やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

スピッツと秦基博について

「亀の恩返し」でスピッツ秦基博を見まして、彼らに対して思っていることを書きます。でも、そんなに熱狂的なファンではないので、合わせてひとつのエントリにします。


スピッツ
スピッツは、メロディがいい。歌詞がいい。声がいい。アルペジオがいい。各楽器がいい。
いいんです。良いんです。
スピッツって、コードが超簡単なんです。「チェリー」なんてコード5個しかないです。ギター始めたばかりの人はまずスピッツとゆずを弾きなさい。また、アルバムでは様々な曲がありますが、でも超早いエモ曲はないし、変拍子のプログレ曲もない。基本はミディアムテンポのポップスです。
同じテンポ・同じビート・ベタなコード。なのに何でこんないい曲書き続けられるの?
だいぶ昔、雑誌で民生さんとの対談があり、民生さんは「いつ曲が書けなくなるか怖い」と言っていたのにマサムネさんは「そういう怖さはない。ずっと書ける気がする」と言っていました。ザ・底知れぬ才能!
私は、いいメロディというのは「こう来て欲しいところにこう来るメロディ」だと思っています。もちろん「こう来るか!」という意外性でいいメロディという場合もありますが、スピッツの魅力は前者。私の耳の中の痒いところというか気持ちいいところにメロディが入り込んでくるんですよね。ゾクゾクしちゃう。


曲のバリエーションが少ないようでもいい曲だらけなのはもちろんメロディの強さですが、リズムの良さもあります。前述の「チェリー」はすごくベタな曲ですがなぜいつまでも飽きないかというと、リズムが跳ねているからです。ここ大事。曲の寿命にリズムの持つ役割は大きいよ。
スピッツのリズム隊は上手いからねえ。
そしてスピッツはギターがアルペジオで曲のカラー(コード感)を作るので、ベースがメロディの役割を果たすことも多いです。リズムを刻みながらメロディを奏でる。そしてベースなのでメインメロディではなくカウンターメロディ(ボーカルの裏や隙間でのメロディ)でいいフレーズを弾いてくれます。


そして歌詞。
マサムネさんの歌詞は、歌詞カード読んでも何を言っているのか分かりません。でも、曲全体のメロディやアレンジも合わさって「イメージ」が降ってきます。
これがマサムネマジック。
私は歌詞には強い意味を求めるタチですが、マサムネさんの作詞もとっても評価しています。歌詞というか表現というのは「そのものズバリを言わずにそのものを表現すること」だと思っているので、そういう意味でマサムネさんは素晴らしい。
単語は聞こえているのにリズムやメロディの邪魔にならない。洋楽のような聴き方ができるのです。タイプはだいぶ違いますが、桑田佳祐に通じる「歌詞とメロディの関係」を作っている作詞業です。
そして、なぜマサムネさんの歌詞が「聞こえているのに変に引っかからない」のかというと、その言葉の抑揚に合ったメロディだからです。マサムネさんの場合は曲先なのでメロディに合った日本語を選んでいる、と言った方が正確かもしれません。
作詞はリズムとメロディの中に言葉を落とし込む作業なので、単語や文節がリズムとメロディで分断されると聴きにくい。促音の「っ」や「ん」などが伸ばすメロディーに当たると聴きにくい。このような当たり前のことを意識して書いているかどうかで「歌になった時の日本語」が全然違ってきます。
マサムネさんは素晴らしい。


秦基博
彼の声は素晴らしい。オーガスタって山崎まさよしスガシカオ元ちとせさかいゆうなど、唯一無二の「いい声」を発掘するのが上手いですよね。
そんな「鋼と硝子の声を持つ男」ですが、ソングライティング力があまりないんですよね。前述のスピッツのように一聴して耳も心も持っていかれるメロディは書けません。何度聴いてもなかなかメロディが体の中に入っていきません。
歌詞も全く入ってきません。これもスピッツのように「印象的な歌詞は聞こえるけど全体として何を歌っているのか分からない。でもどんな曲なのかはなぜか伝わった」と違って、本当に入ってこない。


でも、アルバムを出すごとに曲を書く力が付いてきたと思いませんか?毎回最新作が最高傑作になっていると思っています。この辺も亀田プロデュースのおかげなのでしょうか。「クリシェ」とか「サビへのジャンプ台」とか教育されているのかな。
こういうやつ→やりやすいことから少しずつ


なので、秦くんはあと20年後に国民的ヒット曲を出すんじゃないかと思っています。それまでずっと右肩上がりなんていいじゃない。毎回アルバムが楽しみになるじゃない。
今回のアルバムはとってもメロディが強いポップスで素晴らしい!
その次の今回の新曲もいいですよね。

秦 基博/言ノ葉-Trailer Edition- Short Ver. (監督:大久保拓朗) - YouTube


スピッツに比べて短くてすみません。そして褒めが足りなくてすみません。いやこのポテンシャルを活かしきっていないのがもったいないと思っているのですよ。もっとやれる奴だと。