「別冊カドカワ KREVA特集」 アジカンゴッチとの対談
未来まで音楽ができる土を作るために
「別冊カドカワ」でKREVA特集。
KREVAは、発言の一つ一つがキャッチコピーのようにフレーズが尖って光っています。そしてそれは常にポジティブでアグレッシブ。なので、インタビューを読んでいるだけでこちらの気持ちがアガります。ドラゴンアッシュのKjのインタビューでも同じ気持ちになります。
なので、彼の発言を拾っているとキリがないので、今回はアジカン後藤正文との対談でいろいろ感じることがあったので、そちらについて書きます。
アジカンはそんなに積極的に聴いていません。8ビートが苦手という私の体質もあり、いいことは理解していますが好みではないのです。
でもゴッチがロック全体、音楽界全体のことを考えていろいろ行動しているのは知っています。
今回の対談は同じ76年辰年生まれということで企画されました。そして対談の中にはインタビュアーである柴那典(しばとものり)さんも積極的に発言しているのですが、彼はロッキング・オン時代から知っていて彼のブログも読んでいたので、彼の考え方も知った上で読んでいたのでより楽しめました。
柴那典ブログ→日々の音色とことば:
音楽にお金を使わなくなり、興味やカルチャーにおいても音楽の優先順位は後退している現在。
KREVA(以下「K」)>なんか、街でヘッドフォンして歩いてる女子とか見ると、抱きしめたくなるもん。
後藤(以下「ゴ」)>それで聴いてるのもYouTubeで落としたやつかもよ。
K>いや、もちろん俺たちのCDとか曲とかを買ってくれてたら最高だけど、お金もお小遣いも少なくなってる中、君はヘッドフォンを買ったんだねって。音楽を楽しむためにヘッドフォン買ったってだけで好きになるね(笑)。
ゴ>それは本当にそうだね。YouTubeでも全然いいよね、音楽を楽しんでくれれば。(中略)昔は「最近何聴いた?」っていう会話が俺たちのカルチャーのど真ん中にあったんだけど、ただの趣味に片付けられそうになってる感じはあって。
音楽が無料で溢れているのでその価値が相対的に低下しており、音楽のありがたみが薄れているんですよね。
そしてゴッチの「ナノムゲンフェス」を始めた動機についても。
ゴ>みんなでやらないと絶対先細っていくから。「売れりゃいいや」だと、どんどん土がなくなっていく。そういう時代だから、土作りをみんなでやっていかないと10年後にもっとひどい状況が来るよって思ったですよ。
K>10年前にそんなこと考えてたんだ、早い!
そうですよね。ちょっと売れるからってカバーアルバムばかり出していちゃダメ。カバーされる曲を作らないと。
「土がなくなる」「土作り」っていい表現ですね。音楽業界の土台を耕そう、豊かにしよう。そうしないとその先の実りはないぞ、と。
ゴ>俺たちはこういう洋楽を聴いて、こういうルーツがあって、今があるんですっていう。そうやってみんなで世代を繋いで回転させていかないと、その回転自体がどんどん小さくなって、最終的に全然力学が働かなくなって、なくなるような気がしちゃって。
音楽の権利を守るよりもシェアする方が繋がりが出て人も動くしエネルギーも生まれる。現在の権利をガチガチに守るというやり方は間違いだと思う、と柴那典は持論を展開します。
柴>例え無料でコンテンツを手に入れても、そのコミュニケーションに参加したり「この人を応援したい」っていうことを表明するためには、やっぱりお金を払わないといけない。人はそういう風にしてお金を使うんだって思うんです。
好きなミュージシャンがいたらライブに行きたいですもんね。ツアーTシャツも欲しくなりますよね。歌詞もちゃんと読みたいし参加ミュージシャンも知りたいからCDも買いたくなりますよね。
私はアイドル的な偶像崇拝はしないのでグッズを何でも買うようなことはしませんが、CDを買ってライブに行く、まではきちんとお金を払って楽しむようにしています。洋楽だとライナーノーツを読んでそこから学ぶことも遡ることもたくさんあるし。
ゴ>今の音楽の売り方がどうなってるかっていうと、要は前金制なんですよ。先に金を払わないと聴けない。それってホントは間違っていると思う。本来は、聴いた感動に対して金を払うのが正しい流れだから。
K>なるほどね。そういうことか。
ゴ>原始的には、もともと歌の上手いヤツとか演奏の上手いヤツがいて、そいつの能力に対して金を払ってたわけだよね。そういう話だったのに、いつしか先に金を取ってから聴かせるっていう話になってるから、音楽って信用されなくなってんじゃないかな。
柴>そういうことですよね。
ゴ>ただ、それが産業になっちゃってるから、その順序を変えるのは難しいんだよね。
ゴッチはいいこと言うなあ。理想を夢見て行動するリアリスト。
そしてさらに身も蓋もない現実。
柴>お金を払わない人は、無料だろうが有料だろうが、結局どちらにしろお金を払わないんですよ。
ゴ>俺なんか、Twitterのフォロワー21万人もいるのに、21万枚売れないもんね。
K>そうだね、ホントに。「いつも見てます、YouTubeで」の世界だね。
ラストは、「じゃあ、どうするか」。もちろん画期的な解決策が出るわけではありませんが、いろいろ考えたり行動しないとヤバイぞ、と。そしてそれをやるのは俺たち世代だぞ、と。
ゴ>いろんなことができると思うんだよね。手に入れるのはタダだけど、そこから1週間後にいくら払うか自分で決められるとか。(中略)そういう感じで、ネットとの付き合い方とか、いろんなことのやり方とかどんどん見直していかないと。だって、もうCDだけ売ってても無理でしょう。
K>世代的にもそうだよね。ちょうど俺たちくらいがそういうことをしっかり考えてかないといけないのかもしれない。上だとネットに疎い人もいるし、下だとネットどっぷりで音楽が産業の中心だったときを体感してなかったりするから。
ゴ>確かに、若い子たちを見てるとやっぱしんどそうだから。そんなに夢も希望もないのかって思う。タダでもいいかもしれないけど、でも、夢がなくなっちゃうのはつまらない。ちゃんと才能あるヤツが評価されてほしい。
ゴッチ、パンチラインの数々ありがとうございました。
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