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自分に似合う服を着よう。RHYMESTER「Bitter,Sweet & Beautiful」 感想

いなたいおじさん


RHYMESTERのNEWアルバム「Bitter,Sweet & Beautiful」が発売されました。
前作から2年半というのは活動休止時代を除けば最も長いスパンだそうですが、その間にもベスト盤を出していたので休んでいたとか制作に没頭していたという感じはありません。よくぞ動きながら作ってくれたという思いです。


で、感想なのですが、今作は個人的にはあまりはまりませんでした。
これはあくまで私個人の感想なので、今作がダメということではありません。音楽評論家的な見方をすれば大人であるRHYMESTERがグッドミュージックを奏でた、なんて評することもできるしその狙いは理解できます。しかし、私にははまらなかった、ということだけです。


何がはまらなかったのか。それは「RHYMESTERにきれいなトラック」が合っていないのではないか、ということです。
今作は「Beautiful」がテーマで、それに沿ってトラックを発注・制作していったそうですが、その服、似合ってないんじゃない?
KREVAのライブを見に行ってアルバム「心臓」の曲がいい、ということで彼にトラックを発注したそうですが、やっぱりこういうメロウな曲はKREVAがやるから映えるわけで、ライムスのおじさんがやるとおじさんの良さが出ないんじゃないかと思うのです。
特に宇多丸さんはカッチリとしたフローで理屈っぽいライムなので、余計おしゃれやメロウなトラックにはまりにくい。


あと今作はPUNPEEが5曲も提供していて、2曲でフィーチャリング、オープニングではライムスのお二人よりも先に声を出すという大活躍ぶり。これ、PUNPEEのアルバムにRHYMESTERがフィーチャリングされているんじゃない?ってくらいPUNPEE色の強いアルバムになりました。
PUNPEE、いいです。フローもライムも新しい。ライムスのおじさんの古さ(それが良さなんだけど!)が引き立つ。PUNPEEの新しさに追いつけていない感じがしました。


今作は派手目の曲が少なく、きれいなトラックが多いです。前作「ダーティーサイエンス」の「It's a New Day」みたいな感じのトラックが多い。そうなるとDさんのヴァースは韻よりも叙情を優先するので、パンチラインが少なくなるんだよなあ。
いや、「It's a New Day」のときは「韻の固さなんて関係ないこのフロウは、ラップが音楽である証明だ」と書いていたし今でもそうだと思っているのですが、多すぎると「いや、そればっかりだと…」とも思ってしまいます。ese.hatenablog.com
(ご参照ください)


今作が悪いわけじゃないのです。ただ、RHYMESTERに似合う服はこれじゃないんじゃい?と思うのです。
RHYMESTERが似合うのはやっぱり「粋なライムといなたいブレイクビーツ」ですよ。


rhymester_01_stand_by_tune-jmr.flv - YouTube
前作「ダーティーサイエンス」のような歪で尖ったきったない音像(褒め言葉です)の方が似合うのではないでしょうか。
だから先行シングルの「Still Changing」「人間交差点」の音を派手さも含めて好んでしまう。


などとたらたら書きましたが、でもライブの楽しさは間違いないと思うし、ライブの後に聴いたらまた好きになっていると思います。今でもライブのセトリや演出を思い浮かべながら聴くといろいろ想像してしまってにやにやしているもん。
そしてこんな「Beautiful」な音楽なんだから、時間をかけてどんどん沁み込んでいくと思っています。


さあKING OF STAGE、楽しみです!
RHYMESTER - ガラパゴス - YouTube

RHYMESTER - Kids In The Park feat. PUNPEE ...

RHYMESTER - Still Changing - YouTube

RHYMESTER - 人間交差点 - YouTube