やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

映画「ゼロ・グラビティ」 感想

あの話の続きを聞きたい


(ネタバレあります)
ゼロ・グラビティ」を見てきました。
公式HP→映画『ゼロ・グラビティ』オフィシャルサイト
面白かった!
面白いというのは、ストーリーや感動やどんでん返しや恋愛やホラーではなく、映画体験・映像体験としてめちゃくちゃ面白かったのです。
なので、これは家でDVDではダメ。2Dもダメ。必ず劇場で3Dで見てください。近くに見れる環境があればIMAXでぜひ。大画面とあの音響がなくてはこの体験は感動も臨場感も半減してしまいます。


お話はとてもシンプル。
宇宙飛行士が船外作業中にトラブルに巻き込まれて帰還困難、頑張れ!というものです。なので、物語のストーリーはそんなに大したことありません。それよりも、この映像です。


オープニングは大きな地球が見える宇宙の映像。画面遠くに宇宙船が見えるのですが、それがだんだん近づいてきて船外作業の宇宙飛行士たちを映します。いつの間にか本編スタートしてた!
さらにそのままずっと1カットで進みます。この映画、このオープニングだけでなく、後半まで長回しの連続です。60分くらいまでで5カットくらいしか使ってないんじゃない?と思うほど。それも、宇宙飛行士を映している画面が同じカットのまま宇宙飛行士の視点になったり、宇宙飛行士の顔をアップで近づいていっていつの間にか宇宙服の内部(ヘルメットのガラスの内側)からの映像になったり(その時は声も内部から響く音声になります!)とアングルも視点も自由自在。
いったいどうやって撮っているの?


この圧倒的な映像により、私たちも同じく宇宙を旅しているように感じるのです。慣性の法則で回り続ける場面では私たちも宇宙酔いを体験し、酸素が少なくなれば私たちも息苦しい。
だって空気抵抗もないんだもの。掴みそこねたら即アウト。酸素ないんだもの。切れたら即アウト。
宇宙に放り出されればなす術はない。圧倒的な孤独と無力さ。まさに「深淵」「漆黒」「永遠」という形容詞がぴったりくる宇宙の広さと怖さ。宇宙怖えええええええ。


クライマックスで帰還ポッドが着水し、ポッドの中に水が入ってくる場面。正直、ここまで来て助からないということはないと思ったのでそこはハラハラしなかったのですが、サンドラ・ブロックが水にはまると音も消えるんです。で、顔を上げて息ができると音も復活する。この描写でまた息苦しくなっちゃった。酸素大切。


ラストで岸にたどり着き、重力をかみしめるサンドラ・ブロック。私たちが当たり前と感じている重力を感じ、感謝しているような表情。いいね!そして立ち上がるサンドラを下からあおりで映すカメラ。ここでタイトル。そう、原題は「GRAVITY」なんですよ。無重力ではなく、重力。どっちが適切なのかは分かりませんが、邦題と逆なのですね。
このサンドラが立ち上がるシーンで、はねた泥がカメラのレンズにかかるのですが、それもそのまま映しています。いや、はねたのもCGでわざとレンズに付いたように見せる演出なのかもしれませんが、そうなるとドキュメントみたいに見えちゃいます。これはどういう意図なのかな?途中にも水滴がレンズに付くシーンがありました。


今回の小見出しに書いた「あの話」とは、ジョージ・クルーニーが「彼女が毛むくじゃらの男を連れていた。しかしその男は人間じゃなかったんだ」という話をしている最中にトラブルが発生し、話の続きを聞くことはできなくなってしまいました。何だよその男、気になるじゃん!


まとめ。
マトリックス」「アバター」などに匹敵する革命的な映像表現でした。監督のアルフォンソ・キュアロンって名前は聞いたことあるな、と思っていましたが、「トゥモロー・ワールド」の人だったのか!この作品もあり得ない長回しが素晴らしい映画でした。これも「どうやって撮っているんだ!」と思ったなあ。こちらもぜひ見てほしいです!



映画『ゼロ・グラビティ』予告5【HD】 2013年12月13日公開 - YouTube

トゥモロー・ワールド 日本語予告 - YouTube