やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

約15年振りに歯医者に行った話

歯医者、大嫌い。怖いから。
前回歯医者に行ったのは大学生の頃。その前は小学生の頃。ほとんど歯医者に行ったことがありません。怖いから。
大学生の頃も怖くて痛くて「俺、今にも泣きそうなのに小学生の時の俺はよく泣かずに頑張ったなあ。あの時の俺、偉いなあ」と思いながら治療を受けていました。
それ以降ずっと歯医者は避けていたのですが、数年前に歯の詰め物が取れ、それでも無視していたらいよいよその歯がめちゃめちゃになってしまったので、観念して歯医者に行ってきました。


私はもともと風邪もひかないので、病院へもほとんど行ったことがありません。なので、病院や歯医者のかかり方が分からない。
そういえば「明日歯医者の予約が」なんて話をよく聞くな。そうか、歯医者は美容院のように予約が必要なんだな。
そう思ってとりあえず保険証を持って歯医者へ行き、受付で「治療受けたいのですが」と伝えると、「今日時間あるようでしたらこのまま治療受けられますよ」とのことなので、待つことに。アポなしでも大丈夫なのか。
しばらく待っていると呼ばれたので治療室へ。うう、緊張する。
奥歯がダメになったので、と伝えて口腔内を一通り見てもらいます。するとその歯についてはやはりもう治療は無理なので抜く必要があるとのこと。
そこで先生は「どうしますか、今抜きましょうか」。えー!今来たばかりでいきなり抜くの?「い、今ですか。急ですね」努めて冷静に答えると「エセさん次第ですけど」とバトンをこちらに渡します。
そんな。俺たち今日会ったばかりだし、まだ君のこと何も知らないのに。
うむむ、としばし悩みましたが、時間を空けても歯がよくなるわけじゃないし、抜かない限り先には進めないので、抜歯をお願いしました。


さあ、抜歯です。ああ怖い。
まずは麻酔。歯茎に何本か打たれるのですが、思ったほどは痛くありません。そして麻酔が効くまでしばし待ちます。
ああ、俺は治療の予約をしに来ただけなのに、今はこうして治療台に座らされ、口を開けさせられ麻酔を打たれている。面接を受けに来ただけなのに、脱がされビデオに撮られる「ザ・面接」を思い出しながら。アタシ、どうしてこうなっちゃったんだろう。
麻酔が効いてきたのでいよいよ抜歯。器具で歯をグイッ!痛い!ふがふがと伝えるとさらに麻酔を追加して打ち、さらにグイッ!さすがにもう痛くはないのですが、抜いている感覚は分かります。奥歯なので簡単には抜けないらしく、ぐいぐいと引っこ抜こうとしています。イメージは深く刺さった釘を釘抜きで抜いている感じ。先生、いくら痛みがないとはいえ、ちょっと乱暴じゃないですか?本当に「引っこ抜く」という感じです。
痛みはないけれど恐怖におののきながらしばし悶絶していると、ようやく抜けました。ほっと一息すると先生は「じゃあ、もう片方も抜くからね」。えー、まだ終わりじゃないの!私の歯はダメになってからしばらくほったらかしにしていたので歯が割れていて、今抜いたのはその半分だけだったのです。
そしてもう一度悶絶しながら抜いてもらい、抜歯終了。その後先生がいろいろ説明してくださるのですが、私は抜け殻状態で何も頭に入りませんでした。


次回の予約を取り、帰宅。
ああ、やられちゃった。まだ心の準備もなかったのに。まるで「おはズボ」や「出会って4秒で合体」のよう。今日は熱いシャワーを浴びてハーブティーを飲んで寝よう。そういえばユミコが「野良犬に噛まれたと思って忘れちゃいなよ」って言ってたっけ。うん、あたい、もう一度スチュワーデスの試験受けてみるよ。
はっ、俺は何を言っているんだ。


それにしても、今の麻酔って進化しているんですね。昔は麻酔を打たれると唇全体の感覚がなくなり、まるで自分が松本清張いかりや長介になった感じだったのに、今は自分のまま。口に水を含んでも感覚がないのでダラダラこぼしていたのが、今は普通に水も飲める。


後日、2回目の受診。今回は歯石取りです。
ガリガリと取ってもらうのですが、これも思ったほど痛くはありません。「歯石、ほとんどないですね」と嬉しいお言葉。そうでしょう。歯医者に行くのが嫌すぎて毎日歯磨き頑張っていたんですもの。


その後、他の歯も治療していただき、合計5回で全て終了。こんなすぐに終わるのか。そしてそんなに痛くない。これなら今後歯医者へも行けるぞ。
俺はまたひとつ大いなる進化を遂げた!
心残りは、歯石取りの際におっぱいが当たらなかったことだけだな。