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映画「キングスマン」 感想

もっとヒットしてくれ!


映画「キングスマン」を見ました。公式HP↓
kingsman-movie.jp
当初見るつもりはなかったのですが、Twitterで絶賛の嵐が続き、気になって見に行きました。


さ、最高か!最高かよ!最高だ!


本作はスパイアクション映画です。スパイアクション映画といえば「007」「ミッションインポッシブル」「ボーンアイデンティティ」シリーズなどが有名ですが、最近はスパイ映画というよりド派手アクション映画になりつつありますよね。そして昔は荒唐無稽だったスパイ映画が最近シリアスになっていますよね。
それが、この作品ではきっちり原点に戻っています。荒唐無稽なガジェットやワクワクしかないアクションや分かりやすい世界征服をたくらむ敵など。そして、原点にもどりつつもアクション映画史としてまた新たなページを拓いているのです!


監督はマシュー・ボーン。「キック・アス」「X-MENファースト・ジェネレーション」の監督です。
そうか、キック・アスだったのか!だからアクションシーンがキレッキレだったのだな。
ese.hatenablog.com
キック・アス」のアクションシーンをカッコいいと思える人、この戦闘シーンをグロいとか残酷とか思わず笑って見れる人だったらこの映画は絶対にはまります。
とにかくアクションシーンが構図からカット割りからコマスピードの調整から、見せ方最高。あと、アクション自体も最近流行りの車などによるアクションは少なく、ほぼ肉弾戦。それもカンフーのようにはならず、もっとスマートな闘い方です。とはいえ、相手の体を弾除けに使ったりしてますけど。


で、このアクションを行うのがコリン・ファース。「英国王のスピーチ」「シングルマン」「ラブ・アクチュアリー」「イングリッシュ・ペイシェント」「恋に落ちたシェイクスピア」「ブリジット・ジョーンズの日記」などのコリンですよ!
ずっとラブストーリー畑だった彼が初のアクション映画。しかも55歳!なのにキレッキレ!もちろんカット割りや撮影方法などの工夫もあるでしょうが、画面からはクールにアクションをこなす英国紳士にしか見えません。アクションの後、髪の毛が乱れるのもたまらん。私はおっさんなのであまり感じませんが、スーツおじさん好き女子が見たらたまらんですよ。


そのキングスマンの立場を引き継ぐ若者にタロン・エガートン。うむむ、知らない。Wiki見てもまだ新人さんのようですな。
うだつの上がらない若者が訓練をしてスーツの似合う紳士になっていくのですが、まだかわいいのよ。後半でメガネをかけるのですが、たれ目なのでパーティーグッズのメガネみたいなのよ。それが徐々にフィットしていくんだよなー。
素質ゼロの若者がいきなりスパイにはなれないので、「昔は体操で2年連続全国1位でオリンピックも期待された」というバックストーリーを差し込み、可能性ありということを自然に観客に教える脚本も上手い。あと、家から手すりを飛び越したりして脱出する場面(しかもワンカット!)を入れることで身体能力の高さも見せます。上手い。


敵の大ボスサミュエル・L・ジャクソンの秘書ガゼル役のソフィア・ブテラもカッコよかった!アクションシーンで女性が活躍するのは見ていて気持ちがいい。
この人、クラシックバレエ→新体操→モデルという経歴だそうで。だからあの身のこなしなのね。素晴らしかったです。


オープニングで、軍隊風の屈強な男たちを軽々と倒す紳士。カッコいい!と思った瞬間、ガゼルが一蹴。何この展開!フリーザを倒して一件落着かと思ったらサイボーグフリーザになってパワーアップして復活してヤバいと思ったらトランクスが一太刀で倒したあの感じ。
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(イメージ)
そこからアクションはワクワクとドキドキでずっと楽しいのですが、本作の良さはアクションだけではありません。
まず、犬がかわいい。
そしてスパイ映画につきものの小道具。さらりと使い道を説明されるのですが、これがその後効果的に使われます。この辺の脚本も上手いなあ。あと、犬がかわいい。
スパイ映画に対する皮肉も面白かったです。「最近のスパイ映画はシリアスすぎる。昔はもっと荒唐無稽だった」そう、それがこの映画には具現化されているのです。そして犬がかわいい。


物語はエグジー(タロン・エガートン)が一人前になって、そこからハリー(コリン・ファース)と一緒にバディとなって敵を倒すのかと思いきや、ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)が「映画だったらここで私が計画を明かすところだが、あいにくこれは映画ではない」というセリフとともに発砲。いきなりハリー死亡!何この展開!
主人公が物語半ばで死ぬなんて!「エグゼクティブ・デシジョン」でスティーブン・セガールが前半で死ぬみたい。
というわけで、後半はエグジーが主役を張ります。そう、この物語は「引き継ぐ・受け継ぐ」こともテーマなのです。ジョジョみたい。


この作品のクライマックスはチップの作動による花火です。何言っているか分からないと思いますのでもう少し詳しく書きます。
実業家ヴァレンタインはSIMカードを無償で配布します。が、実はこれは人間を凶暴化させる周波数?を発するチップでもあり、それにより人口を故意に減少させようという計画だったのです。そうなりたくない一部の選ばれし人たちは耳の後ろに別のチップを埋め込んでもらい、この周波数を無効化します。しかし、こちらのチップは裏切り防止のために爆発する機能も備えているのです。
これを、エグジー側がハッキングして一斉作動!もう、次々に頭ぼーんですよ。一応ビジュアルは小さいキノコ雲が上がるような表現でグロい見た目ではありませんが、それでも次々に頭が爆発していく様は不快に思う人もいると思います。私は膝を叩きながら笑っていましたが。
さらに、この場面でかかるBGMが威風堂々!もうー、今後この曲が流れたらこの場面思い出して笑っちゃうじゃないか。
そしてみんなの頭がぼーんとなった表現として花火が上がります。三池崇史園子温か、という演出ですな。(「TOKYO TRIBE」で巨大扇風機に巻き込まれていくあのシーンみたい)
ラストで王女にアナルファックするのはいかがなものか。私だったら普通のセックスがいい。


敵の本部から間一髪逃げ出してきたエグジーに「まだヴァレンタイン死んでないからもう一度行け」というマーリン(教官)。ひどい。
仕方ないのでもう一度本部に行き、さあ、ラスボスのガゼル戦です。これまで圧倒的な強さを誇っていた彼女にどう立ち向かう?
序盤は互角で押され気味。そして最後はスローモーションで交わった後、エグジーはネクタイを切り取られ、ガゼルはエグジーの靴から飛び出た猛毒入りのナイフに腕を切られ、そこから毒で死んでしまいます。この辺、もう少し実力で勝ってほしかった。毒のおかげかよ、と思ってしまいました。


話全体はツッコミどころも多いのですが、細かい部分がよくできているしアクションが気持ちいいので、小さいツッコミは無用です。
こういう作品にありがちな「最初は敵が誰だか分からない」ということがなく、最初から悪役が分かっているので脚本がすっきりしていていい。お約束の裏切り者もいるし。
あと、全ての動作やセリフに意味があるのがいい。ハリーがエグジーの肩に手を当てると、それは小型スピーカーを付けられていたり、後半でアーサー(組織のボス)が振り返った瞬間にグラスを入れ替えるところとか。全部分かるのです。あ、何かやったなと。それでいいんです。ベタは大事。ベタをダサくならないように見せるのが監督の腕なのです。素晴らしい。


エンドロールでスーツに身を包んだエグジーがハリーを引き継ぐ場面。オチがきちっとはまって気持ちいい。補足でなくきちんとしたオチなので、エンドロールの最中ではなく本編のエンディングでもいいのにな。エンドロール始まってすぐに退出した人たち、残念でした。
エンドロールが始まってすぐに出ていく人たちって、こういう補足場面がある可能性を考えないのかな。もったいない。


いやあ、素晴らしかったです、今年の映画では「マッド・マックス怒りのデス・ロード」に匹敵する出来。
そして、既に続編が決定しています。しかも舞台は日本!この続編が成功するために、本作をヒットさせなければ。ヒットすれば続編の製作費も多くなるでしょうし、日本で大ヒットとなればスタッフ・キャストも気持ちよく撮影に臨めるでしょうし。
というわけで、皆さん見てください。この夏は大作が多くて宣伝が少なかった本作は世間では知名度がありません。何とか一般市民にもこの面白さが伝わり、少しでもヒットしてくれることを強く強く願います!



映画『キングスマン』予告編 - YouTube

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キングがキングスマンに!


続編の感想はこちら↓
ese.hatenablog.com