舞台で見たい
宮藤官九郎脚本・監督の「中学生円山」を見ました。
クドカンって、脚本家としては本当に才能ある人だと思うのですが、監督になると収斂が下手というか投げっぱなしになる印象があります。「木更津キャッツアイ」でも「タイガー&ドラゴン」でも毎回上手い着地を見せていたのに、なぜ自分の作品だとこうなるのか。
外部の意見があると分かりやすくするという社会性が発揮されるのに、監督も自分だとジャッジする人がいないので社会性が低下するのかな。
今回は、自分のチンコを舐めるために日々自主トレという柔軟体操に挑んでいる中学生男子が繰り広げる妄想の世界のお話。
この自主トレって、私も当然志したことはありますが、30秒で無理って分かるでしょ。それでも諦めず日々特訓する彼は偉い。将来会社を興しても成功するかもしれない。
で、妄想です。中学生男子ですので当然エロが多くなるのですが、思ったより少なかったです。中学生なのでまだリアルなセックスは想像しないのかもしれませんが、おっぱい触るくらいは想像するでしょう、妄想なんだから。でもヌーブラ止まりでおっぱいは出なかった。残念。
それにしても、この「公園で裸踊り」って、まんま草彅君のアレじゃない。クドカン勇気あるな。認めた事務所も偉いけど。
でも、他人の妄想って、つまんないですよね。他人の夢の話もそうですが、「ああそうですか」「知らんがな」しか感想が無い。面白いんですが、夢だもの、妄想だもの。
こういうのは舞台で見たら多分爆笑してる。舞台版で見てみたい。
というわけで、私はそんなにはまらなかったです。他の人の感想を読んでも「くだらない」「ついていけない」という感想と、「そんなクドカンはやはり素晴らしい」という両方がありました。
出演者たちはどういう感覚で撮影に臨んでいたのでしょうか。大人計画・グループ魂チームはこんなの「おなじみ」だし「今回おとなしいな」くらいの感覚でしょうが。
主演の平岡拓真さんは下半身丸出しのシーンが多かったけど、恥ずかしさとか大丈夫だったのかしら。それこそ中学生真っ只中の自意識バリバリ期なのに。
妹役の子は、「普通の小学生」でよかった。可愛すぎないところが。
ヒロインの刈谷友衣子さんは、きっと「え、あのクドカンの映画にヒロインで出演?やったー!ママ、私やったよ!」だったと思うのですが、いつしかセルフフェラの手伝いをさせられることになるとは思いもしなかっただろうな。
仲村トオルさんは、もっと地味な人がよかった。平凡な父、という役どころなのに格好いいもの。
母親役の坂井真紀さんはもう何でもできる人だと思っているので、安心。
チョイ役でYOUが出ていますが、もっと活躍させて欲しかった。もったいない。
そして、今作の「メインの脇役」は遠藤賢司さん。徘徊する認知症老人という役どころです。でも、体も歩き方もしっかりしすぎていてよぼよぼ感がない。この辺はもう少し厳しくディレクションして欲しかったです。
エンケンをこんな使い方するとは贅沢だなと思っていたら、途中でエンケンである必然があり、なるほど!と思いました。良かったです。
作品についてもう少し考えると、これってどこまでが現実で、どこからが妄想だったのでしょうか。
途中同級生のヒロインが主人公の部屋に来て、「キスしてもいいよ」という場面があります。付き合っているわけでもないのに、部屋まで来るか?さらに「キスしていいよ」なんて。
部活の最中に下半身丸出しになって自主トレを開始する主人公に対し、最初はキモい扱いをする周りも途中から応援してるし。
ラストも「3歳児の息子に撃たれる」というバッドエンディングですが、撃たれた後も主人公と会話しているのを見ると、こちらも現実ではない?
日本で人気が出ると叩かれる韓流スター、犯罪に対する量刑、決められたルールとその理由や正当性。結構語りにくいことを語っています。
「なぜ人を殺してはいけないの?」「考えられない大人になるくらいなら死ぬまで中学生でいるべきだ」といった、中学生らしいと言えるけれど実は真っ直ぐなメッセージ性もあります。クドカンはこの「中学生の妄想」というくだらないテーマの裏に、「思考停止はダメよ」という真のメッセージを忍ばせたのでしょうか?
私には分かりません。もう一度考えたりあえて深読みしてそう考えただけで、一度見ただけではそこまで読み取ることはできませんでした。
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