映像化、するよねえ?
(ネタバレあります)
沼田まほかるさん、お初です。以前から「沼田まほかるはすごい」「ユリゴコロはすごい」という話は聞いていたので、文庫になったのを見つけて買いました。
ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題された4冊のノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告発文だった。
ほら、惹かれるでしょ?しかも、それを書いたのは自分の父親か母親かも。
この手記を読む主人公と同じく、私たちもページをめくる手が止まりません。そして、主人公と同じ疑問を抱きながら読み進めていきます。これを書いたのは誰なのか、父親と母親の関係、実の母親に関する疑問。
サイコな殺人者の話かと思いきや、後半から家族愛の話になります。上記の謎も解明されていくのですが、もはや読者の興味はそこではなく、その先の「家族のその後」にあります。
(最大の謎の部分は勘のいい人なら気づくと思うので)
とはいえ、気になる箇所もいくつかあります。
母親の入れ替わりの部分。いくら姉妹とはいえ、いくら子どもだったとはいえ、別人になっていたら気づくでしょう。
母親を始末する部分。いくら異常犯罪者だとしても、肉親たちで肉親を殺すという話になるかなあ。
異常犯罪者だった女が、愛を知って正常に戻るかなあ。ちょっとご都合主義すぎるという気がします。
ラストの殺人、上手くいきすぎ。この作品では警察はずっと無能だな。
でも、その辺の不自然さはちょっとマイナスだとしても、この作品は面白かった。とにかく途中の手記の部分の筆力で引き込まれます。
まほかるさんは湊かなえさんなどと同じく「イヤミス」のカテゴリに入れられることがありますが、今作はそんな読後感の悪さは感じませんでした。他の作品は読後鬱になるのかな?
これ、映像化しないんですかね?登場人物も限られているし、キャッチーなプロローグと感動(に落とせる)のラストなんて、とっても映画向きだと思うのですが。
オファーはあるけど作者が吟味もしくは拒否しているのかな。映画見たいので、ぜひOK出してください。
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