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映画「スイートプールサイド」 感想

1のウソのための100のホント


映画「スイートプールサイド」を見てきました。元々そんなに「見たい!」と思っていなかったのですが、ベボベ小出さんのツイートを読んでいたら見たくなって行ってきました。






ほら、見たくなるでしょ。
この映画はマンガが原作なのですが、私は未読です。「惡の華」が有名ですが、こちらも未読。
映画公式HP→映画「スイートプールサイド」オフィシャルサイト 原作・押見修造×監督・松居大悟による青春剃毛映画!


始めに感想を書きますが、はまりませんでした。
マンガならいいのかもしれませんが、実写映画にすると「んなこたない」と思ってしまうことが多々あり、感情移入できませんでした。

毛深いことに悩む女子高生が毛の生えない悩みを抱える男子高生に「私の毛を剃ってくれない?」と頼む映画

このプロット自体、あり得ない話じゃないですか。つまりウソなわけです。で、だからこそこのウソを成立させるためにその他の部分はホントを積み重ねていかなければならないのですが、その「ホント」の部分が嘘っぽいんだよなあ。


まず「毛深いことに悩む女子高生」ですが、そうであってもムダ毛の処理はできるでしょ。肌が弱いから脱毛クリームもダメ、不器用だから剃刀も上手くいかない、という設定ですが、そんなことあるんですか?
私はおっさんなので女性のムダ毛事情には疎いのですが、今は肌が弱かろうと不器用であろうと処理できるグッズあるでしょ。こじはるが宣伝してるやつとかあるじゃん。

【HD】 AKB48 小嶋陽菜 シック ハイドロ シルク「モイスちゃん」篇 CM(15秒) - YouTube
こういうのでもダメなの?


まあ、ダメだったとしよう。でも、それを同級生に頼むか?「女友達になんて頼めないもん」と言っていましたが、男子に頼む方がどうかしてるぜ!
男子が同級生でも恋愛対象でもなく、人格のない「毛を剃る係」に見えたのかな。それなら納得。高校1年男子なんてコドモだもんな。


それにしても、そんな大いなる悩み(この時期、思春期の女子にとってはパレスチナのガザよりもイスラエルよりも重大な問題です!)を抱える女子がよりによって水泳部なんて。
ありえーーん。
脇の毛を気にしてクロールを拒む彼女ですが、そんなことしたって周りはみんな気付いているよ!ばれてないと思ってんの?
こんな状態の女子が水泳部を続けているリアリティが感じられませんでした。


そして、水泳部は男女問わず大会前には体毛を剃るのは当たり前じゃないの?なら、部活の女子からレクチャー受けることも剃ってもらうことも当たり前に行われているような文化じゃないのかな。帰宅部の私には分かりませんが。


続いて「毛のない悩みを抱える男子」。
オープニングで部活の先輩に毛が無いことを見つかり、部員たちに開陳させられるという仕打ちを受けます。先輩・同級生はもちろん、同じ部活の女子にも見られるのです。
これって、毛のある無しに関わらず、自殺もしくは先輩殺害クラスの大ダメージだと思うのですが、彼は翌日以降も部活に行っています。「ツル田ツル彦」なんてひねりも面白さもセンスゼロのあだ名を付けられているのに、部活に出るのです。私だったらこのあだ名だけでも先輩殴打のレベルです。
そんな強いメンタルがあれば、無毛の悩みなんて取るに足らないだろ!
バランスがおかしい。
あと、こんな大きな出来事があれば翌日以降もクラス中で話題になるはずですが、その辺の描写も無い。
「先輩に見つかる→口止めを頼む→先輩了承するもやっぱり広まる→クラスでも話題に→話に尾ひれがついてずれたり大きくなったり→ムダ毛処理が完璧にできる奴ということになる→ムダ毛女子の耳に入る」こんな流れだったらあり得るんだけどなあ。


そして、この男の子は、モテるのです。それだけでもうお前なんか応援しない!
そう思って思い起こすと、髪サラサラ、肌つるつる、女子にもモテて体育会系。おいお前、リア充だろ!


私のリビドーの暴走は置いといて、映画の話。様々なリアリティの不足により「女子のムダ毛を剃る」というシチュエーションに納得できないのですが、映画はいよいよ剃る場面に。
ここで剃る場所が橋の下なのですが、こんな周りから見える場所でやるわけないだろ。どちらかの家に行くというのも難しい(彼女の家は無職のお父さんがいつもいるから)ですが、もっといい場所思いつかなかったのかな。
剃る場面での各種妄想(雑草を刈る、奥に神秘の泉など)はよかった。エロ過ぎないいい妄想だ。でも本当の男子高校生ならもっと直接的なエロい妄想するけどな!


あと、彼女を自転車の後ろに乗せて漕ぎ出す場面。これも私だったら「思ったより重くて漕ぎ出せない。でも、そんな無様な姿は見せられない。涼しい顔して歯を食いしばって自転車を漕ぐぜ」になりますが、ここではすんなり漕いでいました。おい、体育会系、体力あるじゃねえか!細マッチョかよ!


剃った毛を持ち帰り、家で自分の身体に這わせたり食べたりする男子。素晴らしい変態ですが、オナニーはしないのかよ。あんな剃毛トリップはしているのに、オナニーはよ。
多分しているのだと思いますが、直接的な描写がないので物足りないのです。ズボンの中に突っ込んだり布団の中でもぞもぞしたりすればいいのに。ピュアな変態ってか。


全体として、ケータイの存在が感じられません。ケータイでの連絡でいろいろ間に合うことをなぜしないのだ。途中彼に恋する同級生女子が「メールしても全然返事くれないし」という場面はありましたが、この二人はLINEはやっていないのかな。普通だったら「LINE送っても既読スルーだし」になるのではないでしょうか。
男子の無毛アソコ開陳事件なんてすぐにLINEで広まりまくるでしょうし、女子との待ち合わせもケータイで連絡とるでしょう。
作品全体に現在の高校生活のリアリティが感じられないのです。時代が10年くらい前の設定なのかな?そんな説明無かったけど。


というわけで、いろいろ細かいところが気になって面白く見ることができませんでした。小出さんごめんなさい。
こんな主人公ですら「恵まれているくせにゼータク言ってんな」と思ってしまう私です。


あと、主人公の男子がオードリー若林に見えてしょうがなかった。若林がやればリアリティ出たかも。


「スイートプールサイド」予告編 - YouTube
こっちの方がグッとくる↓
※この場合の「グッと」は、あの頃の自分を思い出して胸が締め付けられる「グッと」です。

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