まさに、「ダーティーサイエンス」
ライムスターのNEWアルバムが発売になりました!
今回は尖っていていいですね!音も「汚ったねえ」(もちろん褒め言葉)!
では感想を。
活動再開後(『マニフェスト』以降)は外部プロデューサーを起用し、クリアでハイファイなサウンドを作ってきましたが、今回は「わざと」音の整理も乱暴に、ラフでダーティーな音像となっています。
なので、聴いていて心がゾワゾワする。悪巧みの顔でニヤニヤする。尖った音と言葉にドキドキする。
『マニフェスト』以降は、『ONCE AGAIN』『そしてまた歌いだす』のようなアルバムの名刺代わりの曲が宇多さんヴァースが良かったのもあり、「宇多丸さんのアルバム」という印象があったのですが、今回は完全に「Mummy-Dのアルバム」ですね。
※もちろん前作までも『K.U.F.U』『Born to Lose』など、Dさんカッケー曲もありましたが、アルバム全体の印象からすると、ということで。
イントロからDさんが歌うアルバムは初めて。さらにこのアルバムは「サバイバー」1曲以外、全てDさんが最初のヴァースを歌っています。こんなことももちろん初めて。
音の乱暴さ・粗雑さもこのアルバムの特徴です。このアルバムで多くの曲を手がけているのがイリシット・ツボイさん。私はよく知らないのですが、ロッキング・オンジャパンのインタビューを読むと
マッドサイエンティスト。その一言に尽きるね。とにかく意識的に事故を起こせる人なのよ。(D)
という人らしいです。
最近のアルバムは音もクリアで、ヒップホップらしい「俺がNO.1」みたいな曲も少なく、一般の人たちへも届ける意識があったように思えるのですが、今回は「ザ・ヒップホップ」なイメージのアルバムです。なぜこうなったのでしょうか?
それこそ『マニフェスト』以降の俺らのキャリアはヒップホップヘッズ以外にも届けることが前提になってきてるんだけど、俺らが考えている以上に「どヒップホップでどうやら大丈夫っぽい」みたいな、とにかく「何か極端なところに表現がいってないと逆に新しくないな」みたいなこととかね。(D)
マスに届けることを諦めたわけではなく、振り切ってこそこの表現が届くんだという意志。
と、尖りまくって最高のこのアルバムなのですが、やはりライムスターはサビが弱い(ヒップホップだと「フック」とも言う)。ラジオでかかっても一般の人の耳に引っかかるようなサビが欲しいなあ。それこそが「フック」でしょ。KREVAやリップを見習いなさい。どキャッチーメロディにしなくてもいいのですが、もう少し「サビ」ということを意識して欲しいのです。でもあまり歌メロになると宇多さんが歌えないからね…。
あと、このアルバムも前作『POP LIFE』と同じく50分を切るプレイ時間。個人的にはこういう短いアルバムの方が「もう終わっちゃった。まだ足りない。もっと聴きたい」でまたリピートするので、聴き込むアルバムになる気がします。これを私は「ヤクルト効果」と名づけています。岡村ちゃんの『家庭教師』も同様(これはまだアナログがあった時代だからかな。あ、ということはこのアルバムもアナログがあるからこのプレイ時間なのかしら?)。
とか言って『ヒートアイランド』の「ごった煮パーティー地獄!」も好きなんですけどね。
さて、ツアーが楽しみです。私は横浜のデカイハコと新潟の最小のハコの2箇所に行く予定です。それにしても、チケット予約は12月からやっているのにまだチケット発券もできないなんてどうなってるの。早く手元に置かないと、不安になっちゃう。
ついでに。
前作『POP LIFE』は出た当初は何だかヌルイなあと思っていたのですが、聴いているうちに良くなってきました。やはり言葉の強度が大切。噛めば噛むほど味が出る。
- アーティスト: ライムスター,キエるマキュウ
- 出版社/メーカー: KRE
- 発売日: 2013/01/30
- メディア: CD
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PVはライムスター公式HP→RHYMESTERでも見れますので是非。