やりやすいことから少しずつ

好きだと言えないくせして子供みたいに死ぬほど言ってもらいたがってる

「有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか」 てれびのスキマ 感想

書評というか、スキマさんの話


てれびのスキマさん、好きなんです。スキマさんは「てれびのスキマ」というブログをやっていて、私はその数年来の読者です。
てれびのスキマ
テレビを見て「面白かった」と思うことは日々ありますが、それを言葉にすることって難しい。「面白かった」以外の、もしくはそれ以上の言葉で語るのは難しい。
だからこそ、それができるスキマさんのブログが大好きで、毎日更新を楽しみにしていました。


そしてこの才能を世間が放っておくわけはなく、様々な雑誌でコラムを書き、水道橋博士の「メルマ旬報」の創刊からの連載陣にも抜擢され、スキマさんがどんどん羽ばたいていく様を、何だか出来のいい息子を自慢する親のような気持ちで見ていました。
※私がメルマ旬報を購読すると決めたのは、岡村ちゃんとスキマさんの連載があるからです。


そんなスキマさんがついに著書を出しました。わーい、何だかうれしい。
タイトルの「新書っぽさ」は出版社との話し合いで、あえて新書っぽくしたらしいです。何でもいいです。売れてくれれば。
同時期に「タモリ学」も出ましたが、私はそんなにタモリ信者ではないため、そちらは未読です。


本書はテレビ・ラジオなどでの本人の発言や、雑誌のインタビュー・自身の著書での言葉などを抽出して、その芸人・タレントの本質に迫るというものなのですが、この手法、簡単そうに見えてとっても大変ですよね。
まず物理的なソースの量がすごい。本は後追いでも購入することはできますが、雑誌のインタビューとか番組の内容とかは、記憶にはあっても引用するには正確さが必要なので、記憶だけでは書けません。てことは、全部保存してあるの?いくらスパイダー(全番組録画してくれる機械)があっても、それを保存するHDDやそれをチェックする時間などを考えると大変すぎる…!


今のは物理的に難しいという話ですが、難しいだけで不可能ではありません。でも、それだけの素材があったとして、私がこれだけの文章を構成することはできません。
番組を見て「面白かった」、インタビューを読んで「へえー」で終わり。そこから自分の言葉を加えて、しかも自分の独断的な主張ではなく、あくまで主役はその芸人・タレントになる文章の書き方。
そこがてれびのスキマさんの才能なのです。


さらにいえば、こういうのって批判や毒舌の方が書きやすいですよね(今井舞とか)。でも、スキマさんは絶対に悪口は書かないのです。それでいてファンの妄信的な文章にはならず、愛はあっても適切な距離感で書いてくれる。
そこがてれびのスキマさんの才能なのです。


ようやく本書の話。
ああ、私は言葉が出てこない。「面白かった」で終わり。
タイトルにある「なぜ」に対する回答は出ていませんが、読めばなぜ私がこんなに推すのかは分かってもらえると思います。
テレビが好き、芸人が好き、という人だったら絶対に面白い。小難しい比喩やレトリックに頼らず、シンプルで読みやすい文章。文章が上手くないとできません。


このように近年どんどん売れっ子になってきているので、ホームグラウンドのブログの方は最近更新が滞りがちでした。あってもコラムを書いた記事の宣伝だったり。
まあ、そりゃしょうがない。物理的に時間がないでしょうし、無料でノーギャラのブログに書くなら依頼原稿に書いた方がいいに決まってる。
なのに、最近またブログにも記事を書いているのです。えー、もったいないよ!ありがたいけど。


あと、私はスキマさんのTwitterもフォローしているのですが、本当にテレビを見ている。バラエティもドラマも、本当にたくさん見ています。さらに本もめちゃくちゃ読んでる。
そこで私は考えるのです。原稿のためだったり今後の知識のストックのためにはたくさん見なきゃいけませんが、そうしていると原稿を書く時間が無くなる。
原稿のために見ているテレビのせいで原稿が書けない。この相反する事象についてのエッセイが読みたい。


タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か?

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