあ。監督の独特の演出と香川照之の相変わらず暑苦しい演技が相まって、ドラマの世界に入り込めなかったです。
黒沢ファンはこういうのがいいのかな?ジョン・ウーの2丁拳銃や鳩のようなもんですか?


原作を変えるのは問題ありません。ただ、それがいい方への改変だと思えないのです。
また、ホラー的演出がどうも馴染めません。
というわけで、今作は私はあまり好きではありませんでした。


原作の感想はこちら↓
「贖罪」湊かなえ 感想 - やりやすいことから少しずつ



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