やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

頑張れ日本のものづくり

近所のあのおじさんはいい仕事をしている、かも。


本日、仕事で企業回りをしてきました。
地元の工業系企業が多かったのですが、名前や事業内容を知っている企業はゼロ。でも、事前に調べたりその場で聞いた話でいろいろ驚きと感動があったので、書きます。


まず、私の住んでいる市は田舎です。そして工業都市でもないので、誰もが知っている大企業の工場があるような街でもありません。
なので、この市にある企業や工場は小さいものばかりです。名前なんて書いても誰も知りません。


まず訪れた企業は、精密機械を作っている会社でした。精密機械というのは、スマホなどの中に入っている超微細の部品です。こんな部品が入っているなんて私は知りませんでしたが、この部品がなければスマホは動きません。同じくタッチパネルなども作っています。
こんな企業が自分の市にあったとは!


次に訪問した会社は、「粉」についての機械を作っている会社。粉といっても「小麦粉」のような食品だけでなく、石油(PP製品など)・化学(トナーやコンパウンドなど)・環境(廃プラ・バイオエタノールなど)・窯業(セメント・ガラスなど)など、あらゆる「粉」なのです。それらの粉を加工したり成形したりする機械を作っているのです。この会社が粉を加工しているのではなく、「粉を加工するための機械」を作っているのです。
粉に特化しながらもある種の粉だけに特化しないため、ある部門が不調でも会社全体としてはダメージが少ないのだそうです(その代わり大きな成長もしないと社長は言っていましたが)。
これ、とてもいい企業のあり方だと思いませんか?得意分野に資源を投入しながらリスク分散も図っている。部門や分野でなく、素材に絞る。しかも素材自体ではなく、素材の「形状」ですからね。
粉に特化しているとはいえ、これだけ多種多様な素材を扱っての機械製造なので、基本は「受注生産」。要望のあった機械を作るのです。つまり、機械1台作ってそれでおしまい。大量生産でコスト削減などもできません。急に言われた新機能満載の機械を一から作るわけです。聞こえは格好いいですが、実際の現場は大変でしょうね。高い技術と高いプロ意識の両方が求められます。
なぜこんな困難なことができるかと聞くと、「全員正社員だから」という答えでした。派遣やバイトは一人もいないのです。だから時間をかけて教育できるし、過去のノウハウが次に活かせる。もちろん会社自体が厳しい時代もあったそうですが、今まで一度もリストラはしたことがなく、「みんなで耐えた」そうです(実際にはワークシェアリングなどをしていたそうです)。
何これ格好いい!こういう会社は理想的ではありますが、それを現実に行っている会社があったとは。
ちなみにこの会社は東洋水産の「マルちゃん正麺」の機械を作った会社です。この会社がなければあの「奇跡のインスタントラーメン」は生まれなかったのですよ!


さらに日産車の9割に搭載されている部品を製造している会社や、寿命や消費電力で素晴らしいとされているLEDよりもさらに長持ち&省エネのLEDを作っている会社など、素晴らしい技術を持っている会社をたくさん知ることができました。
また、ほとんどの企業が海外へ製品を出荷していました。海外から直接発注があり製造している会社もありましたが、国内企業からの注文で製造した製品が海外で使われている会社もありました。
そして、「製品を作っている」とは、当たり前ですが「完成品を作っている」とは違います。それぞれ替えのきかない高精度の部品が合わさり、高性能の商品ができているのです。appleiPhoneを開発しましたが、製造しているのは全世界の企業・工場です。


私たちが普段使っている製品の中には、近所のおじさんが作っている部品が使われていることがあるのです。毎日通り過ぎている工場から全世界へ製品が出荷されているのです。


私は文系でものづくりには全く興味がなかったのですが、今回の企業訪問はとても感動的でした。「プロジェクトx」は自分の町でも生まれていたのです。